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お医者さん同士のミゾ。〜アトピー医療は宗教 !? 〜 そして、ガイドラインとは。 [アトピー余談]

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乳児湿疹〜小児アトピーの現場が
患者(患児と親)と医師、双方ともこれだけ混乱していることの原因の一つは
これがが皮膚(科)と免疫(アレルギー科)と小児科という3つの領域にまたがって起きている症状だからだと思います。
3つの領域全てに詳しい先生は非常に稀、というか皆無に近いと思います。
すくなくとも私にはこころあたりがありません。

我が家の小児科の主治医、と呼べる先生は2人います。
お一人は過去記事にも書いた、ステロイドを使わずにアトピーをみてくれたC県C市の小児科M先生。
もうお一人はF市の小児科S先生。

M先生はとても勉強熱心な女医さんで、柔軟性も兼ね備えた、私の好きな先生です。
治療法もだんだん改良を重ね、グレードアップしているのがわかります。
ただ、車で30分と少々遠いのと、
今、下の子の食物アレルギーの件でM先生から紹介状を書いていただいたSK先生にみていただいているので、M先生にかかる機会はあまりなくなっています。

風邪かな〜、それとも〜?とかいうくらいなら
近所で、情報を常にアップデートなさっているS先生にお世話になることが多いです。
(この先生についても過去記事で書きました。)
非常に論理的かつ的確な説明をなさる先生で、
「今の時点では○○になる可能性も、△△になる可能性もあるから
□□になったら、また見せにきてね。」
と今後の予想とケース別の治療戦略を丁寧に話してくださいます。
小児科全般についてお尋ねするなら、この先生!とLuxelが太鼓判を押したい先生です。
開業医でありながら、論文をけっこう書かれてます。
その探究心に、頭がさがります。
正直、もし大学に残られていたら、教授コースに乗ってても全然おかしくない先生だと思います。

なぜこのS先生に最初からアトピーについてコンサルト(相談)しなかったか、というと、
この先生の病院には他に2名の常勤医 兼 共同経営者がいらして、
そのうちのお一人、I 先生が小児アレルギー専門だったため、
こちらの先生にコンサルト(受診相談)していたからなのでした。

I 先生はアトピーで4番目に受診した先生です。
ご相談しやすい雰囲気で、
消毒薬も保湿剤も処方してくださるような、比較的良い先生だったのですが、
残念ながら、ステロイドについては標準治療、つまり使用を薦める方でした。
私が「ステロイドが効かなくなったのですが、、、」と言うと
「じゃあ、これね」と躊躇なく、より強いランクのステロイドをホイっと処方されました。
「そんなことは良くある」といった感じで。

私は、「ステロイドを使っても良くならず、またランクが上がるだけなのでは」と恐ろしくなってしまいました。
そして何より。
先生ご自身が相当ひどい(ひどかった)アトピーであることがわかる象の皮膚に似た、一面にちりめん皺がよったような赤い皮膚をしてらしたのです。
その皮膚は、先生ご自身がアトピーと壮絶な戦いをしてこられたことを物語っていました。

(過去に、私はこの先生とそっくり同じような皮膚をした人物を2人、知っています。
一人は大学院M課程の後輩Fくん、もう一人はD課程での同級生のT氏。
二人とも重度のアトピーで大学を休学したり、登校してこれない日があったりしました。
だから、I先生の肌をみてピンときたのです。)

「この先生が最善を尽くしたとしても、娘の皮膚もこのようになるのでは」
と思うと恐ろしくなり、ステロイド使用を勧められたこともあって
足が向かなくなりました。
(この後、リサーチを重ねて、たらお皮膚科にたどり着くことになります。)

I 先生の受診はやめても、同じ病院のS先生にはアトピー以外の病気では引き続きコンサルトしていました。
S先生自身のアトピーの治療方針は謎でしたが、
その病院のアトピー患者の大多数は、この地域で有名な I 先生を受診していましたから、S先生にアトピーをコンサルトする方はあまりいなかったのでは、と推測します。

ところが、最近、その病院はS先生以外の2人の医師が独立され、
その小児科の経営者はS先生、ということになりました。

そこで今回あらためて、S先生に、先生ご自身のアトピーの治療方針を伺うと、
基本的には保湿剤と外用ステロイド。
私は「うちの子はステロイドがあわなかったようです。。。効かなくなって、ランクアップするか、抜くか、で。
抜いたら湿疹がわぁっと出たのですが。」
というと、
S先生は、「んーーー、アトピーの治療、あれはもう、宗教です。」とおっしゃる。

ん!? 宗教とな!?!?

いつも科学的な発言をなさるS先生の口から「宗教」という言葉が出たことに驚いて、
「それは、どういう意味ですか?」
と問い返すと、
「医師は、自分が正しい、と思う治療をする。」「患者は自分がして欲しい治療をする医師を選ぶ」
「そして、それが正解だと思い込む」とのお答え。

私が「でも、それでは、自分の子の症状に会う治療をする医師に出会うまで、
患者は右往左往して探すことになってしまいます。」
と言うと、「まぁ、そういうことです。今の制度で、それは仕方ない。」と。

思わず、私は絶句してしまい、それ以上質問を重ねることができませんでした。
私は思い込みではなく、実際に、ステロイドが徐々にその効果を失うのをこの目で見たのです、と申し上げたかったのですが、
S先生の、疲れを隠せないお顔をみたら、議論を続けられませんでした。
それに、そのように答えること自体、S先生はうちの子のような事例には遭遇してなさそうに思えました。(ましてや、小児科医は成人のステロイド依存ー離脱症候群をおこしている患者を目にすることは、ほぼ皆無でしょう。)

S先生の、さじを投げた、というような風情に
S先生も同僚だったI先生と間に何かあったのかもしれないな、とも想像しました。(違うかもしれないけど。)

とにかく、
そのくらい、乳児/小児アトピーを巡る現場は見解や治療法が対立している、ということなのでしょう。
「医師の数だけ治療法(方針)がある」
もう、何が正しいかわからない。
小児科医ご本人が、このように表現なさるとは。

いつも誠実で頭脳明晰な50代のベテランS先生をして、そのように言わしめるアトピー治療の現場とは、他の病気とはかなり異なるのではないか??
アトピー治療をめぐって、小児科医の間でも、相当の混乱と対立があるのではないか?

そのように思いました。

だとすれば、
私がその小児アトピーの黒い森(Schwartz Walt)に迷い込みかけたのも
致し方なかった、、、、のでしょうか・・・・・?

ついでなので、「ガイドライン」についてもS先生に尋ねてみました。
「アトピー治療の2つの学会のガイドラインのどちらとも、外用ステロイド療法を中心にしています。
ガイドラインに反する治療をするのは医師にも困難なのではないですか?
もしこれに反する治療をしたら、先生たちはどうなるのですか?裁判になったときに負けてしまうのでしょうか?」と。
すると、これまた ビ ッ ク リ !
「そんなことはありません。あんなもんは"絵に描いた餅"です。何の拘束力もありゃしませんよ!」

ど ひゃーーー!

学会で某旧帝大皮膚科教授に直接伺ったときの答えは
「とんでもない!!
そんなとんでもないこと(=ガイドラインに反する治療)をして、もし患者さんに何かあって裁判になった場合、敗けてしまいます!」
といいったものでした。

ベテラン開業医のS先生の見解と、ここまで180度 違うとは。。。。!!

某教授はガイドラインを策定する側だからでしょうか。。。。?
だから自ら作るガイドラインに、そこまでの拘束性を持たせたい。。。。?

でも、そのガイドラインには「ステロイドも効かなくなった、最重症のアトピーの人たち」の情報が全く反映されていないのだとしたら。。。?
そんなガイドラインどおりにしていたら、いつまでたっても、「ステロイドへの依存・無効化」「ステロイド中止に伴う激しい皮膚へのリバウンド」の苦痛を味わう患者さんを生み出し続けてしまうのではないか?

そんな状況ではS先生のような、「ガイドラインはさておき(参考にはするけど)、最終的には己の経験と腕を信じ、治療法を選ぶ医師」の存在は、非常に心強い。

ガイドラインとは、あくまで「現在までに得られた知見を検証して、ほぼ間違いない、と考えらえる治療法」です。
明日、新しい発見によって内容がひっくり返るかもしれないのです。
ガイドラインはあくまで「レベルの低い治療や、明らかに間違った治療」をさせないための参考書であり、医師が訴えられないための保険がわりではないはずです。
ガイドラインはベスト&パーフェクでは全然、ない。あくまで「現時点でのベスト」であり、未来からみれば「過去の治療よりベター」なだけです。
そして科学は、医学は、毎日進歩しています。毎日、新しい発見を積み重ねています。

ですから、「ガイドライン」とは必ず変更され、改訂される運命にあります。
今のガイドラインも「過去のもの」となる運命なのです。

…………………
小児科医は成人アトピー患者を診察することはありません。
ましてや、ステロイドが効かなくなり、脱ステを余儀なくされた患者さんをその目で診る機会は皆無です。
皮膚科医なら小児も成人も診ることもあるでしょうが、
上記のような「ステロイドへの依存と無効化、そして中止後のリバウンド」といった一連の症状の経過をその目でしかと見ない限り、外用ステロイドを中心とする彼の治療方針は変わらないでしょう。

Luxelは偶然にも、ギャオよりももっともっと長期にステロイドを使い、もっと強いステロイドまで無効化してしまって、脱ステに踏み切った何人もの成人アトピーの方たちと知り合う機会がありました。
(そのうちのお一人が「アトピー性皮膚炎ー患者1000人の訴え」の著者の方です。)
また、同じ小児でも、ギャオより試用期間が長く、したがってステロイドを中止したときのリバウンドも強かったお子さんのお母さんとも知り合いました。(「ごめんね気分」というブログに患部の経過を示す連続写真を掲載なさってます。)

これらの患者さんたちとは知り合った時点も場所も、比較的バラバラに知り合ったのですが、皆さんからそれぞれ伺ったステロイド中止後リバウンド時の症状やその経過はまるで示し合わせたかのように共通しており、メインストリームにいる皮膚科医の重鎮の先生方が主張するような、「不十分な治療の結果、治りきらないアトピーが悪化した」ものとはとても考えられませんでした。
(ほとんど全員がステロイドを「怖い」とも思わずに、皮膚科等で指示されたとおり、何も考えずに使っていたそうです。だから標準治療医たちが「ステロイド忌避症」と、半ば軽蔑気味に呼ぶような人たちとは一線を画しています。)

Luxelがここに書いて、皆さんにお伝えしている小児アトピーの治療方針は、ステロイドの使用についてはかなり抑制的(=極力、使わないですむように。使う場合には最小量で済むように。)に映るかと思います。
それは、子どもたちが大人になったときに、いま苦しんでいる成人患者さん達のような目に合わずに済むためにはどうしたら良いか、と私なりに必死に考え、落としどころを探った結果なのです。

ステロイドが無効化&脱ステした成人の患者さんは、おそらくアトピーの全人口のうち5%、つまり20人に一人くらいだろう、と推測しています。これを「じゃあ、19人は平気で使えるのね♫」と捉え、強気の賭けにでるか。それとも「20人に一人。。。結構多い。コワい。」と捉えるか。
同じ数値でも捉え方によって治療選択は異なってくると思います。
Luxelは、もうまさしく、実の娘でその恐怖を味わってしまったので、当然後者のスタンスで「あるべき治療」を考えています。
それがこのブログです。
私自身は、「小児期は特に『皮膚にステロイドは極っ力!使用しない。』『使用するにしても、最小量に抑える』べきだ」と考えています。(←こわごわ、少量だけ塗ろう、という意味ではありません。これについては後日書きます。)

今、皮膚科や小児科の大御所の先生たちが小児アトピーにおいて推し進めようとしているのは「プロアクティブ療法」といって、ステロイドを使って湿疹を消し、皮膚のバリアーを閉じてから保湿をがっつり行い、湿疹が再び出現する前にステロイドも塗ろう、というものです。
でも・・・「湿疹が再び出るかどうか」は「出てみないと」わかりません。
「湿疹が出ていないのに、塗る」ことを繰り返していると、不必要なステロイドをいつまでも塗ることになり、結果的に「最小限」ではなくなるのではないか?
また、小児の皮膚のステロイドへの感受性や応答性を、成人と同様に考えてもいいのでしょうか?
そんな危惧を持っています。

(Luxelの弟は、幼少期からステロイドを使い始めたために、大人になっても何かの拍子に調子を崩しやすい繊細な皮膚「irritable skin」になってしまったのではないか? 皮膚の細胞そのものの恒常性=バランスが崩れてしまったのではないか? そんあ疑念を、私は持ち続けています。もちろん、検証するのは相当に難しい仮説です。)

「プロアクティブ療法」についてはまた後日書きます。

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