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舌小帯短縮症(舌癒着症?)ーankyloglossia あるいはtongue-tie (1) [妊産婦の忘備録]

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今日、キュ〜君は舌小帯短縮症の手術をしてきました。
舌小帯というのは舌の裏と舌のあごをつないでいる細い筋、というか膜です。
キュ〜君は生まれつき、この舌小帯が人様より少々長く舌の先端ちかくまでつながっていたのでした。

手術といっても、この舌小帯をチョッキン(文字通りハサミで切るのです。)するだけの簡単なものです。(お医者さんにとっては簡単ではないと思いますが、子ども本人への浸襲は少ない、という意味で。)
歯医者さんがよく使う麻酔をちょびっと注射し、文字通りハサミでチョキンと切り、一針サクッと縫うだけでした。当然、血がサァッと出ます。が、何度か拭っていると10分くらいでほぼ完全にとまりました。
キュ〜君は当然、注射をされてからは俄然嫌がりだし、「ギューッギューッ[あせあせ(飛び散る汗)][ちっ(怒った顔)]」と泣くのですが、お医者さんが「ハイ、終わりだよ〜。よくがんばったね〜」と言ってしばらくすると、もう泣き止んでケロリケロリ[目]としていました。やっぱり、よく言われるように、赤ん坊は恐竜のように「鈍覚」     感覚が鈍いんだな、と実感。痛みはあまり感じてないようで、術後30分もするとおっぱいが飲めました。飲み方はちょっと弱いようでしたが、これはやはり少しは痛いせいなのか、舌の可動域が広がって、動かし方の勝手が違うせいなのかはよく分かりません。

***********

こう書くと、あっさり手術が決まり、あっさり終わったように聞こえますが、全然あっさりではなかったのです。一ヶ月以上も「舌」の件で右往左往していたのでした。



キュ〜君の舌がおかしいことは生後一週間くらいで気づいてはいました。
お姉ちゃんのギャオに比べるとお腹が大きく、パンパンに張っていて(特に授乳後)、
大人顔負けのおならをブゥブゥとするのです。
お義母さんの「こういうの、カエル腹っていうんや。赤ちゃんには多いんやて。」という言葉を手がかりにググってみると、それはおっぱいと一緒に空気を飲み込んでいるせいだと分かりました。
なるほど、それでオナラか〜f(^ ^;)

さらにググると、「カエル腹の子は舌に異常があることが多い」とあります。
どいういう異常かというと、舌の裏側にある舌小帯が舌の尖端近くまでつながっていてさらに舌小帯の長さが短く(舌小帯短縮症)、舌を自由に動かすことができないのです。舌小帯短縮症の子は舌を歯列より前に突き出そうとするとハート型になる(ハート舌)ので、すぐに見分けがつきます。キュ〜君はというと・・・確かにハート型。裏をめくってみると、舌小帯が舌の先端にまでつながっているのがハッキリとわかりました。

ではなぜ空気を飲んでしまうか、というと、舌小帯が舌の尖端近くにまでつながっていて、舌があごに固定され、自由に動かせないので、おっぱいの飲み方が下手なのだそうです。そういえばこの子は10回以上おっぱいの「くわえ直し」をした挙げ句に飲み始めるのですが、ギャオはそんなことはなかったので不思議に思っていました。その謎がとけた訳です。(「くわえ直し」の癖は1ヶ月くらいで消失しました。体格が良くなって吸引力が増したせいか、今度はLuxelの乳頭がイタくなり・・・ちなみに日々の体重増加率は問題なし。力まかせに吸ってるお陰かと…orz)

ちなみに、新生児の舌小帯短縮症の出現率は報告によっても違いますが、0.2〜5%です。(なぜこんなにも幅があるか、と言えば「何をもってして舌小帯短縮と判断するか」が論文によって違うからです。)キュ〜君の場合、何とかおっぱいを飲めているところを見ると、舌が完全に顎に固定されるankyloglossia (舌強直症)とまではいっていないようですが、tongue-tie(舌小帯短縮症)なのは明らかです。

ついでに言うと、舌小帯短縮症の子は「舌を前につきだして乳頭をつつみこみ、しごくようにしておっぱいを飲む」ことができず、乳頭を中に強く引き込むか、先っぽだけくわえ飲みしてしまうので、お母さん側のおっぱいにトラブルが出やすいそうなのです。luxelも例にもれず、おっぱいの痛みがひかないので助産師さんに相談しました。

まず里帰り先の助産師さんに尋ねると、「ああ、昔はこういう舌の子は助産師、というかお産婆さんが産まれてすぐにチョンと切ってたんですけどね。医師法の元では助産師にはできないので、お医者さんに切ってもらってください。」とのこと。ちなみに、舌小帯短縮症は程度にもよりますが、哺乳がうまくいかないだけでなく、しゃべりだす頃になって発音の異常がわかることがあるそうです。(いわゆる「テチテチ」と音がするような、舌っ足らずなしゃべり。日本語は発音できても英語はできない、ということも。)

それで、里帰りから帰ってきてかかりつけの小児科の先生にたのもうとすると、「あぁ、こういうの、10年前までならチョンと切ってたんですけどね。今はあんまりやらないんですよ。効果がはっきりしないから。舌小帯短縮症の子すべてに発音異常が現れる訳ではないんです。手術をしなくても済む場合も少なくはないんですよ。それに、もう2ヶ月ともなると新生児の頃と違って、舌も体もよく動くようになるから全身麻酔しないと手術できないし、普通の小児科じゃ処置できないんでね。」と言って、「手術をするにしてもこういうのは小児外科とか口腔外科の管轄だから」と小児外科のお医者さんを紹介してくれました。

で、行きました。総合病院の小児外科に。でも、やっぱり小児外科の先生も「今は発音異常が確認できる3、4才まで手術を待つことが多いですね。哺乳に若干問題があるそうですが、そこまで母乳にこだわらなくてもいいんじゃないですか?ミルクでも普通に育ちますよ」と実にあっさり。も〜、簡単に言ってくれますよねぇ、男性の医者は。こっちの気持ち、もうちょっと考えてほしいんですけど。それにアレルギーの問題も。ミルクはやっぱり異種タンパクですから、アレルギー体質のうちの子に与えるのは怖い。

せっかく母乳は出てるんだし、アレルギーや感染症のリスクを考えたら母乳でいきたいんだけどな〜・・・と考えていた矢先、ギャオのクラスメート、Hちゃんのママ@産休中から、かかりつけの助産院を紹介してもらい、行ってみると、N先生は偶然にも赤ちゃんの舌に関心の高い助産師さんで、視てもらうと、「アッ、これはひどいわね!」と言って、手術をしてくれる耳鼻科の先生をすぐに紹介してくれたのです。N先生のお話では、このくらいの月齢だったら全身麻酔ではなく、浸潤麻酔(塗る麻酔)で手術できるとのことでした。

「な〜んだ、乳児でも手術できるんじゃない。よかった〜」と思いつつさっそくその耳鼻科を受診。ところが、手術の方法を説明される段になって分かったのですが、こちらの耳鼻科は舌小帯だけでなく頤(オトガイ)舌筋まで切る術式だったのです。

なぜ舌小帯だけでなく舌の下側の筋肉まで切るか、というと「呼吸状態の改善のため」だと先生はおっしゃる。「お子さんは舌小帯の短縮だけではなく、舌癒着症もあります。(診断では3-3,T-T。もっとも癒着のひどいタイプとのこと。)舌癒着があるために舌が前方に固定され、咽頭が狭くなっています。だからゼイゼイ言ったり、いびきをかいたりするのです。気道も偏向も認められます。向き癖があるでしょう? それは気道の偏向のせいです。こういう子は酸素が十分に取り込めていないことが多いのです。苦しそうにうなったり、ひっきりなしに泣いたりしませんか?」と言われてビックリ。

舌の下の薄い膜をチョンと切るだけの手術だと思ったら、意外にも筋層まで(レーザー)メスを入れる、とのことで「えっ、筋肉を切って大丈夫なのかな? 後遺症とかはないのかしら?」と思いつつも、この時点では他に手術をひきうけてくれるお医者さんも見つかっていなかったこともあって、とりあえず手術の日程だけ確保して帰りました。

でも・・・・確かにキュ〜君は向き癖はひどいし、うなったり、ゼイゼイ言ったり、たまにはいびきもかくけれど、ギャオよりははるかに泣かないし、機嫌もよくニコニコしているし、一度もチアノーゼや呼吸停止になったことはありません(Luxelの弟はよくなっていた。よく生きてたなぁ)。向き癖は、小児科の先生によれば「多かれ少なかれどの赤ちゃんにもあるし、首が据わって座っている時間が長くなってくると目立たなくなってくる」と笑って答えてくれました。(助産師さんによれば、呼吸に問題のある子というのは、終始機嫌が悪く、母乳もうまく吸えないので体重も増えず泣いてばかりで母親が披露困憊し、あるいはおっぱいにトラブルをおこし、かけこんでくる、とのこと。)その点、キュ〜くんの体重増加率は良すぎるくらい。だから間違いなく母乳は飲めてる。うん。

この耳鼻科では、授乳中の血中酸素飽和度(SpO2)も計ってくれるのですが、キュ〜君の場合、舌小帯がハデに舌の尖端にまでつながっている割にはSpO2は99とか100%で、決して酸素不足にはなっていません。(あ、やっぱりね。機嫌いいもん。)

喘鳴とかうなる癖とか、たしかに喉の奥が狭いっぽい兆候はあるにはあるのだけど、赤ちゃんの喉なんてどうせ狭いんだし、大きくなるにつれて咽喉腔も大きくなるだろうし・・・なにしろ一度切ってしまった筋肉は元にはもどらない。

さらには、「舌癒着症は9割の人に認められる。」とその耳鼻科のお医者さんはおっしゃるのですが、それって異常とは言えないのでは・・・そもそも「舌癒着症」という概念を提唱しているのは日本のごく一部の、主に耳鼻科系や口腔外科の医師グループだけなのです。(しかも、小児科学会は「舌癒着症」の存在を否定する声明を出して、この医師グループの「舌癒着剥離手術が乳幼児突然死症候群(SIDS)によるを回避できる」という主張を強く否定している。)

もちろん、これまでにもLuxelはアトピーにおいてステロイドがきかない少数派をとりかこむ医学界の政治について考えてきていますので、彼らが少数派であるから、小児科学会が否定しているから、といって「舌癒着症なんて存在しない」「SIDSに対して予防効果はない」とは思いません。舌癒着がひどくて(?)生まれつき呼吸がしにくい子、というのはいてもおかしくないし(実際に助産師のN先生はそういう子に何人もあたっているし)、手術によってこういう子の気道を広げることによってSIDSによる窒息死を回避できたケースがあった可能性はあります。ただ、このグループの主張「舌癒着症がSIDSの原因であり、我々の手術のお陰で日本のSIDSの発生率は低い」というノルウェーでのSIDS国際学会での主張は、自意識過剰なフライング、というか検証不足なのは明らかで、そういう主張をするためにはその他の条件を除外するための詳細な統計計算と、十分な母集団のデータが必要となります。つまり、このグループの主張はまだ検証され科学的な裏付けが十分にとれたものではないのです。(「舌癒着症」の存在、然り。)

一方で小児科学会の調査結果報告も「なんだかなぁ」な感じなのです。
http://www.jpeds.or.jp/saisin-j.html
(下の方に「舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果」とあります。)
まず、「今村4)が舌小帯の短縮度は年齢にともなって変化するという調査結果を示している」とあるが、これとは反対の論文もある。反対論文に言及していないのはフェアではない。また、論拠としている論文が少なく国内論文だけである。(国内論文は往々にして学会の意向に沿うものしか出なくなるのは、Luxelがアトピーで調べた傾向と同じ。)唯一論拠にしている外国人論文の読み込みが十分ではない。(ankyloglossiaとpartial ankyloglossiaを区別していない。)「完全なるankyloglossiaに限れば」287例中2例でもおかしくはないが、partial-を加えるともっと多くなる可能性がある。ankyloglossiaは「舌強直」の意であって、イコール舌小帯短縮症ではない。舌が動かないくらい重症のtongue-tieならば、上記程度の出現率であろうが・・・・。Tongue-tieの昔のreviewには「tongue tie(舌小帯短縮症)には様々な程度が存在する」とある。かの外国人小児科医は「手術の必要な症例はまれであった」と述べている、との記述であるが、患者は小児であることを忘れてはならない。年齢が幼いと、見て明らかな不具合でないかぎり親や医師の目にはつかない。本人が生活上の不具合をまだ認識できていない、あるいは親・医師に伝えられない可能性を考慮すべきであり、彼らが成人してから再度、不具合がないか、手術を希望するかを確認するべきである。それを行っているのであろうか・・? また、学会のアンケート調査対象が小児科医ならびに小児耳鼻科学会医に限られており200名弱・・・・そのうち有効回答数はさらに非常に少ない。本来ならば、口腔内のプロフェッショナルである口腔外科医にも同様の質問状を送るべきである。(乳児以外の)舌小帯切離術を行っているのは口腔外科医の方がはるかに多い、と推察されるからである。(さすがに私も保険統計までは確認していないが・・・)そしてこの学会の調査報告のもっとも致命的な欠陥は「舌癒着症を改善する舌癒着剥離術」と「舌小帯切離術」を混同している点にある。前者はオトガイ舌筋を切り、後者は切らない。患児に対する浸襲の度合いは両者で大きく異なる。現時点で、前者の効果が本当に無いかどうかは、誰も(第三者が)検証していない。それなのに、「舌小帯切離術」に対する報告を論拠にすりかえて「舌癒着症などというものはなく、舌癒着症剥離術は不要な手術である」と述べているのは、まったくもってフェアではないのである。

というわけで、小児科学会のこの調査報告と見解はLuxelの判断の根拠としては全く使えないのでした。なにより、学会がこのレベルの調査報告で学会の見解を打ち出す、というのは(科学的なレベルの低さに)驚きでした。こんなんでいいの!?って感じ。根拠のなさ、という点に関しては正直、どっちもどっち。学会の報告のムリムリな結論から憶測するに、学会幹部とこの耳鼻科医グループには感情的な確執でもあるのか!?って感じです。

※ちなみに大阪の出血による事故の患者は血友病の方だったそうです。これに言及がないのもフェアではない。(もちろん術前に既往や家族歴を尋ねたり、血液検査で除外診断をしなくてはならないので、病院・助産院側の手落ちもあるのですが・・・この程度の小手術では確認してない病院って結構あるよね。)

もっとも、舌癒着症を唱える側の「データ不足」は明らかで、大事な我が子キュ〜君にこの斬新かつ野心的な手術を適応するにはエビデンスが少なくて怖いな、というのが実感でした。(なんというか、まだ発展途上の手術なんですよね。エビデンスはこれから、といったところなのでしょう。それにしても、猫も杓子も筋肉を切る!という医師のスタンスが気になる。いいのか? そんなに手術対象を拡大して。)
ましてや、元々の状態がそんなに悪くない子に、さらなる呼吸改善を期待しての大がかりな手術をする気にはなれませんでした。成人で頤舌筋を切る手術を受けた人のなかには、マイナートラブル(舌先のしびれ等)が起きている人がいることも気になりました。(そういう人は他に大きなトラブルがあって、それを改善するために手術を受けているので、そちらが改善されば少々の後遺症があっても文句はないのでしょう。訴訟とかは起きていないようです。)

そんなこんなで、この耳鼻科での手術はドタキャンしてしまいました。(耳鼻科の先生、N先生、ごめんなさい。m(_ _)m 

(ankyloglossia (2)へ続く)
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NO NAME

その2まだですかー?
by NO NAME (2010-02-02 18:23) 

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by お名前(必須) (2012-06-20 23:52) 

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