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お医者さん同士のミゾ。〜アトピー医療は宗教 !? 〜 そして、ガイドラインとは。 [アトピー余談]

乳児湿疹〜小児アトピーの現場が
患者(患児と親)と医師、双方ともこれだけ混乱していることの原因の一つは
これがが皮膚(科)と免疫(アレルギー科)と小児科という3つの領域にまたがって起きている症状だからだと思います。
3つの領域全てに詳しい先生は非常に稀、というか皆無に近いと思います。
すくなくとも私にはこころあたりがありません。

我が家の小児科の主治医、と呼べる先生は2人います。
お一人は過去記事にも書いた、ステロイドを使わずにアトピーをみてくれたC県C市の小児科M先生。
もうお一人はF市の小児科S先生。

M先生はとても勉強熱心な女医さんで、柔軟性も兼ね備えた、私の好きな先生です。
治療法もだんだん改良を重ね、グレードアップしているのがわかります。
ただ、車で30分と少々遠いのと、
今、下の子の食物アレルギーの件でM先生から紹介状を書いていただいたSK先生にみていただいているので、M先生にかかる機会はあまりなくなっています。

風邪かな〜、それとも〜?とかいうくらいなら
近所で、情報を常にアップデートなさっているS先生にお世話になることが多いです。
(この先生についても過去記事で書きました。)
非常に論理的かつ的確な説明をなさる先生で、
「今の時点では○○になる可能性も、△△になる可能性もあるから
□□になったら、また見せにきてね。」
と今後の予想とケース別の治療戦略を丁寧に話してくださいます。
小児科全般についてお尋ねするなら、この先生!とLuxelが太鼓判を押したい先生です。
開業医でありながら、論文をけっこう書かれてます。
その探究心に、頭がさがります。
正直、もし大学に残られていたら、教授コースに乗ってても全然おかしくない先生だと思います。

なぜこのS先生に最初からアトピーについてコンサルト(相談)しなかったか、というと、
この先生の病院には他に2名の常勤医 兼 共同経営者がいらして、
そのうちのお一人、I 先生が小児アレルギー専門だったため、
こちらの先生にコンサルト(受診相談)していたからなのでした。

I 先生はアトピーで4番目に受診した先生です。
ご相談しやすい雰囲気で、
消毒薬も保湿剤も処方してくださるような、比較的良い先生だったのですが、
残念ながら、ステロイドについては標準治療、つまり使用を薦める方でした。
私が「ステロイドが効かなくなったのですが、、、」と言うと
「じゃあ、これね」と躊躇なく、より強いランクのステロイドをホイっと処方されました。
「そんなことは良くある」といった感じで。

私は、「ステロイドを使っても良くならず、またランクが上がるだけなのでは」と恐ろしくなってしまいました。
そして何より。
先生ご自身が相当ひどい(ひどかった)アトピーであることがわかる象の皮膚に似た、一面にちりめん皺がよったような赤い皮膚をしてらしたのです。
その皮膚は、先生ご自身がアトピーと壮絶な戦いをしてこられたことを物語っていました。

(過去に、私はこの先生とそっくり同じような皮膚をした人物を2人、知っています。
一人は大学院M課程の後輩Fくん、もう一人はD課程での同級生のT氏。
二人とも重度のアトピーで大学を休学したり、登校してこれない日があったりしました。
だから、I先生の肌をみてピンときたのです。)

「この先生が最善を尽くしたとしても、娘の皮膚もこのようになるのでは」
と思うと恐ろしくなり、ステロイド使用を勧められたこともあって
足が向かなくなりました。
(この後、リサーチを重ねて、たらお皮膚科にたどり着くことになります。)

I 先生の受診はやめても、同じ病院のS先生にはアトピー以外の病気では引き続きコンサルトしていました。
S先生自身のアトピーの治療方針は謎でしたが、
その病院のアトピー患者の大多数は、この地域で有名な I 先生を受診していましたから、S先生にアトピーをコンサルトする方はあまりいなかったのでは、と推測します。

ところが、最近、その病院はS先生以外の2人の医師が独立され、
その小児科の経営者はS先生、ということになりました。

そこで今回あらためて、S先生に、先生ご自身のアトピーの治療方針を伺うと、
基本的には保湿剤と外用ステロイド。
私は「うちの子はステロイドがあわなかったようです。。。効かなくなって、ランクアップするか、抜くか、で。
抜いたら湿疹がわぁっと出たのですが。」
というと、
S先生は、「んーーー、アトピーの治療、あれはもう、宗教です。」とおっしゃる。

ん!? 宗教とな!?!?

いつも科学的な発言をなさるS先生の口から「宗教」という言葉が出たことに驚いて、
「それは、どういう意味ですか?」
と問い返すと、
「医師は、自分が正しい、と思う治療をする。」「患者は自分がして欲しい治療をする医師を選ぶ」
「そして、それが正解だと思い込む」とのお答え。

私が「でも、それでは、自分の子の症状に会う治療をする医師に出会うまで、
患者は右往左往して探すことになってしまいます。」
と言うと、「まぁ、そういうことです。今の制度で、それは仕方ない。」と。

思わず、私は絶句してしまい、それ以上質問を重ねることができませんでした。
私は思い込みではなく、実際に、ステロイドが徐々にその効果を失うのをこの目で見たのです、と申し上げたかったのですが、
S先生の、疲れを隠せないお顔をみたら、議論を続けられませんでした。
それに、そのように答えること自体、S先生はうちの子のような事例には遭遇してなさそうに思えました。(ましてや、小児科医は成人のステロイド依存ー離脱症候群をおこしている患者を目にすることは、ほぼ皆無でしょう。)

S先生の、さじを投げた、というような風情に
S先生も同僚だったI先生と間に何かあったのかもしれないな、とも想像しました。(違うかもしれないけど。)

とにかく、
そのくらい、乳児/小児アトピーを巡る現場は見解や治療法が対立している、ということなのでしょう。
「医師の数だけ治療法(方針)がある」
もう、何が正しいかわからない。
小児科医ご本人が、このように表現なさるとは。

いつも誠実で頭脳明晰な50代のベテランS先生をして、そのように言わしめるアトピー治療の現場とは、他の病気とはかなり異なるのではないか??
アトピー治療をめぐって、小児科医の間でも、相当の混乱と対立があるのではないか?

そのように思いました。

だとすれば、
私がその小児アトピーの黒い森(Schwartz Walt)に迷い込みかけたのも
致し方なかった、、、、のでしょうか・・・・・?

ついでなので、「ガイドライン」についてもS先生に尋ねてみました。
「アトピー治療の2つの学会のガイドラインのどちらとも、外用ステロイド療法を中心にしています。
ガイドラインに反する治療をするのは医師にも困難なのではないですか?
もしこれに反する治療をしたら、先生たちはどうなるのですか?裁判になったときに負けてしまうのでしょうか?」と。
すると、これまた ビ ッ ク リ !
「そんなことはありません。あんなもんは"絵に描いた餅"です。何の拘束力もありゃしませんよ!」

ど ひゃーーー!

学会で某旧帝大皮膚科教授に直接伺ったときの答えは
「とんでもない!!
そんなとんでもないこと(=ガイドラインに反する治療)をして、もし患者さんに何かあって裁判になった場合、敗けてしまいます!」
といいったものでした。

ベテラン開業医のS先生の見解と、ここまで180度 違うとは。。。。!!

某教授はガイドラインを策定する側だからでしょうか。。。。?
だから自ら作るガイドラインに、そこまでの拘束性を持たせたい。。。。?

でも、そのガイドラインには「ステロイドも効かなくなった、最重症のアトピーの人たち」の情報が全く反映されていないのだとしたら。。。?
そんなガイドラインどおりにしていたら、いつまでたっても、「ステロイドへの依存・無効化」「ステロイド中止に伴う激しい皮膚へのリバウンド」の苦痛を味わう患者さんを生み出し続けてしまうのではないか?

そんな状況ではS先生のような、「ガイドラインはさておき(参考にはするけど)、最終的には己の経験と腕を信じ、治療法を選ぶ医師」の存在は、非常に心強い。

ガイドラインとは、あくまで「現在までに得られた知見を検証して、ほぼ間違いない、と考えらえる治療法」です。
明日、新しい発見によって内容がひっくり返るかもしれないのです。
ガイドラインはあくまで「レベルの低い治療や、明らかに間違った治療」をさせないための参考書であり、医師が訴えられないための保険がわりではないはずです。
ガイドラインはベスト&パーフェクでは全然、ない。あくまで「現時点でのベスト」であり、未来からみれば「過去の治療よりベター」なだけです。
そして科学は、医学は、毎日進歩しています。毎日、新しい発見を積み重ねています。

ですから、「ガイドライン」とは必ず変更され、改訂される運命にあります。
今のガイドラインも「過去のもの」となる運命なのです。

…………………
小児科医は成人アトピー患者を診察することはありません。
ましてや、ステロイドが効かなくなり、脱ステを余儀なくされた患者さんをその目で診る機会は皆無です。
皮膚科医なら小児も成人も診ることもあるでしょうが、
上記のような「ステロイドへの依存と無効化、そして中止後のリバウンド」といった一連の症状の経過をその目でしかと見ない限り、外用ステロイドを中心とする彼の治療方針は変わらないでしょう。

Luxelは偶然にも、ギャオよりももっともっと長期にステロイドを使い、もっと強いステロイドまで無効化してしまって、脱ステに踏み切った何人もの成人アトピーの方たちと知り合う機会がありました。
(そのうちのお一人が「アトピー性皮膚炎ー患者1000人の訴え」の著者の方です。)
また、同じ小児でも、ギャオより試用期間が長く、したがってステロイドを中止したときのリバウンドも強かったお子さんのお母さんとも知り合いました。(「ごめんね気分」というブログに患部の経過を示す連続写真を掲載なさってます。)

これらの患者さんたちとは知り合った時点も場所も、比較的バラバラに知り合ったのですが、皆さんからそれぞれ伺ったステロイド中止後リバウンド時の症状やその経過はまるで示し合わせたかのように共通しており、メインストリームにいる皮膚科医の重鎮の先生方が主張するような、「不十分な治療の結果、治りきらないアトピーが悪化した」ものとはとても考えられませんでした。
(ほとんど全員がステロイドを「怖い」とも思わずに、皮膚科等で指示されたとおり、何も考えずに使っていたそうです。だから標準治療医たちが「ステロイド忌避症」と、半ば軽蔑気味に呼ぶような人たちとは一線を画しています。)

Luxelがここに書いて、皆さんにお伝えしている小児アトピーの治療方針は、ステロイドの使用についてはかなり抑制的(=極力、使わないですむように。使う場合には最小量で済むように。)に映るかと思います。
それは、子どもたちが大人になったときに、いま苦しんでいる成人患者さん達のような目に合わずに済むためにはどうしたら良いか、と私なりに必死に考え、落としどころを探った結果なのです。

ステロイドが無効化&脱ステした成人の患者さんは、おそらくアトピーの全人口のうち5%、つまり20人に一人くらいだろう、と推測しています。これを「じゃあ、19人は平気で使えるのね♫」と捉え、強気の賭けにでるか。それとも「20人に一人。。。結構多い。コワい。」と捉えるか。
同じ数値でも捉え方によって治療選択は異なってくると思います。
Luxelは、もうまさしく、実の娘でその恐怖を味わってしまったので、当然後者のスタンスで「あるべき治療」を考えています。
それがこのブログです。
私自身は、「小児期は特に『皮膚にステロイドは極っ力!使用しない。』『使用するにしても、最小量に抑える』べきだ」と考えています。(←こわごわ、少量だけ塗ろう、という意味ではありません。これについては後日書きます。)

今、皮膚科や小児科の大御所の先生たちが小児アトピーにおいて推し進めようとしているのは「プロアクティブ療法」といって、ステロイドを使って湿疹を消し、皮膚のバリアーを閉じてから保湿をがっつり行い、湿疹が再び出現する前にステロイドも塗ろう、というものです。
でも・・・「湿疹が再び出るかどうか」は「出てみないと」わかりません。
「湿疹が出ていないのに、塗る」ことを繰り返していると、不必要なステロイドをいつまでも塗ることになり、結果的に「最小限」ではなくなるのではないか?
また、小児の皮膚のステロイドへの感受性や応答性を、成人と同様に考えてもいいのでしょうか?
そんな危惧を持っています。

(Luxelの弟は、幼少期からステロイドを使い始めたために、大人になっても何かの拍子に調子を崩しやすい繊細な皮膚「irritable skin」になってしまったのではないか? 皮膚の細胞そのものの恒常性=バランスが崩れてしまったのではないか? そんあ疑念を、私は持ち続けています。もちろん、検証するのは相当に難しい仮説です。)

「プロアクティブ療法」についてはまた後日書きます。

朝日新聞の記事(子どものアトピー篇)の感想・その3 [アトピー余談]

朝日の記事に対するコメント記事はこれで最後です。

記事は字数に限界があり、情報を盛り込むにも制約があるのは分かっています。
でも、
この記事の言いたいこと、つまり主眼はどこにあるのでしょうか?
Luxelにはそれがよく分かりませんでした。読み終わった後、焦点の定まらない散漫な印象でした。
記者さんはアトピーについては勉強を始めたばかり(続けてくれることを祈ってますが。)で、忙しい新聞記者生活では、会っても数人の医師、数人の患者さんなのではないでしょうか。
まだ、この国でのこの病気の実情や全容を掴むには至っていないのでしょう。

記事は「子どものアトピー」と題されていますが、実際には「子どものアトピー・食物アレルギー」とでも言うべき内容です。
この点、タイトルに配慮してよかったかもしれません。読者は混乱したんじゃないかな、と思いました。

まさか記事の言いたいことは「国立成育医療センターの大矢先生に見てもらえば、みんな大丈夫!良くなる」とうことではないでしょう。
大矢医師の所属する「国立成育医療C」は日本にたったひとつしかない「子どもの病気について、先進的な治療ならびに研究を行なう病院」です。
そこの医師だけがなしうる治療を「標準治療」と言ってしまって良いのか?
他の6人の医師は行なわなかったのですから、それはまだ「標準になっていない治療」ではないか?
せいぜい「これから標準化しなくてはならない治療」でしょう。

記事に出てくるお母さんは6軒も病院を代えても「正しい治療法」には巡り合えなかった。
(※大矢医師の治療法がいつも常に「正しいかどうか」については、Luxelには疑問がありますが、とりあえず、この記事の親子にとっては再発していない現時点では「正しい治療」と言えます。)

日本の医療は「皆保険」で、誰もがほぼ均一な医療サービスを受けられことに(建前は)なっています。
でも実際にはそうではなかった。
「良くなる治療」を受けるために、この親子は北海道から東京まで出向かねばならなかったのです。
この記事のケースから、「医師ごとの治療法の違い」「医師ごとの力量の格差」「描けない”本当の標準治療”」という問題が浮き彫りにしようと思えば出来た、と思います。

「標準治療」というからには「どんな医師でも、理解し、施術できる」内容でなくてはなりません。
ところがそうではない。まさかガイドラインの存在をしらない医師はいないでしょう。それなのに、記事中の7人の治療がまちまちなのはどうしてでしょうか。

一つには「子ども、特に、乳児のアトピー」専用のガイドラインが存在しないのが原因です。子どものアトピーを成人のガイドラインに含めてしまうのは問題が大きい、と言わざるを得ません。
子ども、特に乳幼児に対し、ステロイド剤という「強力な諸刃の剣であるホルモン剤」を使用することに対して、日本の医師はもっと慎重になるべきです。
そのためには「ガイドライン」自体を「子ども向け」と「成人向け」分けることが望ましい。
何のために小児科という領域が設定されているか、と言えば、小児の体は成人のそれとは全然違うからです。それなのに、小児科の知識背景が無い皮膚科医が作った成人用のガイドラインと一緒くたの代物で良いのでしょうか?
(米国で専門領域を2つ持っている医師は稀です。それは専門科教育が日本よりも遥かに長く、専門医を名乗るのに5-6年のトレーニングを要するからです。日本では学会の教育講演に出席してポイントさえ揃えれば専門医を名乗れます。「内科、小児科、アレルギー科、皮膚科、精神科」なんて表記している開業医は山ほどいます。でも、その全てに精通しているなんてことはありえない、ということが米国と比較すればよく分かるでしょう。)

また、現在は複数の学術団体(日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/厚生労働省研究班)がガイドラインを発行していますが、それぞれが微妙に異なることも問題です。統一しなければ、医師といえども、どちらのガイドラインに従ったらいいのか、判断に迷うのではないでしょうか。
<参考>
皮膚科学会のガイドライン
http://www.kyudai-derm.org/part/atopy/pdf/atopy2009.pdf
リウマチ・アレルギー情報センター(アレルギー学会の見解を反映)
http://www.allergy.go.jp/allergy/guideline/index.html(アトピー性皮膚炎と食物アレルギー、喘息のもある)

その前に「厚生労働省科学研究によるアトピー性皮膚炎治療ガイドライン 2005」というのもありましたね。これなんて、私的には皮膚科学会の2008年版よりも確実に良かった。
もっとも、Luxelから見ればいずれの団体のアトピーのガイドラインも似たり寄ったりで、及第点をあげられるものはありませんが。(詳しくは別記事にします。)

でも、せっかくこのブログにたどり着いた皆さんは、いずれのガイドラインもあてにはしないでくださいね。(笑)
何のために私がブログを書いているか、と言えば、
私自身が一時期ガイドライン片手に娘の治療を決めていた時期があり、その「標準治療」にも関わらず、娘は一向に治癒しないばかりか再発→悪化の一途をたどったためです。
ガイドラインが「あてにならないことがある」という事実を肌身で知って、なんとかそれを超える方法を自分で模索しなくてはならなくなったからです。

繰り返し言いますが、全てのお子さんがガイドラインの「標準治療」で治癒しない、と言っている訳ではありません。
ただ、今のガイドラインに従うと「無用のステロイドへの暴露」が増えてしまい、
うちの子のように徐々に悪化するパターンにはまるお子さんが確実に増える、と想定されます。
「このパターンにはまっているのでは」と気づくのは3、4才になってから、というお母さんが多いようです。
そういった方にはできるだけ早く気がついて、治療方針を転換して欲しい。
現行の「標準治療」は、残念ながら、全ての患者さんにとって安全確実なものではないのです。

現行の2つのガイドラインには「ステロイドの使用量を最小限に抑えよう」という意図がなく、
そのための方法も書かれていません。
当然かもしれませんが、「標準治療」で漏れる、つまり「標準治療によって悪化する」うちの子のようなケースのことは全くガイドライン編纂者の頭には入っておらず、無視されている訳です。
そして、そのようなお子さんが相当数存在することは
このブログに寄せられたコメントやメール、アンケートの回答から明らかです。

日本はまだ「ガイドラインの標準治療から漏れる患者がいる」
ということすら医師の共通認識にはなっていません。
でも、海外の論文を紐解けば、こういった患者の存在ははっきりと意識されており
「治療抵抗性アトピー」
「ステロイド抵抗性アトピー (corticosteroid resistant atopic dermatitis)」
などと記載されています。

ガイドラインをより多くの患者さんに適応するように改善していくためには、
「現ガイドラインの標準治療法から漏れる患者が存在する」と認識することが
まず必要だと思うのですが、
今の日本皮膚科学会はこういった患者さんの存在を頑として認めようとしません。
この頑なな態度は科学者としては首をかしげざるを得ないところです。

このブログの対象は小児アトピー(と小児食物アレルギー)なので詳しくは書きませんが、「アトピー 脱ステロイド」などの単語で検索すると、このステロイド抵抗性アトピーの成人患者さんのブログや脱ステ情報が数多くヒットします。成人のステロイド抵抗性アトピーについては他のサイトや書籍を参考になさってください。

小児のステロイド抵抗性アトピーを経験なさった方の情報が成人のそれに比べて少ない理由の
○一つは、「子育て期の忙しさ」ではないか思います。私もそうですが、家で子どもを世話をする日(休日)はかえってブログの更新や書込みなど出来ないです。それほどくたびれちゃう。笑
○それとネット環境。携帯のみですと情報の発信には限界があるでしょう。
(低年齢の子の母親の7割は携帯しかネット端末を持たない、というデータがあります。)
○また、脱ステの先生も指摘なさっていることですが、
小児は成人にくらべれば使用したステロイドのトータル量が少ないので、それほど深刻なステロイド抵抗性(依存)に陥っている例が少ないのでは、という推測です。

成人のステロイド依存→脱ステロイドで生じるリバウンド症状は激烈な人が多く、体験者の口からしばしば「地獄」という言葉が聞かれます。
子どものリバウンドで社会問題化するほど凄まじいケースは稀ではないかな、と私は推測しています。

しかし、子ども特有の問題として「アトピー性皮膚炎を併発するアレルギー児」はアレルギー児の過半数を占めるのですから(特に0歳台)、「アトピー性皮膚炎」と「食物アレルギー」のガイドラインが分かれていることは大きな問題です。これでは親でなくとも、医師も混乱してしまいます。
本来、食物アレルギーの治療をも受ける必要のある子がアトピーの治療だけしか受けてなかったりするのではないか、と考えられます。(ウチのギャオがこのケースでした。)

現在の皮膚科学会のガイドラインに占める小児の記述は非常に少なく、乳幼児に対する配慮は全く貧弱です。一方、アレルギー学会編纂のガイドラインも、ステロイド外用剤への理解が乏しいように思います。乳幼児のアトピー・アレルギーのケアはまだ統合前の段階、医師の専門領域の縦割りがそのまま「2つ(以上)のガイドライン」として現れているように思います。

乳幼児の場合はこの「アトピー性皮膚炎」と「(食物、その他の)アレルギー」の問題を早々に解明し、早く「ひとつになったガイドライン」を作っていただきたい。今はまだ「なぜ食物などのアレルギーがある子には乳幼児湿疹が多いのか」すら分かっていません。でも、今わかっていることだけでもいいから一冊のガイドラインに統一して欲しい、と思います。
そしてその「小児アトピー性皮膚炎ガイドライン」には、乳幼児のステロイドへの暴露を可能な限り少なくするような指導内容を記して欲しいと思っています。



さらに、私が記事に切り込んで欲しかったのは、
「なぜ、臨床の現場で医師どうしの治療方針がこれほど違うのか? 患者は振り回されて困っている。」
「医師どうしの治療方針がこれだけ違ってしまうのは、この病気が研究の途上であることを差し引いても、日本の医療制度に問題があるのではなかろうか」
「なぜ、これほど皮膚科、小児科、アレルギー科は縦割りで、各科どうしの知識や共有されず、ガイドラインが乱立しているのか」
といった問題です。
これは日本の医療制度全体に関わる問題だと思うのです。
ひいては日本の「皆保険・フリーアクセス制の存続」にまで関わる巨大な問題です。
朝日新聞に、そこまでの力量があるでしょうか。
(去年秋の「東大医科研・がんペプチドワクチン問題の告発」記事を見る限り、朝日の医療取材班にその力量は無いように思われます。
それでも朝日は「公器」と言ってよい大新聞なのですから、多いに反省して、分析力・判断力を身につけて欲しいところです。)

どうやら、書き手の記者さん自身の理解が混乱したままで最終回を迎えたような印象を拭えません。


で、Luxelの意見をまとめます。
結局、この記事の何処に問題があるか、と言えば、、、、
権威のある医師が「これが正しい治療法です。正しい治療を行なうお医者さんを選びましょう」と言い、それをとのまま記事にしただけなら、それは記事ではなく新聞広告とか広報と言った方が正しい。
仮にも全国紙なら1人の医師の主張だけでなく、多数の患者側からの視点「なぜ医師によってそんなに治療法が違うのか?私たちは同じ額の保険料を払っているのだから、受ける治療法に優劣があるのは、医師によって大きな差がある現状は納得できない。」という見方があってよいように思います。

そういう患者側、つまり医療サービスの受け手の視点が提示されれば、
逆に医療提供者側から
「これだけ治療法が医師によってバラバラなのには理由がある。
一つは医師の専門の違い(皮膚科/小児科/アレルギー科)。
そして、本病はまだ未解明なところの多い疾患で、今の治療は対症療法に過ぎない。
長期間におよぶステロイドの大量使用を避けつつ、根治に近い治療を行なえるようになるためには基礎研究や臨床研究が欠かせない。なのに、日本の医科学研究の推進役を担い手である大学の研究態勢は十分ではない。
医師は臨床ですでに手一杯で、基礎研究にまでなかなか手が回らないという現状がある。
大学病院の診療態勢だけでなく、研究態勢を整えるのに必要なもの、それは何か。」というような反論もあり得たのではないかな、と思います。こうやっていくと、建設的な議論となっていくのではないでしょうか。

実際、アトピーや食物アレルギーの原因やしくみを解明する研究はなかなか進んでいません。
世間的には大学病院は基礎研究もやっているように思われていますが、実際にはその多くは第一の責務である臨床(外来診療や入院、手術等)で手一杯で、研究、特に基礎研究に打ち込める環境にはありません。日本の医学部では大学院生でさえ、研究に没頭させてもらえることは稀です。この医学部特有の問題は大きな問題ですので、別の記事で論じたいと思います。

そして「ステロイド」。
記事ではこのお母さんがあたかも「ステロイドによる恐怖心のために、ころころと医師を変えた挙げ句に大矢医師に説得された」というような書き方のように感じますが、それは事実とは違うのではないでしょうか。
このお母さんは「ステロイドは対症療法に過ぎない。やめれば当然、湿疹やカユミは再発する。」ということすらそれまでの6人の医師から教えてもらっていない。塗れば治ると信じて(こわごわでも)塗った。なのに、ステロイドをやめると再発するので、医師への不信が湧き、転院。でも、ステロイドを使わない医師でも治せない。こちらも不信になり転院、ということを繰り返したのだと思います。

医師によってステロイドに対する態度が大きく異なるのは、医師自身、ステロイドというホルモン薬の分子薬理学的な理解が浅いからです。下手をするとかつて自らが医学部生として学んだ大学卒業時から知識が更新されていない医師だってありえます。

ステロイドを使って生じる不可解な症状(湿疹が急に消えたり、止めたら再発したり、化膿がひどくなったり。時に激甚な副作用をその目で見る医師もあります。)を目にしたら、その観察を出発点にして考察を進め、またステロイドという分子の働き方について最新の基礎研究の論文でも勉強する、そういった余裕のある医師がとても少ないのだと思います。
余裕がないのは、開業医でも大学病院の勤務医でも違いはないのでしょう。もちろん、大学以外の医師の存在理由の第一義は「患者を治す」ことであって、「研究」ではないのですから、研究が後回しなる現状を医師だけのせいにすることはできないでしょう。
でも、目の前の患者さんの治療に忙殺されて、知識を更新する暇も(意欲も)ない、という医師の問題は即、私たち患者側に跳ね返ってきます。これは医師免許が更新制ではない日本では由々しき問題です。

日本トップクラスの新聞を自他ともに標榜する朝日新聞にはこれくらい突っ込んだ記事を期待しても良いのではないでしょうか。

最後に、
この連載のまとめともいえる6回目の記事を再度掲載し、検証してみましょう。

アトピー性皮膚炎を患う小さな子どもは、じんましんや呼吸困難などのショック症状を起こす食物アレルギーにも、苦しむことが多い。これは、特定の食べ物を体が異物とみなして免疫が過剰に働いて起こる。国立病院機構相模原病院の海老沢元宏(えびさわ・もとひろ)アレルギー性疾患研究部長らの研究では、同病院でアトピーと診断された乳児の70%以上が食物アレルギーも起こしていた。

>この事実に言及してあるのはGood!だと思います。特に、皮膚科医にこの事実を知ってほしい。
 
「患者を生きる 子どものアトピー」<1>〜<5>で紹介した母親のように、アトピーによる湿疹などの症状も徹底した食事制限で治る、と考える人は多い。食物アレルギーが関係しないアトピー性皮膚炎も少なくなく、「区別して考えることが大切」 (←この点、皮膚科医よりアレルギー医の認識の方が正しい、とLuelは思います。皮膚科で区別して考えている医師は稀。)と海老沢部長。(アレルギーとアトピー)両者の関係については、まだよくわかっていない。(←実際には、少し分かっています。詳細はLuxelの記事をお待ちください。) 国立成育医療研究センターの大矢幸弘アレルギー科医長によると、乳児期にアトピーなどで湿疹ができ、皮膚のバリアが弱まると、皮膚を通して体内に入った食物の成分やホコリが異物と認識され、アレルギー反応を引き起こすことがあるという説が、最近では有力になっているという。(←Luxeは経皮感作の比重はそれほど大きくない、と推測しています。経皮感作については別記事を予定しています。乞うご期待!)   食物アレルギーが疑われる場合でも、まずは皮膚の症状を抑え、バリア機能を回復させる必要がある。(←これは、Luxelは同意しません。ステロイドは皮膚のバリア機能を低下させる、という論文をご存知無いのでしょうか。大矢医師のステロイドの使い方を詳しくは知りませんが、少なくとも大矢医師の著述を読んだ限りでは、米国小児科よりはかなり甘い使い方(ただし、日本国内においてはマシな使い方ですが)をしていると推察できます。Luxel自身は、せめて米国小児科並みに、保湿などのスキンケアを優先し、ステロイドの使用を回避する努力が必要だと考えます。)厚生労働省研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2008」では、ステロイドの塗り薬やスキンケアといったアトピーの治療をしても症状が改善しない場合、食物アレルギーの影響を疑い、原因の食物を絞り込む(← ステロイドの塗り薬を使用する前に血液検査か皮膚検査をするべきだとLuxelは思います。確かに皮膚が荒れた状態では、皮膚の検査は難しいかもしれませんが、検査のためにステロイドを使って一旦皮膚をきれいにしてから、検査する、というのは本末転倒です。なんか、最近、アレルギー学会が皮膚科学会に丸め込まれようとしているように感じのは気のせいでしょうか?アレルギー医であれば、ステロイドがTh2を誘導する性質を知らないはずがない、というのは私の買いかぶりでしょうか?)としている。血液を採って、食物の成分と反応をしないか調べたり、専門医の監視のもとでその食べ物をとって症状を調べる「食物負荷試験」をしたりして、取りのぞく食物を判断する。   ただ、アレルギーの症状を起こさなくても血液検査に反応することがあるので、注意が必要だ。血液検査だけでなく食物負荷試験などの結果をもとに、最小限の食事制限にとどめるのが原則だ。  食物アレルギーが関係しないアトピー(←「アレルギー体質性アトピー」と「アレルギー体質が関係しないアトピー」とを区別して考えている点は評価できます。)も、ダニ、ホコリ対策など家庭での取り組みを続けることが大切だ。小さな子どもは、自分ではうまくスキンケアができない。「1日2、3回、よく泡立てたせっけんでもみ洗いしてあげて欲しい。(これは、皮脂を落としてしまいます。アレルゲンがダニやハウスダストの場合には、アレルゲン除去に有効でしょうが、食物アレルギーの場合、一概に言えないと思います。)継続したスキンケアや掃除などの環境整備は、お子さんの肌をつるつるに保つための出発点です」と大矢医師はいう。(林義則) (追記) 今回、唯一の救いは、「大人のアトピー」の連載とは違って、 医師が自分の主張の正当性を主張するために選びに選んだ患者ではなさそうだ、という点ですね。 ステロイドを使う医師も使わない医師も、記事中の患児のお母さんが納得できるだけの医療を提供できなかった、という点で、日本での小児のアトピー・アレルギー治療の混乱した現状をあぶりだすのには適切な患者さん選びだった、と言えると思います。 惜しむらくは、記者さんがそのことを記事で十分にアピールできていない。 日本の代表的な医師(大矢、海老沢両医師)の見解をそのまま読者に伝えるにとどまっていて、それ以上の切り込みは出来ていません。 いずれ紙面にて、「その先に踏み込んだ記事」を読めることを願っています。

朝日新聞の記事「子どものアトピー」編の感想・その2 [アトピー余談]

<変更しました。2011.1.17>
読み直してみたらかなり記事が長いので、
後半の「皮膚科学会アトピーガイドライン」に言及の部分は
切り離して、記事を改めます。公開後の変更、申し訳ありません。
これはこれで別記事にしなくてはならない重要な問題ですので。。。

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引き続き、朝日新聞の記事について。
全文だと経過が分かりにくいので、まとめてみました。

<経過>
(生後3ヶ月)
 おなかのあたりの皮膚に赤み。それが、2週間ほどで全身へ。
 ひじやひざの裏などの関節はかさかさになり、粉がふいたよう。

 ステロイドを使うA病院へ。
 ステロイド外用剤+保湿剤を塗るときれいに。
 ところが、薬をやめると元の木阿弥。
 塗ってはやめ、また塗ってはやめるの繰り返し。
 徐々に全身の赤みが増し(悪化)、耳ぎれ。

2005年10月(生後3ヶ月ごろ)
 別のB病院を受診。
 ステロイドを処方。しかし「アトピーかどうか診断できない」
(↑1才未満では診断しない、という方針の医師もいます。)
 不信感がつのり、病院を変える決心。

2005年11月(生後4ヶ月ごろ)
 非ステロイド方針のC病院を受診。
 漢方と食事療法を中心にした治療。(無農薬、無添加の食材で、野菜中心の食事指導。※授乳中)
 初めてアトピーと診断。
 ステロイドの使用を中止

 ステロイドで抑えこんでいた炎症が再発。
 肌が真っ赤に。かゆみで夜、寝付けない。
 「これはステロイドをやめた反動、と思っていた。」とのこと。
 「いずれ治まる。いまは耐えるしかない」(この時点でこのブログに来ていただけてたら・・・!と思います。もちろん当時このブログは無いわけですが。。。この時期のしのぎ方が工夫のしどころなんです。)

 耳の周りの皮膚がただれてじゅくじゅく。
 人なつっこい笑顔が消えた。
 ほっぺや耳の前あたりをかきむしった。
 腕の皮膚が強い炎症により腫脹。(←この強い痒みや炎症は黄色ブドウ球菌などが付着したかも。)
 かき崩さないよう丸く巻いた紙をギプスのように腕にかぶせてしのいだ。

 「このままだと、きっと命にかかわる」。(そうなんですよね。。。親の方が耐えられない。怖い。)

2006年春(生後8〜11ヶ月ごろ)
 たまらず、別のD小児科へ。
 ステロイド外用剤を再開。炎症治まる。
 (消毒とか、抗生物質とかは処方されなかったのか? ステロイド一辺倒?)
 
 2カ月ほど継続

 母親がカニやエビを食した後に授乳、次男の皮膚が真っ赤に。(経母乳抗原でアナフィラキシー)
 
 授乳中止、離乳食開始。

06年7月(1才1ヶ月ごろ)
 「食物アレルギーの名医」と口コミで評判だった市内のE小児科を受診。
 食事療法開始。
  米と小麦の除去(←検査はしたのかな?)

 ステロイド剤を中止(医師の方針)

 再発。

07年3月(1才8ヶ月ごろ)
 制限のないキウイを食べた次男の口が腫れ呼吸困難に(=OAS)。 (キウィ、アレルギー体質の子には危ないですよ〜汗。南国系果物は注意しましょう!って指導は不可欠です。そもそも、「制限ない」のは単に「検査をしていない」だけなのでは? アレルギー体質の子が注意すべき食物は、低年齢の時は特に注意しながら=例えば、ごく少量を食べてみて1時間程度何も起こらなければ、徐々に食べさせる、など工夫し観察しながら、食べられる品目を増やしていく必要があります
 「米と小麦以外にも原因の食事があるかもしれない。もっと徹底して制限しないと」。そんな思いが強まった。
 自宅の掃除を強化。(この時点で、ダニやハウスダストに陽性だったのでしょうか?大事な情報。記事に書くべきです。記者は専門家ではありませんから、理解が低いままに書いていることを、あまり責めることはできませんが。。。。)

2007年5月(1才10ヶ月ごろ)
 別のF小児科クリニックへ(知人の紹介)。
 医師から指示書もらう。
 「アレルギーの原因と疑った卵、乳製品、エビ、タコ、貝類(←検査は?疑っただけ?)を食べないとの指導に加え、腸内環境を乱す砂糖や酸化した油、スナック菓子、果物も避けるように」
 
 血液検査で反応が出た食材が次々と追加され、除去食は増え続けた。(←今はあんまり行なわれてない厳格除去療法ですね。厳格除去は保護者の負担が大きく、また、長期に除去することが治癒には結びつかないので、最近はそういう指示をする医師はほとんどいないはずです。現在は「必要最低限の除去」が指針となっています。でも「食物アレルギー診療ガイドライン」自体が「最低限の除去」の具体的基準を明示していません。「専門医の指示をあおぐ」としか記載していません。基準を明言せず、「アレルギー専門医」を受診しろ、と言っている訳です。これはどういうことでしょうか? 皮膚科のアトピーのガイドラインは皮膚科医以外が見てもいちおうの「標準治療」ができるようになっています。つまり、食物アレルギーの明確な除去基準は作られておらず、日々更新・変更され、アレルギー専門医の間でも意見が別かれ、統一できないような状況なのではないか、とLuxelは考えています。この混乱はアレルギー科医が怠慢な訳ではなく、食物アレルギーの研究がまだそこまで進んでおらず、発展途上である、ということです。Luxelは低年齢においては短期(少なくとも2才頃まで)の除去にはそれなりの理屈がある、と考えて実践しています。というか、現在除去解除の前にSkin prick test を行なってくれる医師を探しているのですが、難航しています。。。。)

 除去食献立、食事日誌に記録。
 「疑わしい食物の除去→負荷」の繰り返し。(←これもけっこうたいへんですよね。。。このお母さん、よく頑張ってますね。。。)
 皮膚をどうケアすべきかについて医師の指導はない。(←アレルギー対処とスキンケア、両方指導できる医者って少ないです。。。ましてやアレルギー児に非ステロイドでのスキンケア、となると皆無といっていいほど。

 自由診療の別の病院から郵送される「成分不明」の塗り薬を使用(←ちょ、ちょ、ちょっと!これはダメですよ〜! 絶対ダメ! 院外処方せんの薬以外は要注意です!! ましてや受診してない医師の通販薬なんて、絶対ダメ!)

 症状は一進一退。
 原因となる食材は絞り切れない。
 首筋や口の周りの赤み、ひじやひざのかき崩しはたびたび再発。

 (この1年半くらい、ステは不使用?)
 食事療法の効果に、夫婦とも疑問を感じる。

2007年11月(2才4ヶ月ごろ)
 厚生労働省が市内で開いたシンポジウムがきっかけ
  国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)の専門医(大矢 幸宏医師)の方針
   ・ステロイド剤、保湿剤による薬物治療
   ・徹底的なスキンケア、ダニやホコリなど悪化要因への対策がコツ
   ・食事療法で食べ物を過剰に除去すると、成長の障害につながりかねない

 ※アレルギー学会による診療ガイドライン

 薬物療法もダニ対策ももうやっている。「どう薬を使い、スキンケアをどうすればいいのか」。それが分からず、少し不満だった。(←これまでの医師の説明不足、でしょう。そもそも自分で子どもの面倒をみたことのある医者って日本にはほとんどいないですから、どうしても指導内容が具体性に乏しく、観念的になりがちなんだと思います。食物除去一つとっても、複数食材の除去となると、どれほどメニューに困るか....)

患者団体「アレルギーを考える母の会」の代表の方の薦めで
 国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)
  大矢幸弘(おおやゆきひろ)アレルギー科医長
 を受診。
 (大矢医師。。。かなり良い先生、とは思います。アレルギーに関しては。。。これでステロイドの依存性のリスクについてはっきり認識してくださってるのなら、我が家だってアレルギーで受診してます。しかし、この先生の論文や総説、著書を読む限り、残念ながらステロイドに関しては日本の平均的なステロイド観しかお持ちでないようなので、受診には二の足を踏み、結局luxelは行きませんでした。。)

2008年1月(2才6ヶ月ごろ)
 センターに入院。
 清潔な肌を保つため、1日に3回入浴し、(多数回入浴が良いのか、少ない入浴が良いのか、は先生によって意見が分かれます。Luxelは基本的には後者。例外はあります。詳しくはまた記事を改めます。)
 ステロイドの塗り薬を皮膚が隠れるほど厚く塗り広げる。
 効果はすぐに表れ、皮膚は2、3日でつるつるになった。(これは当然。このお母さんがこの時までステロイドをかなり長い期間中止、もしくは控えめに使用していたおかげでステロイドへの依存は起こしていませんから、ステロイドは良く効きます。依存を起こしていた時のうちのギャオだったら効かなかったでしょう。)

 入浴をはじめとするスキンケアを組み合わせることでステロイドは段階的に減量、
 皮膚がきれいになり、食物アレルギーの影響も見極めやすくなった。(←ここが一番の問題。現時点で小児、特に乳幼児における外用ステロイドによる治療は、世界的にも「基本的に、慎重であるべき」という方針なのは間違いありませんが、「必要に応じて、使用」というのもまた共通の方針です。ここで「医師の裁量」の問題が出てきます。要するに「医師の、意識」に大きく左右されるのです。日本の医師の「慎重さ」はluxelから見れば全然足りません。大矢医師個人の「慎重さ」はどうでしょうか。以下に詳しく書きます。)
 血液検査や皮膚テストの結果を目安に、避けた食べ物を段階的に再開し、症状が出ないかを確かめた。


(6回目の記事についてはブログの記事「その3」で検証します。
この回では患者さんの経過を追うことに専念。)
 
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記事に必要な情報が欠けているため、正確な状況をつかみにくいのですが、
こんなところでしょうか。

以下はLuxelの考えです。

結局、朝日新聞の記事の主眼は何だったのか、という点について、
Luxelは「小児のアトピーの医療現場は非常に混乱している」というのが記事の主眼、と読み取りました。

このお母さんは大矢医師を受診する前に6軒も病院をかわっています。
Luxelも、ギャオの脱ステの前に6軒病院をかわりました。
つまり、6人の医師の誰も、このお母さんに満足な説明と満足な結果を提供できなかったのです。
大矢医師を受診する前には、お母さんの希望どおり、ステロイドをほとんと使わない医師もいました。
でも、このお母さんは満足できなかった訳です。それは、「ステロイドを使わない(あるいは、控えめに使う)医師」であっても、自分の治療法が何故そうなのか、ステロイドを止めればどういう結果になるか(湿疹が再発する)、それでもなお、何故、ステロイドを使わない方が良い、と自分(医師)は考えているのか、を説明していなかったから、とLuxelは考えます。「ステロイドを使わない or 控えめに使う」だけ、ではダメなのです。何故なら、このお母さんの希望は「ステロイドを使わずに、きれいな皮膚が維持できるようになること」だからです。(そりゃそうですよね〜。それができれば、誰も苦労しません。皆、その治療法に飛びつきます。)

それはさておき、今回の記事からはいろんなことが読み取れます。
日本の小児アレルギー・アトピーの治療の難しさ、特に医療現場の混乱、医師ごとに違う治療方針・・・これでは患者(の親)は迷ってしまい、Dr.ショッピングを重ねてしまうのもいたしかたないのではないでしょうか。
Luxelの目からは、日本には「ベスト」と言える治療はどこにも無いように思えます。
「ステロイドの是非」以前の段階、と言っても良いかもしれません。
この点については、大矢医師も同じです。
(だからこそ、僭越ながら、Luxel自身がこのアトピー・アレルギーブログで「ベストの治療とはいかなるものか」について私の知力の及ぶ限り考えうる最善の道を探っていこう、と考えた訳です。)

では最後の治療者である大矢医師は、先の6人の医師とは何が違ったのでしょうか。
この記事の"ステロイドに不安を持っていた"お母さんが、ステロイドを使う大矢医師の治療に同意した決め手は何だったのでしょうか。

それは「受容」と「説明」だった、とluxelは思います。

お母さんの気持ちをまず受け止め、そして、十分な、納得のいく「説明」があって初めて、このお母さんは大矢先生と先生の使うステロイドを信用したのだと思います。

あ、でも、この点、開業医の先生のかわりにちょっと釈明させてください。

患者さんの話を聞く事に2時間もかけられる開業医は、まずいません。
非番(=外来に出ない)の日がある大病院の勤務医だからこそできることです。
外来時間外に入院患者さんとゆっくり話ができるのも、入院施設がある病院の勤務医なればこそ、です。
個人の皮膚科開業医で、入院施設をお持ちの医師は皆無に等しいです。
もちろん、勤務医であっても、2時間も時間を割いて話を聞いてくれ、説明してくれる医師はそうそうはいません。(たいてい、忙しいですから。)ですから、このエピソードには大矢先生のお人柄がよく現れていると思います。
もちろん、開業医の先生にだって、同じようなことは可能なはずです。
一度に2時間もかけることはできなくても何回かにわけて患者さんの話を聞き、また、納得の行く説明が出来る先生はおられます。開業医の先生に2時間という時間は無理でも、効果的なアプローチは十分可能なはずです。

さてここでちょっとLuxelの私見を。
普通のお母さんの多くは「ステロイドは嫌だ、できたら使いたくない」と思っているでしょう。
でも、それは「何となく」であって、具体的な根拠を持たない場合がほとんどだと思います。
このお母さんもそうですね。
医学あるいは生物学のバックグラウンドがある人以外では、このブログにたどり着いた人でもなければ、「なぜ、ステロイドを子どもに使いたくないか」という明確な理由、根拠を持っている方はほとんどいないのではないでしょうか。
「怖い、と噂のある薬を我が子に使うのは怖い。」
「塗っても、やめたらまたすぐ再発する薬を続けるのは怖い。」
といったところだと思います。

医師の中にはこういう人のことを「steroid-phobia」(ステロイド忌避症、ステロイド嫌い)
と称して、治療に同意させるための説明に多大な労力を要する面倒な患者と捉え、嫌な顔をする向きがあります。
そんな、尊大な医師たちとは違って、大矢医師は根気よく、嫌な顔ひとつせず、
このお母さんの話に耳を傾け、このお母さんが言いたいことを一通り話し終わってから、
おもむろにステロイドの説明をしたのでしょう。
しかも、お母さんの「根拠のない忌避感」を解きほぐすために、丁寧に、「根拠のある使用法(=ガイドラインの使用法)」の説明をゆっくり時間をかけてする(Luxel的には、この「根拠」は十分なものではありませんが。)。それも、このお母さんの理解と歩調を合わせて、です。
このような大矢医師の人間的に誠実な姿勢が、このお母さんの信頼を呼び起こし、最終的にステロイドでの治療に同意したのだと推察します。
このように、誠実な医師から「ちゃんとした根拠のある、安全な治療法です。」と諭されて反論できるお母さんがいったい何人いるでしょうか? 

ここのくだりを読めば、大矢医師が「たいへん優れた医者」であることがわかります。Luxelも異論はありません。
まるで、優れた心理カウンセリングや優れた宗教者のアプローチを見るようです。
大矢医師が恵まれた勤務環境であることを除いても、「医師とはヒーラー(癒す者)である」を地で行く、お手本のような、しかも、最近では滅多に見られないような、良い医師であろう、と思います。

それだけに、Luxelは、大矢医師がステロイドの性質についての理解に乏しいことをたいへん残念に思うのです。

大矢医師は「この子はステロイドへの依存は起こしていないから、ステロイドを使おう」と判断した訳ではないと思います。
大矢医師に「ステロイドの依存性」の認識があることがうかがわれる彼の著述はどこにもありません。
ただし、大矢医師は「ステロイドだけでは治らない」ことは良く知っていて、ステロイドで炎症をいったん抑えた後に、皮膚バリアを修復するためのコツを患者さんにきちんと説明しています。この点はたいへん評価できます。
これで、「ステロイドが依存を起こすこと」「アレルギー体質(Th2優勢体質)を強めてしまうこと」「免疫や皮膚細胞の性質を変えてしまうこと」についてご存知であれば、ステロイドを再々使用することについて、もっと慎重な治療をなさるのではないか、と思うのです。「惜しい」としか言いようがありません。この点さえクリアしていたなら、我が家だって大矢先生のもとに通っていた、と思うのです。(アトピーではなく)小児の食物アレルギーにおいて、日本の第一人者、と称しても過言ではない先生なのですから。。。。

 この記事を詠まれている方に正確に理解して欲しいのは、
ステロイド依存を起こしていないこのお子さんに関しては、大矢医師が施した外用ステロイド療法は、”間違い”とはいえない」ということです。この下線部の限定が重要です。というのは、幸い、このケースでは「ステロイドが良く効き」、「退院後も長期に渡って少量のステロイドでコントロールできている」様子だからです。(ステロイドが良く効いたのはこのお母さんがステロイドを警戒してあまり使わなかったお陰です。)
 大矢医師の治療のポイントは「ステロイドを塗って炎症が治まったら終わり」ではなく、炎症が治まった状態を維持するため、「入浴や保湿といったスキンケア」と組み合わせている点です。ステロイド単独での治療は明らかに誤りですから、大矢医師のこの治療は「ステロイドを使う場合」においては正解です。「保湿・スキンケア+ステロイド」の組み合わせは、世界的に見れば当たり前の治療法なのですが、驚くべきことに、日本では「ステロイドのみ塗布」で治療する医師がまだまだ多く、良くても「保湿剤や消毒剤をステロイドと一緒に処方する」程度の医師がほとんどなのです。え?それだけ一緒に処方してくれたら、アイテムとしては十分じゃないの?と思われるでしょう。でもこういう処方の先生でも、大抵の場合、足りていないもの・・・・・・それは「説明」です。

理想的には、
「スキンケアのみでコントロールするのがベスト。 ステロイドには危険性もあるので、必要な時には思い切りよく使うけど、軽い時には使わない。 極力使わないで済むように、患者もスキンケアや消毒の手間を惜しんではいけない」
というような指導がないといけません。

ステロイドを塗れば魔法のように湿疹が消えてしまうのですから、ステロイドの危険性をしつこく説明されなければ、患者(の親)は「ステロイドだけ塗ってれば治るんだから、簡単だわ」とばかりに、ステロイドのみに頼って、保湿や消毒をおろそかにしがちです。
これを防ぐために、イギリスのアトピーの臨床の指導書
"Key Advances in the Clinical Management of Atopic Eczema"
では、巻頭で、しつこいほど「保湿の重要性」を説いています。

 大矢医師の治療は「間違いではない」と私が言うのは、あくまで「結果から見て」「現時点では」という限定つきです。このお子さんが結果的には「退院後も長期に渡って少量のステロイドでコントロールできている」からこそ言えることで、将来的にステロイドへの依存を起こしたり、アトピーが再発したりすれば、「間違いではない」とは言えなくなります。
 また、お母さんによっては「今、子どもの皮膚が破れているのを見るのが苦痛だ」という人もいるでしょうから、「遠い将来の不確定なリスクよりも、目の前のこの子の皮膚を今すぐ治してほしい。」と希望する人にとっては、ステロイドによって生活のQOLを取り戻すのを「間違いである」とは言えないのです。

ただし、当然ならら、外用ステロイドを使っている限り、依存やその他の副作用のリスクは「0(ゼロ)」ではありません。(無論、湿疹を放置すると化膿のリスクもある訳ですが、ステロイドは化膿をひどくします。)
この先、使い続ける限り、こういった副作用が起こってくる可能性はあります。副作用の出現をできるだけ先延ばしにするためには、保湿などのスキンケアと組み合わせて、ステロイドの使用量を最小限に抑えつつ使用するしかありません。

ステロイドはよくよくその副作用を理解して使わなくてはならない薬であることについて、全ての医師に異論は無いと思いますが、残念ながら、その副作用の全てが現時点で明確に分かっている訳ではありません。ステロイドに対する皮膚特有の依存性や、ステロイドによる分子レベルでの皮膚のremodelingの研究はまだその端緒にさえついていない、とLuxelは考えています。なぜなら、ほとんどの医師には「問題意識」すら無いからです。「問題」を認識して初めて、問題解決のための研究が始まるのですから。。。


ただ一点、私と大矢医師との意見が大きく相反するのは「検査のためだけに、外用ステロイドを使ってまで皮膚をきれいにする必要があるのか」という点です。一見合理的に聞こえますが、実際にはステロイドを止めたら、よほどスキンケアがうまい具合に功を奏していない限り、湿疹は再発します。また、アレルゲンとしてハウスダストやダニ、花粉などの「大気中抗原」に陽性の場合、食物アレルゲンの負荷試験における皮疹の発生を見分けにくくしてしまう可能性があります。私は、「ステロイドで肌をきれいにして、負荷試験」という方策は、うまく行くケースとそうでないケースがある、と予想しています。このお子さん(2才半すぎ)よりも小さい0ー1才の子で、まだTh2の方が優勢なアレルギー体質の子では、皮脂の分泌が低く、スキンケアだけで皮膚バリアを維持できず、湿疹が再発し、ちょくちょくステロイドのお世話にならなくてはならなくなる、と予想しています。こういう子にステロイドを使って皮膚を(見かけ上)きれいにし続けていると、ステロイドの使用量は増えていかざるを得ません。

そんな訳で、私自身は小さい子(乳幼児)に外用ステロイドを使ってまで皮膚テストや負荷試験をしたくはありません。アレルギー体質を強め、皮膚細胞の性質を恒久的に変え、皮膚を脆弱化させる可能性のあるステロイドを使ってまで検査をする気になれないのです。要するに「思春期以降の再発率を高めてしまう」可能性を恐れているのです。こんな先まで考えて外用ステロイドを使っている医師はほとんどいません。このリスクを懸念しているのは日本の医師ではほんの数人です。

もし我が子に外用ステロイドを使うなら、「ステロイドを使わずにやってきたのに、3才を過ぎてもいっこうに湿疹がよくならない。」という場合かな、と思います。でも、幸いうちの子はアレルギーはひどい(=多項目に陽性で、IgEも超高)ですが、湿疹は0才時に比べれば、比較にならないほど良くなってきています。このままステロイドを使わずにいっても、2才前後で湿疹は消えるのでは、と十分期待できる状況です。今さら外用ステロイドを使ってまで負荷試験をする気にはなれません。キュ〜君は現在10品目以上がクラス2以上のIgE陽性ですが、まだ離乳食ですから、これら全ての品目の除去を継続するのはそれほどたいへんではありません。(我が家の離乳食はすご〜く単調です。幸い1才半の幼児に「飽きる」という言葉は無いようです。)離乳食の進行としてはやや遅めではありますが、成長阻害を起こしていないことは毎月、母乳マッサージの助産士さんのところにいくついでに身長体重を測ってもらってますから、お墨付きです。(平均よりちょっと小さめ、くらいです。我が家に体格の良い人間はいませんから、これは妥当。)今後は、普通食へと移行して行き調理の手間がたいへんになってくる2才ごろから負荷に入り、除去を解除していけたら、と考えています。
(記事のお子さんも大矢医師の元に来たのは2才過ぎていますから、「負荷試験→除去の解除」をするには適した時期だったと思います。)

私は大矢医師が「アトピーの患児の最初の受診時にどのような指示をするか」に非常に興味があります。炎症が入院を要するくらいにまで酷くなっての受診なら、最初の数回はステロイドを用いるのも仕方ないでしょう。でも、症状が軽い患児に対してはどう指示なさるのでしょう? この内容が分かれば、大矢医師がステロイドのリスクについて、本当はどの程度造形が深いのか、(著述には敢えて書かないかもしれない部分が)分かるからです。大矢医師が記事のケースで行なった「ステロイド療法+保湿スキンケアで維持」は、今のところ、ステロイドを使う場合には最善の方法です。というか、保湿などのスキンケアなしに、ステロイドは使っちゃいけません!絶対に!(もちろん、ステロイドを使わずに維持できるのが最善。)

ただし、これ(=ステロイド治療)を初診の患者に対しても行うのなら、ちょっと待って、とLuxelは言いたいです。
順番が「スキンケアや消毒殺菌、それでもだめなら→ステロイド」ならまだしもなのですが、
「最初にステロイド→その後、スキンケア保湿で維持、という方法だとすると多いに疑問です。

もちろん、大矢医師が常に「ステロイドで炎症を止める→スキンケアできれいな皮膚を維持」という方法をとっているのかどうかはわかりません。
もしかしたらこのお子さんの皮疹の程度を見て、「これはもう、ステロイドを使わないと無理だな」と判断したかもしれず、軽症の場合はステロイドは使わないのかもしれません。どなたか受診された方がいらしたら是非、情報をください。

繰り返しますが、
記事のお子さんのケースでは、「退院後も長期に渡って少量のステロイドでコントロールできている」ということはやはり、この子は幸運にもステロイドへの依存を起こしていなかった、ということです。
たとえ根拠は薄弱であろうと、「ステロイドは怖い」とステロイドをできるだけ避けていたこのお母さんのお陰で、お子さんがステロイド依存を起こしていなかったからこそ、大矢医師のステロイド療法は良好な効果を出せたのです。
しかし、(1)いったん依存を起こしてしまったケース、あるいは(2)もっと低年齢(0〜1才)でアレルギー体質が強いケースではなかなかこうは行かないだろう、とLuxelは予想します。(ステロイド中止時点での我が家のギャオのように。)

記事のお子さんの状態を見た訳ではないので、これは想像ですが、このお子さんはアレルギー体質(食物・ハウスダスト・ダニに対するIgE陽性、総IgE高値)のお子さんで、大矢医師のところにたどりついた時点では湿疹はアレルギーのせいではなく、スキンケア(保護・保湿)が不十分であったために皮膚バリアが破綻して、そのせいで生じた炎症が持続・悪化してしまっていたのではないか、と思います。一般的な医師にとっては、ステロイドを使わずに炎症を鎮めるのが難しい状態だったかもしれません。(一般的な医師には、と断ったのは、日本には、入院が必要なくらい厳しい局面でも外用ステロイドを使わずに危機を乗り越えさせることのできる医師もいるからです。もし「入院しかないかも」と思っている読者の方がいらっしゃいましたら、どうぞLuxelにご連絡ください。具体的な医師名・病院名をお知らせいたします。)ステロイドを使わないと鎮められない、と多くの医師が考えるほど、炎症を酷くしてしまったのは、それまでにかかった医師の力量が全く不足していた、という他ありません。つまり、少なくとも7人中の6人までの医師が、このお母さんが納得できるだけの、症状や病気の仕組みについての的確な説明と、炎症を酷くしないようにするためのスキンケアや消毒の指示を提供できなかったのです。これでは、「日本には、アトピーやアレルギーをまともに治療できる医師はほとんどいない」と言っていい状況だと思います。




先ほど、
「大矢医師の著作や論文から、大矢医師はステロイドの使用にほとんど警戒心を持っていない」つまり「(教科書に記載されている以外の)リスクを認識していない」ことが見てとれる、と書きましたが、
おそらく大矢医師はまだ「明らかに、ステロイドが効かないか、悪化している」と考えざる得ない、というシビアな症例には巡り会っていないのでは、と思います。「小児に重症の依存症者が少ないために、小児科医の外用ステロイドのリスクへの認識は甘くなりがちだ」という意味のことを、かつでの同僚であった脱ステで非常に有名な皮膚科医の深谷先生もそのブログに書いておられます。
(参考)
http://blog.m3.com/steroidwithdrawal/20101126/2010_11_26__
ちなみに深谷先生は、ギャオが依存症を起こした当時、ほぼ唯一、Luxelが科学的な検討を行う対象となる文献を残された方でもあります。残念なことに、すでに当時、脱ステの医療現場からは退いていらっしゃいましたが。。。。脱ステを行なう患者さんでこの先生の存在を知らぬ者はない、というくらいに(患者の間でのみ)有名な方です。Luxelも、この先生の炯眼をたいへん尊敬しています。

では、小児ではステロイドへの依存は起きないのか?

そんなことはありません。
Luxel自身のギャオでの経験や、Luxelにご報告いただいたお母さんたちの情報から、(「成人の、依存が明らかなケース」における壮絶な脱ステロイド体験、というほどではないけど)、やはりステロイドのせいで徐々に悪化してきていた、と考えざるをえないケースがこれまでに3、4件あります。「ステロイドを塗るのをやめると再発する」という現象はあまりに当たり前で、これだけではステロイド依存とはいいません。「ステロイドの効きがが悪くなり、ランクがあがった」「長期にステロイドを使っているのに、増悪と緩解を繰り返しながら徐々に悪化した。」などが手がかりとなります。

6歳のお子さんでステロイド使用歴が5年になるお母さんが、ちょうど今まさに脱ステ実行中で
克明なブログを書いてくださっていますのでご紹介させていただきます。
しかも写真付きなのがたいへん有り難いです。
http://nachdenkereien.blogspot.com/
(ぴーふけ様、許可ありがとうございます!)

うちのギャオはステロイド使用歴としては1年とちょっと、
しかも脱ステ期が終わってからこのブログを書き始めているので、実はLuxelの、ギャオの脱ステ中のの記憶はかなり曖昧です
その点、ぴーふけ様は現在進行形なので、その成り行きを含め、たいへん興味深く拝見しています。ぴーふけ様の詳細な観察(低体温、本人の体感温度の変化、睡眠の問題等)から、ステロイド依存により自律神経の乱れが起きている=視床下部・下垂体・副腎系(HPA axis)の抑制まで起きている、と推察される点で、成人の中等度の脱ステの患者さんと共通の症状が現れているように思います。

加えて、ぴーふけさんのブログ独特の社会学的な切り込みも、たいへん興味深いです。
これだけで論文が書けそうなレベルです。
日本の医療がなぜそうなのか、ぴーふけさんのブログと海外の状況とを照らし合わせて考えると
日本の医学界の持つ病巣がかなり立体的に浮かび上がってくるように思います。

話がちょっと逸れましたが、
要は、「小児でも、ステロイド依存は起こる」ということです。

もちろん、ステロイドを使えば全員が依存を起こす、という訳ではないと思います。
ただやはり、使う量が多ければ多いほど、依存性やその他の副作用のリスクは高くなります。
また、ステロイドへの感受性には個人差があるため、一概に「ここまでの使用量なら大丈夫」といった基準はうちだせないでしょう。依存を起こしやすい体質かどうかを判別する検査法は現在のところ存在しません。

つまり、ステロイドの最善の使い方は
「出来る限り、少量に抑える。ただし、使用に際してはメリハリをつけて、いったん使うと決めたら完全に炎症を抑えるまで使う。炎症が治まったらスキンケアをがっつりやって、皮膚のバリアの維持に勤め、ステロイドが必要となるような事態に再度落ちいらないように努める」ことです。
これしかありえない、と思います。(ステロイドを全く使わない場合と、一回でも使った場合の、細胞レベル、分子レベルでの変化についての研究は皆無です。ですから、一回でもダメか?と問われれば、それは私にも分かりません。ただし、使わなければ当然リスクはゼロ、ですが、使えばリスクはわずかかもしれませんが、ゼロではなくなります。要は、「リスクとベネフィット、利益と不利益」の兼ね合いを頭に置きながら使うしかないのです。)

ちなみに、うちのキュ〜君、IgEは12月の検査でギャオを超えてしまったのですが(泣)、
皮膚の症状としては同年齢でのギャオと比べて遥かに治癒の速度が早いです。
「ステロイドを使わなければ(使った場合より早く、)2歳までには治る」という脱ステ医の先生方の説明は我が家に関しては本当だなぁ、と感慨深いです。
今のキュ〜くん(1歳半)の皮膚の状態は、お姉ちゃんのギャオの5歳くらいの状態に相当します。
もちろん、個人差というものがあるので我が家のケースだけで「ステロイドを使わない方が早く治るよ」とは言いません。(ま、「早く治るのではないかなぁ」くらいの推測です。研究者はこのへんの言い回しには気を使うものなのです。苦笑)

大矢医師の治療法自体はちょっと脇において、
保湿スキンケアとステロイド治療の関係について述べておきます。

欧米ではまず最初に徹底的な保湿によるスキンケアを指導されます。最初からステロイド、とはまずなりません。
この「保湿スキンケア、それでもダメなら→ステロイド」という方針と、日本の「まずステロイド→保湿スキンケアで維持」という方針は、似ているようで絶対的に違っている、大きな開きがある、とluxelは考えています。日本のやり方では、ステロイドの使用にに歯止めはかかりません。むしろ推奨してさえいます。というのは、日本のガイドラインだとステロイドを使わなくても保湿スキンケアだけで治った患者さんにまでステロイドを使ってしまうことになるからです。リスクのあるステロイド使用人口を増やしてどうしようというのでしょうか。

ここは米国の小児科医が言うように「保湿・保湿、3、4がなくて5に保湿、1から10まで保湿をやって、それでもどうしてもダメなら、ステロイド。」「ステロイドも3回使わなくてはならないようなら、皮膚科専門医に送ります。」(※米国の皮膚科医としてのトレーニングは日本とは比べものにならない厳しさ、だそうです。ステロイドの塗り方だけでなく休薬期間についても勉強します。日本がいくらアメリカ皮膚科学会のガイドラインだけを真似ても、医療制度(家庭医-専門医制 vs フリーアクセス制)や医師教育制度が全く違うのですから、所詮それは猿真似だと思うのです。。。)

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインの問題については
記事を改めて述べたいと思います。

朝日新聞の連載についての記事、次回「その3」で最後です。
長文おつきあいくださってありがとうございました。


朝日新聞の記事(子どものアトピー篇)の感想・その1 [アトピー余談]

朝日新聞の「患者を生きる・大人のアトピー篇」に対する記事を書く前に、
小児アトピー篇が始まってしまい、どっちを先に書こうかな、と思いましたが
Luxelは当事者の親ですので、まず「小児篇」から。

(こどものアトピー1)http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201011230270.html
(こどものアトピー2)http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201011240164.html
(こどものアトピー3)http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201011250167.html
(こどものアトピー4)http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201011260215.html
(こどものアトピー5)http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201011270164.html
(こどものアトピー6)http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201011280068.html

 前回の連載「大人のアトピー」は、記事と患者さんがあからさまに記事中の医師の意図どおりに利用されてしまっていて、医師が新聞という媒体を自身の主張を広める手段として利用している意図が透けて見えるような記事でしたので、私としては「新聞として、医師の立場や主張を検証せずに記事に載せるのはいかがなものか。新聞がそれ自体の独立性を失って、この医師の広報紙に成り下がっているではないか。」と思ったわけです。(と、バッサリ。言い切ってしまった。。。まぁ、いいか。)

今回の小児篇はさすがに医師の作為性は出ていないと思いますので、その点は評価できます。(大人のアトピー篇では患者さんからの苦情が多かったのではないか、と推測します。)
患者さん(の親)の苦悩や遍歴に焦点をあてていて、これこそこの連載「患者を生きる」の主眼でもあります。(前回の「大人のアトピー」がひどすぎただけ???)
この連載で着眼すべきなのはステロイドの使い方うんぬん、というよりは
子どもには非常に多い食物アレルギー背景のアトピー性皮膚炎について、
医療現場がいかに混乱しているか、
ということにつきます。

この記事のお子さんのケース自体についてのLuxelの見方は
「ステロイドのメリットを、今のところなんとかうまく使えているお子さんのケースだな。」ということです。(=今のところ、目を引くステロイドの害は出ていない。)

これは当然です。
この記事のお母さんはステロイドに警戒心を持って、大矢先生に会うまではステロイドをほとんど使わない方針をとってきたので、ステロイドの総使用量や使用頻度はとても少ない方に分類されるでしょう。そんな子はステロイドに対する抵抗性は誘導されていないので、ステロイドを使えば良く効くに決まっています。魔法でもなんでもない、効いて当たり前です。(これは「大人のアトピー」記事の患者さんの場合も一緒。)

私が問題にしているのは、医師も親も警戒心なく、漫然とステロイド外用剤を使い続け、はっと気がついたら、ステロイドの使用量は相当な量にのぼる割に、アトピー性皮膚炎は良くなっていないか、むしろ悪くなっている。そんなケースがけして例外というほどに少数ではない、という点です。

そもそも「大人のアトピー篇」に出てくる医師も、「子どものアトピー」篇に出てくる医師も、さも自分の使い方が正当であるかのような書かれ方をされていますが、これはちょっと「ずるい」と思います。なぜなら、皮膚科学会の「標準治療」、すなわち「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に記してあるのは、彼らが診たような、他の医療機関を点々としたあげくに酷くなり、しかも、運良く彼ら(各記事の主役の医師たち)を受診した時点でステロイド依存症を発症していない患者に限ってのみ有効な方法だからからです。このガイドライン一つで良好な治療効果を得られるのは、まだステロイドへの依存が始まっていない人に限られるのです。つまり、ガイドライン、というにはひどく不十分なものなのです。

驚かれますか?

現実の患者さんが全員、皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」どおりの治療を受けたとして、うちかなりの割合の人が記事中の患者さんのようには良くならないのです。
このことは、皮肉にもガイドラインの策定者である古江教授ら(九州大学)のデータから見てとることができます。
このことの詳細は、記事の内容を検討した後に述べます。
この朝日新聞の連載に関するLuxelの記事(アトピー小児篇)は連続3回を予定しています。

なにはともあれ、記事の全文から。

下線部についてのLuxelのコメントは赤字で示してあります。
あえて記事を中断するのは、読んだ方が記事をそのまま「そうなのか〜」と納得してしまわないように、注意を促すためです。読みづらくなりますが、どうぞご容赦ください。

(注意)
朝日新聞の「患者を生きる」シリーズは、一人の患者さんに着目して、その体験談から現代の医療を見渡す、という企画なので、記事の患者さんのパターンは全てのお子さんには当てはまりません。それは読者の方としても注意する必要があります。

皮膚 子どものアトピー:1 生後3カ月、「もしかして」

2010年11月23日
 2007年の秋。札幌市の女性(42)は、疲れ果てていた。  次男(5)がアトピー性皮膚炎を発症して2年。「医師の指示を守り、症状改善にいいと思ったことはすべてやった」。でも、皮膚の赤みはひかず、次男はひどくかゆがった。
 女性は毎朝5時半に起床して、家中の床にモップをかけた。アレルギーの原因になるホコリが舞い上がらないようにするためだ。アトピーや食物アレルギーがよくなることを信じ、卵や乳製品、カニ、エビや貝類は、料理に使わなかった。無農薬の食材を通信販売で取り寄せて調理した。朝食のあとは掃除機かけ。次男が昼寝するわずかな時間に食事日誌を開き、アトピーに関係していそうな食材を探りながら、次の献立を考えた。夕食後には再びモップがけ。翌日の食事の下ごしらえも待っていた。
 それでも、次男の症状がよくなる兆しはない。夜も1、2時間おきに目を覚まし、ほおとひざをかきむしりながら「かゆいよ」と泣いた。「かかずに、トントンしようね」。そう言ってなだめるしかなかった。夫(45)も、寝付けぬ次男を背負ってあやしつつ、うとうとすることがよくあった。
 「できることはすべて、しなければいけない」。自分たちを追いつめるそんな考えが、睡眠不足の日々を支えていた。
 異変に気づいたのは、生後3カ月のころ。  おなかのあたりの皮膚に赤みが出ていた。それが、2週間ほどで全身に広がった。ひじやひざの裏などの関節はかさかさになり、粉がふいたようだった。「もしかして、アトピー?」。すぐに近くの皮膚科を受診した。診断結果は「今はまだ、アトピーかどうか診断がつかない」。処方されたステロイドの塗り薬や保湿剤を塗ると、2、3日で赤みやカサカサはうそのようにひいた。
 ところが、薬をやめるとまたもとにもどった。塗ってはやめ、また塗ってはやめるの繰り返しだった。そのうち全身の赤みが増し、耳のまわりがただれてきた。ママ友達に相談すると、「ステロイドって、使い始めたらやめられなくなるんじゃない?」と言われた。不安が増した。塗れば効果はある。「それだけ、強い薬なんだろう」。インターネットや口コミでアトピーの情報を集めた。10カ所近い病院を転々とする、2年間の始まりだった。

皮膚 子どものアトピー:2 ステロイド・食事 不安絶えず

2010年11月24日 
 札幌市の女性(42)は2005年10月、全身の皮膚に赤みが広がった次男(5)を連れて近くの皮膚科を受診した。医師は「アトピー性皮膚炎かどうか判断できない」としつつ、ステロイドの塗り薬などを処方した。なぜ判断できないのか。なのになぜ、ステロイドを出すのか。説明はなかった。でも、こちらから根掘り葉掘り聞ける雰囲気ではなかった。不信感が募り、ステロイドを使わない治療法を探し始めた。
 11月、漢方と食事療法を中心にした治療に取り組む市内のクリニックに行った。ここで初めて、アトピーと診断された。「お母さんは無農薬、無添加の食材で、野菜中心の食事をとってください」。医師はそう指示した。母乳を通した影響を避けるためらしかった。クリニックの方針で、ステロイド剤の使用は中止になった。
 変化はすぐに現れた。ステロイドで抑えこんでいた炎症が再発し、肌が真っ赤に。かゆみで夜、寝付けなくなった。(当然の現象です。。スキンケアで皮膚バリアの穴を塞ぐことなく、ステロイドで免疫系炎症細胞を退散させるだけでしたから、ステロイドを抜けば炎症細胞がまた集まってきます。今までステロイドを使ってきた子の使用を中止させるなら、医師は上記のことを予想し、スキンケアをがっつりやって皮膚バリアを破綻させないよう指示すべきだったのです。)女性と夫が交代であやす日々が始まった。これはステロイドをやめた反動、と思っていた。「いずれ治まる。いまは耐えるしかない」(←0才のアレルギー体質性のアトピーは、反動=リバウンドでなくても、結構ひどいものです。この時点での湿疹がリバウンドなのか、本来のアトピーなのか、知る術はありません。そもそも皮膚リバウンドは定義どころか研究さえロクになされていないので、医師にもその湿疹がリバウンドなのか、本来のアトピーなのか明確に区別することはできません。ステロイドを使っていると、「本来のアトピー」がどのレベルなのか、知る事は非常に難しくなります。ステロイドが「本来のアトピー」をマスクしてしまうからです。「ステロイドを使わない場合の自然経過」をほとんどの医師が知らない、というのが現状です。この医師もそうだったのでしょう。知っていれば、当然、ステロイド中止の際に、母親を驚かせないために、十分説明をしたでしょうから。ステロイド慎重派の医師でも、ステロイドなしでのアトピーの自然経過についてよく知らないことがある、という実例です。)次男は耳の周りの皮膚がただれてじゅくじゅくし、人なつっこい笑顔が消えた。ほっぺや耳の前あたりをかきむしった。赤くはらした腕の肌をかき崩さないよう、丸く巻いた紙をギプスのように腕にかぶせてしのいだ。「このままだと、きっと命にかかわる」。たまらず、別の小児科に駆け込んだ。06年の春になっていた。
 「まずは炎症を抑えましょう」。再び処方されたステロイド剤を使うと、症状は改善した。でも、気持ちは「治療の振り出しに戻っただけ。いつまでこれが続くの」。2カ月ほど続けるうち、あせりといらだちが募った。そんなころ、アトピーが食事療法でよくなったという体験談が、本やインターネットに出ているのが目にとまった。授乳をやめて離乳食をあげていたころだった。母乳を飲ませた後、次男の皮膚が真っ赤になったことがある。女性は直前にカニやエビを食べた。食べ物の成分が母乳を通じて伝わり、症状を起こしたのかと不安になった。だったら、いまの食事からアトピーに関係しているものを除けば、ステロイドなしで治るかもしれない。そのときは希望の光が見えたように感じた。

皮膚 子どものアトピー:3 増える除去食、絞れない原因

2010年11月25日
 札幌市の女性(42)は06年7月、「食物アレルギーの名医」と口コミで評判だった市内の小児科を受診した。食事療法で次男(5)のアトピー性皮膚炎を治すつもりだった。実際、食べ物がアトピーを悪化させることはある。ただ、まず皮膚の炎症を抑えてからでないと、食べ物が関係しているのかどうか、判断できない。でも女性は「食事をがんばれば、きっと治る」と信じていた。米と小麦の除去から始まった。オートミールやアワに加え、制限のない魚や果物を中心に次男用の食事作りに工夫を重ねた。ステロイド剤はまもなく処方されなくなった。症状は改善せず、全身の赤みが再発した。
 07年3月、制限のないキウイを食べた次男の口が腫れ呼吸困難に陥った。食物アレルギーによるアナフィラキシーショックだった。「米と小麦以外にも原因の食事があるかもしれない。もっと徹底して制限しないと」。そんな思いが強まった。自宅を念入りに掃除し始めたのもこのころだ。
 5月には、別の小児科クリニックを知人に紹介された。受診すると、医師から一枚の紙を渡された。アレルギーの原因と疑った卵、乳製品、エビ、タコ、貝類を食べないとの指導に加え、腸内環境を乱す砂糖や酸化した油、スナック菓子、果物も避けるように、とあった。「こんなにたくさん?」。最初は驚いたが、「がまんしていればよくなる」と言い聞かせた。しかし、血液検査で反応が出た食材が次々と追加され、除去食は増え続けた。指示を受けて毎食の献立に使った食材を食事日誌に記録した。アトピーの症状と関係ありそうな食べ物があればしばらく食べるのをやめ、影響がないか確認しながら、再び食べ始めるというやり方だった。皮膚をどうケアすべきかについて医師の指導はなく、自由診療の別の病院から郵送される、「成分不明」の塗り薬を使った。
 食事日誌とのにらみあいが続いた。しかし、症状は一進一退で、原因となる食材が絞り切れない。首筋や口の周りの赤み、ひじやひざのかき崩しはたびたび再発した。コンニャク、マグロ、牛肉や鶏肉……。制限する食材は増える一方だった。買い物先のスーパーで突然顔がはれてから、原因物質を吸い込んだのかと思い、外出も控えた。何が原因なのか。考える気力もうせていた。

入院、薬漬けの不安再び

2010年11月26日
 次男(5)のアトピー性皮膚炎の治療に疲れ果てていた札幌市の女性(42)は2007年11月、すがる思いで、厚生労働省が市内で開いたシンポジウムを聴きに行った。壇上では、国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)の専門医らが、アトピーや食物アレルギーの症状をコントロールするこつを話していた。ステロイド剤や保湿剤による計画的な薬物治療、徹底的なスキンケア、ダニやホコリなど悪化要因への対策が、治療の柱になること。食事療法で食べ物を過剰に除去すると、成長の障害につながりかねないこと。治療の羅針盤とするため学会が作った診療ガイドラインの存在を、初めて知った。でも、薬物療法もダニ対策ももうやっている。「どう薬を使い、スキンケアをどうすればいいのか」。それが分からず、少し不満だった。
 「医療や薬への不信を募らせず、ガイドラインを知って治療を選べば、子どもの症状も変わります」。シンポの最後に講演した患者団体「アレルギーを考える母の会」の園部(そのべ)まり子代表(56)が会場に呼びかけた。その声は力強く、表情は明るかった。講演を終えた園部代表に、夫と駆け寄った。「とにかく話を聞いて欲しい。食事療法で、食べられるものがほとんどないんです」行き過ぎた除去食療法で栄養が不足し、皮膚炎を悪化させたり、成長障害を起こしたり——。園部さんは、そんな子どもの相談例をたくさん耳にしていた。(←今は厳格な除去食療法を指示する医師は少ないです。厳格な除去食療法が流行したのは昔、15年ほど前まで。患者の親の勝手な除去により栄養不良に陥る、というケースの方が多い、とされる。なぜここで除去食の弊害についての患者団体代表の話が出てくるのか、文脈的に謎。この代表の方は「この子の除去食糧法が”行き過ぎ”なのか”適切”なのか判断がつかなかった」ので「大矢医師に判断をあおぐよう勧めた」ということでしょうか。おそらく子どもに明らかな栄養不良症状はみられなかったが、親が除去食を作るのに肉体的・精神的に疲労困憊し、何を信じれば良いか分からない、という混乱の極にあったので、思い切って東京という遠隔地への受診を敢えて勧めたのではないでしょうか。)  講演していた同センターの大矢幸弘(おおやゆきひろ)アレルギー科医長への相談を勧められた。札幌から800キロ以上離れた東京での治療になるが、迷いはなかった。「すぐ行こう」。夫も賛成してくれた。食事療法の効果に、夫も疑問を感じていた。  2カ月後の08年1月、センターに入院。治療内容はこれまでと全然違っていた。清潔な肌を保つため、1日に3回入浴し、ステロイドの塗り薬を皮膚が隠れるほど厚く塗り広げる。効果はすぐに表れ、皮膚は2、3日でつるつるになった。ところが、かつて抱いていた罪悪感が女性の中でまたふくらみ、不安になった。「このままステロイド漬けになるのでは」。夜の病室でぐっすり眠る次男の顔を見ながら、ひとり、涙を流した。 皮膚 子どものアトピー:5 丁寧なケアで肌なめらかに 2010年11月27日  札幌市の女性(42)は08年1月、東京の国立成育医療センターに入院した次男(5)のアトピー性皮膚炎が落ち着いたことにほっとした。同時に、たっぷり塗るステロイド剤への不安が募った。やめられなくならないか。  「心配なことはありますか」。そんなとき、大矢幸弘医師から声をかけられた。うまくいかなかった食事療法、ステロイド剤への恐怖。たまっていた思いをぶつけた。大矢医師はしかったり、笑ったりすることなく、耳を傾けてくれた。「アトピーは、努力が報われる病気です。症状に応じて段階的にステロイドを減らせば、再び量が増えるようなことは、まずありません」。(←「症状に応じて段階的にステロイドを減らす」というのは、いったん依存がおきてしまった患者さんには非常に難しいのは、以前の記事で述べたとおりです。この患児は、連載「大人のアトピー」篇に出てくる患者さんと同様、相当の期間、ステロイドを使用していませんでした。大矢医師のステロイドを使った治療が劇的に効いたのはそのためです。こういう患者ばかり立て続けに選んで記事にしている、というか、記事になるほど理想的にステロイドがスパッと効くケースというのは、長い休薬期間のうちにステロイドへの感受性が回復していた患者さんに限られるからです。長い休薬期間をはさめば、ステロイドはまた効くようになるのです。ただし、初回時よりも耐性や依存は起きやすくなっている可能性が高いのですが・・・・。)大矢医師の言葉が心にしみた。話し始めて、2時間近くたっていた。  アトピーの治療では、強い炎症がいったん治まっても丁寧なスキンケアを続けて肌のバリアを保ち、ダニなどの悪化要因を減らす必要がある。(←これは正しいです。皮膚バリアが穴だらけのままだと、アレルゲンや刺激物質が侵入してまた湿疹が再発してしまうので、ステロイドを使った後に保湿などのスキンケアによって皮膚のバリアの穴を塞ぐのはたいへん大事。皮膚を良好な状態に保ち、ステロイドの使用量をなるべく少なく抑えましょう。いったん「ステロイドを使う」決心をしたなら怖々ちょびっと塗るよりも、湿疹が完全に消える量を一気に塗った方が良いでしょう。もちろん一番良いのはステロイドを使わずにコントロールしていくことですが、どうしても使わざるを得ない状況に追い込まれたなら、ネクスト・ベター=「最小の量で最大の効果を」を心がけるべきです。)大矢医師は、家族と納得いくまで話し、治療への理解を深めてもらうことを入院の大きな目的に位置づけていた。言葉通り、必要とするステロイド剤は順調に減り、最初は毎日だったのが2日おきに。皮膚がきれいになり、食物アレルギーの影響も見極めやすくなった。血液検査や皮膚テストの結果を目安に、避けた食べ物を段階的に再開し、症状が出ないかを確かめた。(←皮膚がきれいになるのであれば、別にステロイドでなくても良い。しかし、2才以前ではステロイド無しで肌をきれいな状態で維持するのは困難であろう。しかし、小さい子に強烈なホルモンであるステロイドを使用してまできれいな皮膚を維持する必要があるのか、疑問。皮膚バリアの穴が閉じきれいな皮膚になる2才頃までは、アレルゲン検査&除去で対応すれば良いと考えている。詳細は別の記事に詳述します。)
 1カ月の入院を終え、もうすぐ3年たつ。「はい、次は顔」。女性の声に、浴室の次男がぎゅっと目を閉じた。ふわふわに泡立てたせっけんで、目の周りを回すように洗う。ひざやひじにも丁寧にせっけんを伸ばし、指の腹でもむようにしっかり洗った。入院中に指導を受けたスキンケア法での入浴は、今も欠かさない。体液がにじみ、寝付けぬ夜を夫婦であやした日々がうそのように、肌はなめらかだ。(←いかにも大矢医師による入院治療が功を奏した印象だが、そうではない可能性も高い。この時点で患児は既に5才。たいていのアレルギー体質性アトピーは治まる時期です。食物アレルギーもこの年齢くらいになるとかなりの割合の子が自然に耐性を獲得して卒業していきます。もちろん、大矢医師に出会わなければ、保湿などのスキンケアが不十分なままアトピーを悪化させていった可能性もあります。)ステロイド剤は、皮膚がかさついたときに使うことが月に1度あるかないか。食物アレルギーの除去食も、いまは乳製品や甲殻類、貝類くらいだけだ。アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の病気は、症状をコントロールしながらうまくつきあう病気だ。不安を受け止めてくれて、納得いくまで治療法を助言してくれる医師との出会いがよかったのだと感じる。次男はあと1年あまりで小学生。学校給食に備えて、じっくり除去食を減らしていこう。女性はそう思っている。

皮膚 子どものアトピー:6 食べ物の影響、まず皮膚症状抑えて

2010年11月28
 アトピー性皮膚炎を患う小さな子どもは、じんましんや呼吸困難などのショック症状を起こす食物アレルギーにも、苦しむことが多い。これは、特定の食べ物を体が異物とみなして免疫が過剰に働いて起こる。国立病院機構相模原病院の海老沢元宏(えびさわ・もとひろ)アレルギー性疾患研究部長らの研究では、同病院でアトピーと診断された乳児の70%以上が食物アレルギーも起こしていた。
 「患者を生きる 子どものアトピー」<1>〜<5>で紹介した母親のように、アトピーによる湿疹などの症状も徹底した食事制限で治る、と考える人は多い。食物アレルギーが関係しないアトピー性皮膚炎も少なくなく、「区別して考えることが大切」(←この点、皮膚科医よりアレルギー医の認識の方が正しい、と思います。皮膚科で区別して考えている医師は稀。)と海老沢部長。両者の関係については、まだよくわかっていない。国立成育医療研究センターの大矢幸弘アレルギー科医長によると、乳児期にアトピーなどで湿疹ができ、皮膚のバリアが弱まると、皮膚を通して体内に入った食物の成分やホコリが異物と認識され、アレルギー反応を引き起こすことがあるという説が、最近では有力になっているという。
 食物アレルギーが疑われる場合でも、まずは皮膚の症状を抑え、バリア機能を回復させる必要がある。厚生労働省研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2008」では、ステロイドの塗り薬やスキンケアといったアトピーの治療をしても症状が改善しない場合、食物アレルギーの影響を疑い、原因の食物を絞り込む(←ステロイドの塗り薬を使用する前に血液検査をすればいいのでは?とLuxelは思いますが。。。。なんか、最近、アレルギー学会が皮膚科学会に丸め込まれようとしているように感じのは気のせいでしょうか?アレルギー医であれば、ステロイドがTh2を誘導する性質を知らないはずがない、というのは私の買いかぶり?)としている。血液を採って、食物の成分と反応をしないか調べたり、専門医の監視のもとでその食べ物をとって症状を調べる「食物負荷試験」をしたりして、取りのぞく食物を判断する。
 ただ、アレルギーの症状を起こさなくても血液検査に反応することがあるので、注意が必要だ。血液検査だけでなく食物負荷試験などの結果をもとに、最小限の食事制限にとどめるのが原則だ。
 食物アレルギーが関係しないアトピー(←「アレルギー体質性アトピー」と「アレルギー体質が関係しないアトピー」とを区別して考えている点は評価できる。)も、ダニ、ホコリ対策など家庭での取り組みを続けることが大切だ。小さな子どもは、自分ではうまくスキンケアができない。「1日2、3回、よく泡立てたせっけんでもみ洗いしてあげて欲しい。継続したスキンケアや掃除などの環境整備は、お子さんの肌をつるつるに保つための出発点です」と大矢医師はいう。(林義則)


アトピーとアレルギーの関係(その1) [アトピー余談]

このブログに来る皆さんは、ほとんど、お子さんの皮膚について悩まれている方だと思います。
私自身も最初、そうでした。
親はまず目に見える症状のことで頭の中がいっぱいいっぱいになっちゃいますよね。
私も上の子のことで、アトピー性皮膚炎や皮膚科学、ステロイドの薬理についてはかなり調べたのですが、アレルギーの可能性については見落としていて、対処のスタートが出遅れてしまいました。

という痛い経験から、こう言わせてもらいます。

子ども、特に0〜6才の場合ですが、
「湿疹を見たら、アレルギー体質を疑え!!」

そこのお母さん!
乳児湿疹やアトピーだとばかり思っていて、アレルギー検査を何もしていないというのなら、とりあえず検査を受けましょう(笑)。
検査は血液で簡単に検査でもできますし、保険もききます。皮膚試験(今はプリックテストが多い)を実施する先生もいます。何はともあれ、一度は検査を受けてみましょう。子どもの体質を把握しておくことには意義がある、とLuxelは思います。

(「検査で陽性=即、食物除去」を勧めている訳ではありません。念のため。私自身は今のところは一応、主治医の支持どおりに1才半までの除去を予定してはいますが、予定変更もあり得ます。その後は耐性獲得を目指す予定でいます。また、1才半までの除去が適切かどうか、という点でもまだまだ議論の余地があります。詳しくは「除去の是非」と「耐性獲得法(別名:経口免疫療法)」の記事に書く予定ですが、まだまだ調査することが多く、時間がかかるので、調べがつくまで「とりあえず除去」で対応しているだけです。1才半まで、というのは、そのころには皮膚がだいぶ落ち着くのではないか?という予想と、1才前の検査でIgE陽性の項目が増えてしまい、それが離乳食に使った食材だったため、「一歳ではまだダメなのか・・・じゃあ、一歳半まで」と単純に考えただけで、それ以外に1才半の根拠がある訳ではありません。)

なぜ「アレルギー検査なのか?」
というと・・・・

小児、特に乳幼児(〜6才くらいまで)のアトピー性皮膚炎には2つ(以上)のグループがある、と考えるのがどうやら妥当のようなのです。
一つは「アトピー性皮膚炎(or 乳児湿疹)」と「(食物 or 吸入抗原)アレルギー」を併発しているグループ《併発群》、
もう一つは「アトピー性皮膚炎(or 乳児湿疹)」単独で発症しており、アレルギーの徴候の無いグループ《アトピー単独群》です。

※アトピーっぽい子でも「0才台ではアトピー性皮膚炎という診断はしない!」というポリシーのお医者さんもいるので、「アトピー性皮膚炎 or 乳児湿疹」としました。英語なら"infant eczema"の一言で済むのですが。

なぜかというと・・・
「食物アレルギー」と診断された3才以下の子の「アトピー性皮膚炎 あるいは 湿疹の併発率」はなんと8割以上です。(0才では9割以上。0〜6才でトータルすると6割)
反対に「アトピー性皮膚炎」と診断された乳幼児の食物アレルギーの併発率は、論文によりますが、33〜63%。乳児だけに絞ると、なんと74%!という数字です。

スライド1.jpg
 ※上図の円の大きさはいい加減です。

いずれにせよ、皮膚に湿疹がある子の半数程度は食物アレルギーを有し、何らかのアレルギー性疾患(喘息、花粉症のような鼻アレルギー)のどれかを併発する確率はこれ以上、となります。

アトピー性皮膚炎ははっきりした抗原(=免疫の攻撃の対象となる物質)がある訳ではないので、正確に言うと「アレルギー」という名の病気ではないのですが、「アレルギーを発症する子」が発症しやすい疾患である、ということは確かです。

分かりにくいでしょうか?

「アレルギー体質の子」は「食物アレルギー」や「花粉症などの鼻アレルギー」になりやすいのはもちろんですが、こういう体質だと「アトピー性皮膚炎」や「喘息」にもなりやすいのです。しかし、「アトピー性皮膚炎=アレルギー病」という説は誤りです。アレルギー反応というのは、抗原(=免疫が反応する単一の原因物質)がはっきりしており、抗原ー抗体反応や抗原−T細胞刺激など、経路もはっきりしている反応です。花粉症などはアレルギーです。原因物質(抗原)がスギなどの花粉であることに疑いはないでしょう。

「アトピー性皮膚炎≠アレルギー」なのです。
でもアトピーは「アレルギーの人がなりやすい病気」であると言えます。
この違いが理解できますでしょうか。これより良い説明ができないので、申し訳ないですが・・・

皮膚科の先生とアレルギー科医の論争の溝はこの部分にあります。
皮膚科の先生からすれば、「だって、IgEが低いアトピーの子だって相当数いるじゃないか!だからアレルギーなんかじゃないし、IgEが原因なんかじゃ絶対にない!」となり、アレルギー科の先生からすれば、「そうはいっても、合併率は高いのだから、何らかの関係はある、と考えるのが妥当でしょう!」という主張となります。どちらも間違いではないのです。
ちなみに後者が主張するのはIgEが高く、何らかのアレルゲンに対するIgEが検出される子ども、つまり「併発群」を指しています。皮膚科医の先生は「アトピー単独群」を指して言っている訳です。
アトピー性皮膚炎を一つのグループと考えるから説明に無理が生じるのであって、「出ている症状は同じだけど、病気の成因(原因)が異なる2つのグループから成っている」と考えると明快に説明でき、治療法も分けて考えることができます。両者の主張は、一部はどちらも正しいのです。(というのがLuxel の解釈です。)

それが何故このように喧嘩になってしまうのかというと、アトピー性皮膚炎としては「併発群」の子も、「単独群」の子も「皮脂を始めとする皮膚バリアの機能低下」によって湿疹が起きているので、視診では区別がつかないためです。この2グループの見分け方の目安となるのが「IgE値」です。(完璧な指標ではないです。大まかに分けることはできますが。)

我が子がどちらのグループか、区別をつけるには最低でも血液検査でIgEの総量と抗原の種類を調べる必要があります。(実際にはわずかに『IgEは正常値だが、アレルゲン特異的IgGは立派に出ている」という「隠れアレルギー」もあるのですが、ここでは話を簡単にするために端折ります。)

《併発群》の子は血中のIgEの濃度が高いことが目安です。これが高い、ということは、そのIgEは何らかの抗原に特異的に結合するIgEであることが多く、RAST検査をすれば、たいていの子で結合する相手=アレルゲンの種類が分かります。
この群の子は「アレルギー体質」の子、と称してだいたい当たっているでしょう。
「アレルギー体質」というのは、Th2型免疫が優勢、というか過剰に活性化しやすい体質のことです。しかし、ここで間違ってはいけないのは、「IgEがアトピーの皮疹を起こしているわけではない」ということです。

IgEが起こすのは抗原との接触直後から2時間くらいの間に反応が始まる、とても早い反応「即時型反応」です。これが皮膚におきると湿疹がひどく悪化し、そして数時間後には消えてしまいます。これはアトピー性皮膚炎の皮疹とははっきり異なりますので、まず見間違うことはありませんし、原因抗原を探し出すのも容易です。(ただ、アトピー性皮膚炎の子がアナフィラキシー反応を起こすこともあります。)

じゃあ、IgEがアトピーの原因でないのなら、わざわざ血液検査をして調べる意義は何なの?と思うでしょう?
抗体には大きく分けて、IgD、IgM、IgG、IgA、IgE、という5種類のisotypeがあります。血中へはIgDを除く4種の抗体が出てきます。また、IgG分子を細かく分けるとIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の4つのサブクラスに分かれます。問題のIgEというタイプの抗体は、免疫が大きくTh2側へ傾いた時にしか出てこないのです。免疫のバランスがTh2側へ傾いた時に出てくる抗体は、IgG1、IgG4、IgA、IgEです。

つまり
IgE高値は免疫がTh2へ傾いていることを示す指標

となるのです。

その子の体質がTh2の方へどのくらい傾いているか、を大雑把に知るマーカーとなります。
とはいえ、B細胞がIgEを作る能力(というか産生量を規定する因子)には個人差が大きく、IgEの高さ=Th2の活動性の高さ=Th1の活動性の弱さ、という風に、直接的には結びつきません。
IgEが高い子は、大雑把に「(Th1/Th2の)どちらかといえばTh2の活動性が高い、アレルギー体質っぽい子なのね」くらいの把握になります。
Th2活動性の高さを絶対値で表すような指標ではありません。

説明が後回しになりましたが、Th1とTh2について簡単に説明しますと、
これらはどちも"ヘルパーT細胞(Th)"のタイプです。Thには2つの種類があります。
T細胞は最初Th0といって、Th1でもTh2でもない状態にあります。
それが最初の抗原感作を受けた時の刺激の種類によってTh1かTh2のどちらかに分化(変化)を始めるのです。Th1に分化するか、Th2に分化するかで、そのヘルプする免疫の性質が大きく異なります。

はなはだ簡単な説明ですが、
Th1型の免疫応答、というのはウィルスや結核などの細胞内侵入病原体を殺すようなタイプの免疫で、「細胞性免疫」を誘導します。リンパ球が直接、感染細胞ごと殺すことのできる強い免疫です。
Th2型は「体液性免疫」つまり抗体産生がメインとなるような免疫応答です。多くの細菌や異種タンパク質、寄生虫などが体内に侵入してきた時に誘導される免疫応答です。Th2細胞はB細胞が抗体を作るのをヘルプする訳です。

T細胞の多くはこのTh1とTh2のどちらかに分化して成熟するのですが、病原体の種類によってTh1が多く分化するか、Th2が分化するかは決まっています。
そして一個のT細胞はTh1かTh2のどちらかへといったん分化すると、その分化は不可逆的で、死ぬまでの間にもう一方のタイプに変化する、ということはありません。(分化の途中まではTh2がTh1へ分化する能力はありますが、一定以上に分化が進むと他のタイプへは変化しません。)
そして、お互いがお互いへの分化を抑えるサイトカインという分化因子(蛋白分子)を分泌しているので、Th1が優勢なヒトとTh2が優勢はヒトとがいる訳です。アレルギー体質とはTh2優勢体質のなかでも特に強いTh2優勢、と考えられています。(Th1ーTh2という軸の他に、免疫全体の力の強い人ー弱い人、という軸(個体差)もありますので、単純な把握は難しいです。)

このTh1もTh2も、ヒトが産まれた後、数多くの病原体に免疫が遭遇することで刺激を受け、数を増やしていくのです。赤ちゃんは生後10ヶ月ごろからちょくちょく熱を出すので、働くママ泣かせなのですが、これは免疫を鍛えるのには必要な過程で、生物として必修科目のようなものなのです。逆にいうと、子宮内は基本的に無菌なので、赤ちゃんの免疫は戦う必要がありませんから、出生直後には「免疫記憶=ゼロ」で、Th1もTh2もほとんどいません。こういう段階はTh0というnaiveなT細胞ばかりです。それが、出生直後から菌があっという間に腸内や皮膚に住み着き、常在細菌となるのです。本当に、産道でお母さんから菌をもらうやいなや、その菌が爆発的にふえ、生後1日も立てば、立派に腸内細菌が住み着いています。こういった細菌は「何もしない」のではなく、ちゃんと免疫系細胞に適度な刺激を与え、育ててくれます。もちろん、「適度な刺激をくれる良い細菌」ばかりなわけはなく、赤ちゃんは子宮から出たとたん、病原菌やウィルス病原体の侵略をも受けるのですが、なぜ平気かというと、胎内でお母さんの血液から胎盤を通してこういった怖い病原体に対抗する抗体をもらい、生後はさらに母乳中のIgA抗体や様々な防御因子によって病原菌や病原ウィルスから守られているからなのです。こういう、赤ちゃん本人の自前の免疫ではない防御機構を「受動免疫」といいます。しかし受動免疫はだいたい生後10ヶ月ごろには切れてしまいます。この頃からいよいよ赤ちゃん自身の免疫は自力で戦い始める訳です。

ちなみに、Th1を刺激するような強力な病原体というのはかなり種類が限られていますし、基本的にそういう病原体に対する免疫をお母さんは持っているので、そのお母さんからの受けついだ抗体が守ってくれますから、10ヶ月までは赤ちゃん自身の免疫が戦う場面は実際には非常に限られています。(しかもワクチンを打っているのでTh1応答が必要になる事態が非常に少ない、と想像されます。)Th1が必要となるようなウィルスや細菌は細胞侵入性や細胞破壊性が強いので、ひどい熱が出たりします。この熱がTh1型免疫を起動するスィッチの役目をします。(だから熱はなるべく下げてはいけないのです。もちろん40℃を超えようか、というような異常な高熱は別ですよ!)こういったTh1を誘導する性質が強い病原体に出会うことがなければ(出会っても侵入されなければ)、少々の病原刺激では、免疫はTh2型応答、つまり抗体で済ませてしまいます。そんな訳で、赤ちゃんは全員、生まれつき(どちらかといえば)Th2優勢に傾くのが自然なのです。それが大きくなるにつれ、手強い病原体と何度も戦いを重ねるうちにTh1の勢力が強くなり、Th1―Th2のシーソーの、Th2への強い傾きが(反対側へと)戻していくのです。これがアレルギー性のアトピーーや湿疹が2才頃にはほぼ治る、という現象の仕組みです。(と、Luxelは考えています。)今、「えっ?」って思ったヒトはなかなか冴えてるヒトですよ〜♪ この「アレルギー体質」と「皮膚」の関係は次回記事(その2)で説明します。この関係は「何故、(アレルゲン食物を)除去した方が良いか?」にもつながる問題なので、お楽しみに!

(追記)
同じ一人のヒトの中でも人生のなかでTh1―Th2体質はシーソーのようにお変化することがあります。
例えばTh1型のヒトでもガンになるとTh1の活性が抑えられることにより、Th2の方に傾きます。
腸内細菌の種類によってもアレルギーの症状が軽くでたり、重く出たりします。この現象は腸内細菌の種類によってTh1を誘導or活性化するものと、Th2を誘導 or 活性化するものとがある、という論拠になっています。
うちのキュ〜君みたいにTh2への傾きがもともと強い子でも、リンゴ病ウィルス(Parvovirus B19)のようなTh1誘導能の強い病原体に感染すると、Th2への傾きがTh1に引き戻され、あっという間にアトピーが引っ込むこともあります。(その後の水痘感染とウィルス性の風邪のお陰で、Th2への傾きが戻ってしまい、湿疹も戻ってしまいましたが・・・しくしく (T T)
中でも最も劇的なのは、Th2優勢の赤ちゃんも、成長するにつれ、だんだんとTh1が強くなり、Th2はそれほど強くなくなることです。

その証拠が、"TARC"という血中に存在する蛋白質です。TARC(Thymus- and activation-regurated chemokine)は細胞の移動を司るケモカインという蛋白質の一種で、Th2を動員する作用があります。TARCが高い時はTh2細胞がたくさん動員されていて活動性が高い状態、つまり「TARC=
Th2活性のマーカー」と(大雑把には)考えてOKです。TARCは血液検査で測定でき、保険も適応されるのですが、このTARCの値はアレルギー体質の人ほど、そして、赤ちゃんほど高いのが特徴です。年齢ごとに「正常値」、つまり「健康な人の値」が異なり、下のようになります。

成人:450未満(pg/mL)
小児(2歳以上):743未満
小児(1〜2歳):998未満
小児(6〜12ヶ月):1367未満!
(この値は検査会社によって多少異なる。上記はSRL社の値)

ね? なんと、赤ちゃんは大人の3倍以上あっても正常なのです。
それに、2才頃までの下がり具合が急なのが分かりますよね?
これが意味するところは、「2才までに急速にTh2が抑制される」です。

ただし、アレルギー体質のお子さんはやはり何らかの異常により「Th2の活性が高い」体質なので、TARCのもともとの値も高くて、TARCの下がり具合も遅れる可能性が高く、下がっても高止まりする可能性はあります。でも、あまりこの数値に振り回される必要はありません。目安にはなりますが。何のことはない、皮膚の炎症の程度ときれいに相関するので、「見ても分かる」のです。他の子の値と比較することにあまり意味はありません。(TARCはステロイドを処方する医師たちの、「ステロイドの強さを決めるために客観的な指標が欲しい」というニーズに答えるものとして検査に使われています。)

産まれた時にはTh2が優勢な赤ん坊も、感染症に再々かかることによって、だんだんとTh1の方が活性化してきて、そのぶんTh2色が薄れていくのです。だいたいの子が3才を過ぎるころにはもうあまり熱を出さなくなることを、ほとんどのお母さんが経験しているでしょう。

その他にも
Treg、Th17、という新しく見つかったT細胞の種類もあるのですが、これについては今後の別記事にてご紹介します。

という風に、免疫がTh1かTh2か、という問題はアレルギー体質に深く関わっています。


さて、次回いよいよ「アトピーと(食物などの)アレルギーの関係」です。
なぜ、アレルギー体質だと湿疹が出やすいのか?

最新のデータを元に、luxelの大胆な(!?)推測とともに、お話したいと思います。
乞うご期待!(気長に待っててくださいね〜!)[わーい(嬉しい顔)]

アトピーの子はとびひ(伝染性膿痂疹)に注意!!! [アトピー余談]

とびひ、になってしまいました(T T)

キュ〜君は先々週の金曜日は発熱でお休み。37℃台なのでけっこう元気、親は疲弊・・・
ところがその日の夜、服を脱がせてみると・・・

「あれえ〜っ?」
腹部に直径2センチほどの”田んぼ”湿疹が出現。
しかも最近は滅多にないほどのジュクジュク浸出液。ティッシュでぬぐってもまたすぐジュクジュク・・・
丸い湿疹なので、「これが他のお母さんが言ってた”アトピっ子が風邪ひくと出てくる貨幣状湿疹”なのかなぁ・・?それともまさか、SSSS?」と思いつつも、いかにも黄色ブドウ球菌がいそうなジュクジュク具合だったので、念のため、ゲンタシン+アクアチム(両方とも抗生物質)を塗って就寝。
※それぞれ、gentamicin、nadifloxacin。前者はアミノグリコシド系、後者はニューキノロン系。抗菌スペクトラムの異なる2種を両方塗っておけば、一種類よりも効く確率が高まる。耐性菌も出にくい。ただし、たいていの場合、アクアチム一本でも大丈夫。(スペクトラムは広域をカバー。)

そして翌日。
「あれええ〜〜??」
なんと、昨日の丸い湿疹はもうカサブタへ。
なんか、いやに抗生物質が効くよなぁ・・・やっぱり、SSSSなのかなぁ、と心配になり
S小児科へ。
するとS先生、「あ〜、ウィルス性の風邪だと思うんだけど、(アトピーの子って)湿疹もつられて酷くなることが多いんだよね。」「ウィルス性の場合、抗生物質効かないから今回は出さないからね。熱が下がらなかったらまたおいで。」

なんだ、SSSSじゃなかったんだ〜、と安心し、それっきり湿疹も出なかったので、すっかり治ったものと思っていたLuxel。ところが、22日の水曜日、保育園からキョーフの呼び出しが・・・「キュ〜君、お熱が少しありますので迎えにきてくださーい!」げげっ、もう次の発熱か??? いやでも、4、5日間隔っていうのはやっぱり早すぎるよな〜、と思いつつ、迎えにいって家に連れ帰るともう熱は36度台。「???」
ところが、23日にまた丸いジュクジュク湿疹が2カ所。「ふ、増えとる・・・・f(@o@;)」

「あかん、やっぱ、よ〜わからんわ〜」と、土曜日にノンステロイドのMクリニックへ。
最後の受付順だったのでへろへろになった頃の夜8時、ようやく診察へ。
「あらまぁ、とびひ!」「お母さん、これとびひよ!!」
え〜っっ、ウィルス性風邪じゃなかったのぉ〜!!
溶連菌なのか、黄ブ菌かわからないけど、抗生物質塗っといて正解!
「咽も赤いわね・・・」ということで、発熱はとびひのせい・・・
抗生物質の内服がミヤBMとともに出されました。

・・・・というように、お医者さんでも、病気の初期には皮膚だけでは判別が難しいようです。
(S先生はアトピーにはステロイドを使う主義なので、アトピーの方はコンサルトしていないのですが、そのせいでS先生はピンと来てなかったのかもしれません。)

ま、なにはともあれMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)じゃなくてよかった〜(最初の抗生物質が効いたので、違うと分かった。)

ちなみにとびひとSSSSは同じ黄色ブドウ球菌が原因のことが多いけど、感染経路が違うようです。
(とびひは皮膚感染、SSSSは全身感染。粘膜感染から侵入?)

とびひ
http://www.nsknet.or.jp/katoh/impetigo.html
SSSS(黄色ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
http://www.nsknet.or.jp/katoh/SSSS.html

とびひの一般的な説明
http://www.dermatol.or.jp/QandA/tobihi/contents.html

とびひのいずれの説明でも「患部を洗って清潔に」「石けんで洗って消毒」とあります。
Mクリニックの先生も「一日2回朝晩、石けんできれいに洗ってね。」とおっしゃったのですが、ただでさえ皮膚バリアが脆弱なアトピーの子に、このケアはどうしよう??
何せ、夏でもマイルドなアトピー用シャンプーで湿疹がひどくなっていたようなキュ〜君ですから、その薄い薄い皮脂膜を石けんで剥いでしまうのは・・・?
抗生物質軟膏を塗った時点で消毒はOKなはずで、さらに洗って皮脂を落とすのは危険ではないか??
いろいろと頭を悩ませてしまいます。

黄色ブドウ球菌によるとびひは秋冬に多いそうなのですが、何故なのでしょうか?
たしかにキュ〜君が熱を出したのは、突然季節が涼しくなった翌翌日でした。
皮脂の分泌量と汗の分泌量は、かなり相関があるように感じています。(あぁ〜、きちんとしたデータが見つからない〜 汗)そもそも、両方とも気温と湿度に相関していますよね。これは皆さん感覚的に納得がいくのではないでしょうか。
涼しくなると汗だけでなく皮脂の分泌が低下し、皮膚のバリア機能が弱まり、それまで毎日シャワーでなんとか耐えられていたのが、耐えられなくなるのでは? と想像してしまいます。

清潔をとるか、皮脂の温存をとるか。
悩ましいところですが、
シャワーの頻度を控えたまましばらく様子をみてみようと思います。
もとより石けんは使っていません。
(なかなか治らないようなら意を決して石けんを使ってみるかも。)
なるべくなら石けんを使わずに済むとよいのですが・・・どうなったか、後日談をここに書きますね。


<余談>
「食中毒防止には手洗いが有効」という、菌の寒天培養写真がのった手洗い励行ポスターを皆さんを見た事があると思います。
確かに石けん手荒いで皮膚の付着菌が一時的に数が減るのは事実です。
ですが、手洗い後数時間たつと、手の細菌は増えて元通り。手洗い前と同じです。
医師がアトピーの子にさえ「石けんを使って清潔に!」と指導するのは、上記の手洗いのデータが頭にあるからではないか、と私は想像してます。
上述のポスターの目的は「手洗い」であって、手はアトピーの人でさえ皮脂が比較的多いのです。
なのに、ただでさえ皮膚バリアがはるかに少ないアトピーの子の場合、
身体全体を「石けん+シャワーで清潔に!」という指導でいいのかなぁ? と不安になってしまいます。
「風呂に入る習慣のないモンゴルにアトピー患者はいない!」という事実を、ステロイド方針の皮膚科医も、非ステロイド方針の皮膚科医も、複数の先生がたが言っておられますが、では、モンゴルでとびひ(伝染性膿痂疹)は? どうなのでしょう??(SSSSはあるかもしれません、モンゴルでも。)
是非知りたいデータですね。f(^ ^)





アンダーム、ついに発売中止へ。 [アトピー余談]

このブログで話題にしてきたアンダーム(成分名ブフェキサマク)、今年の5月ついに日本でも発売中止になりました。
日本ではこの薬はまだまだNSAIDs(非ステロイド系抗炎症剤)の塗り薬として広く使われており、
びっくりしたお医者さんも多かったことと思います。

欧州ではもう十数年前から「一ヶ月の使用で半数が接触性皮膚炎になる、アトピーの呼び水」としてほとんど使われなくなっていたので、この4月に欧州では薬としての承認が取り消されても不都合はなかったのでしょう。(リスクが利点を上回る、との判断でした。)
http://www.japal.org/contents/dom/notice/000230.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Bufexamac(Side Effect の項を参照。)

ブフェキサマクのリスクを決定的に証明した。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19183418
Prevalence and risk factors for allergic contact dermatitis to topical treatment in atopic dermatitis: a study in 641 children.
Mailhol C, Lauwers-Cances V, Rancé F, Paul C, Giordano-Labadie F.
Allergy. 2009 May;64(5):801-6. Epub 2009 Jan 31.

ちなみに最初のBufexamacに対する接触性皮膚炎の報告は1973年。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4788476
Contact allergy to bufexamac.
Smeenk G.
Dermatologica. 1973;147(5):334-7.

この欧州での決定をうけて、日本でも製造9社が今年の5月、販売中止を決定しました。
「欧州の決定にならっていずれは日本でも禁止されるであろうから」というメーカー側の予防的措置だったようです。行政や医学会よりも企業の方がリスク回避に鋭敏だったようですね。

詳しい経緯はこちらの方のブログに。
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/100509.html

このように、開発年代が古い薬では
当時は効果の認定基準が甘く、
現在の基準で治験を行うと認定をとれない、という薬がまま存在します。
(bufexamacの製品化は1970年)

最初のステロイドの発売は1950年。

当時の基準のままに使用を続けて大丈夫なのでしょうか・・・
bufexamacのように、承認当時不明であった副作用が今後、判明することは
十分あり得る。

Luxelはそう考えています。





抗生物質を飲ませるときは、要注意!! [アトピー余談]

「生後2才までに抗生物質の使用歴のある子は、アレルギー性疾患を発症しやすい。」

という有名な論文があります。

Farooqi, IS. et.al. Early childhood infection and atopic disorder. Thorax 1998:53:927
(retrospective研究、n=1934名)

※アトピー性疾患=この論文では喘息、花粉症、湿疹(アトピー性皮膚炎)
2歳以下の抗生物質投与した子の各疾患のオッズ比>2
ペニシリンは比較的安全だが、セファロスポリン、マクロライドなどの広域スペクトラムを持つ抗生物
質のオッズ比は2桁いくものも!!
・・・・無闇に細菌を殺しちゃイカンのですね。

ちなみにこの研究から明らかになったアトピー性疾患のリスク因子は
◎母親のアトピー歴(1.97)
◎Whole-cell pertussis vaccin(1.75)
◎2歳までの抗生物質投与歴(2.07)
でした。
(カッコ内はオッズ比。そうでない群に対するアトピーの生じやすさ。生じやすさが同じときは
「1」)

この仕組みは、(推測ですが)マウスでの基礎実験※の結果も合わせて考えると
「抗生物質で有益な腸内細菌が死んでしまい、あとに真菌やウィルス、あるいは悪玉菌が増え、腸管の免疫バランスを崩してアレルギーの方向(Th2側)へ過剰に傾けてしまったため」と推察されます。l
実際、抗生物質を投与した後にはCandida albicans(真菌)やClostridium perfringensなどの悪玉菌の検出率が高くなる、という報告があります。

※幼若マウスへのカナマイ投与でIgEが有意に上昇した、など関与論文が複数報ある。

上記の論文以外にも「アレルギー疾患に抗生物質は関与する」とした報告が2報、逆に「関係無し」と出た報告が一報なので、現在3:1で何となく抗生物質は悪いらしい、という感じです。
もっと大規模で正確な調査がなされることを望みます。

でも、思うのですが
2歳までに抗生物質を一回も処方されない子って、日本にいるのかなぁ?

ふつーの風邪でも「念のため」「二次感染予防のため」に、抗生物質を処方するお医者さんが多いのではないでしょうか。

抗生物質と同時にビフィズス菌製剤とかミヤリ菌を出してくれるのは、良心的な先生です。
が、あれは抗生物質が腸内細菌殺して下痢とか便秘になるのを予防するためであって、
アトピー/アレルギー予防を念頭に処方する先生はあまりいらっしゃいません。
(ま、目的はどうでも、結果的にアレルギー予防になるんでいいんですけども、
必ずしも、アレルギー予防効果のある菌の薬を選んでくれてる訳ではないので、
そこはまぁ、ご了承ください。)

かく言うLuxelも、キュ〜君の舌小帯の術後の感染予防を皮切りに、いったいもう何度、抗生物質をのませたことでか。orz

この情報は、飲ませた後に知り、もうガックリです。

そういう訳で、Luxelのご紹介する「軽減法」に使う菌は
抗生物質を飲ませているときこそ、摂取させてくださいね〜[わーい(嬉しい顔)]
悪玉菌が増える「隙間」を作らないよう、善玉菌で腸をびっしり埋め尽くすのです! (^ ^)/


ちなみに
なんで、善玉菌がいなくなるとTh2が強くなってしまうのか、については分かっていません。

アトピー/アレルギーの発症要因としてあげられるのは

◎遺伝的素因(皮膚/免疫)

はもちろんですが、昔より患者が増えていることを考えると、

◎感染機会の減少によるTh1成熟の遅延(超衛生化/孤立化社会)
◎近代科学の発明品である抗生物質の投与など、腸内細菌フローラが乱れてTh2優位になる。

さらに、これはまだ言われてませんが、
これらは母親世代である私たち自身にも当てはまり、免疫も怠けている(笑)、
というか、手強い感染症にかかる機会があまりないケミカル汚染社会(大気汚染、農薬、合成食品添加物 etc)によって、
既にTh2化(免疫のアレルギー化)が起きている、と考えられます。
もし
◯母親がアレルギーを発症している、もしくは
◯遺伝的素因を持っている(発症手前)
などに当てはまる場合、 

◎母乳中のサイトカインを通じたTh2側への誘導、ならびに母乳移行抗原による感作が生じる

可能性があります。
遺伝的な要素だけなら、父親要因と母親要因は同じはずですが、
上のFarooqiの論文のように
◎母親のアトピー性疾患歴
がリスク要因として特に有意差を持つのは、こういった母乳(+胎内での?)影響があるからではないかと考えられます。


最下段のニュースは花粉症に関するニュースですが、
かなり近いことを言っていますね。

2月23日に横浜市の理研横浜研究所で報道関係者を対象に開かれた「製薬協プレスツアー」(主催=日本製薬工業協会)で、谷口センター長は「スギ花粉症ワクチン開発」と題して講演。この中で、
 ▽生後早期にBCGを接種させる
 ▽幼児期からヨーグルトなど乳酸菌飲食物を摂取させる
 ▽小児期にはなるべく抗生物質を使わない
 ▽猫、犬を家の中で飼育する
 ▽早期に託児所などに預け、細菌感染の機会を増やす
 ▽適度に不衛生な環境を維持する
 ▽狭い家で、子だくさんの状態で育てる
 ▽農家で育てる
 ▽手や顔を洗う回数を少なくする
の9か条を紹介した。

 谷口センター長は、2003年のアレルギー疾患増加の疫学調査結果などを例に挙げて説明。同調査によると、花粉症を含むアレルギー患者は、20歳代は80%、40歳代は70%、50歳代は40%、60歳代は30%と、若い世代ほど割合が多い。兄弟の数とアレルギー疾患発症頻度に関しては、第1子の発症頻度は6.3%だが、第2子は4.9%、第3子は3.1%と、第2子以降は発症頻度が下がる傾向が見られた。  また、生後6か月以内に麻疹、抗酸菌などの感染症にかかると、アトピーになりにくいという。6歳時点でのツベルクリン反応陽性者は喘息の発症頻度が4%、反応陰性者は16.2%だった。  一方、生後3年以内に抗生物質を投与すると、花粉症や喘息の発症率が高くなるという。  谷口センター長は、「花粉症は、ある程度不衛生でエンドトキシンの量が多い環境で育つと発症しにくくなる。逆に、下水道などインフラが完備されている所、車の交通量の多い所で育つと発症率が高くなる」と説明した。1987年のある統計によると、栃木県日光市内の交通量の少ない小来川地区と交通量の多い日光スギ並木地区の花粉の一日当たりの平均飛散数はほぼ同じだったが、花粉症の発症頻度は、前者が5%程度だったのに対し、後者は13%だったという。また、96年にドイツで行われた花粉症の皮膚テストによると、旧東独のライプチヒとハレでは陽性率が7.9%だったのに対し、旧西独のミュンヘンでは21.3%だったという。  谷口センター長は、「幼児期でアレルギー体質が決定するという仮説は正しいことが証明された。花粉症などのアレルギー性疾患は文明病であり、人間が物質文明を追求したために生じた免疫機能失調症だ」と指摘。その上で、「国民の約20%がスギ花粉症に罹患し、その経済損失は年間1.2兆円と試算されている。既存の医薬品による対症療法のみでは、増大するアレルギー疾患患者の治癒は困難。根本的な治療を実現するワクチン開発が急務だ」との認識を示した。
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母乳は良いものか? [アトピー余談]

皆様、お待たせいたしました〜〜〜[exclamation×2]

近日中にアップ!などとウソこいてすみません m(_ _)m[あせあせ(飛び散る汗)]
新しいソフトを使いこなすのに時間がかかってしまいました。

============================================
「母乳はアトピーを防ぐの? それとも・・・?」

これ、すごーーーーく、皆さんの関心が高いですよね?
アンケートの結果からも、母乳育児率は実に90% 以上でした。

もちろん、私もそうでした。

 上のギャオの時は、母乳を続けるのが良いのか悪いのかはっきり 分からないままに
 「なんとなく良さそう」という印象だけで 1歳10ヶ月のときまで母乳を続けていました。(体力的な限界を感じて断乳。)

 もし断乳してなかったら、いったいいつまでギャオは吸ってたんだろう?
 「朝のパイパイ」(哺乳瓶詰め温牛乳)が4歳まで続いたギャオ・・・・ f(^ ^;)


それで、キュ〜君の離乳食を始める前に、念のため、と軽い気持で受けた血液検査で
小児科の先生と思わず顔を見合わせてしまったLuxel。
(卵白5、卵黄3、カゼイン4、牛乳3、小麦2、IgE・・・1290〜〜〜!?)

母乳感作か経胎盤感作か分かんないけど、ホントに離乳食前の感作って、あるんだ〜〜〜!!
と仰天し(免疫学の研究者にあるまじき!? いや、なんか、よっぽど特殊なケースだけだと思ってたんです〜っ、と言い訳。orz)

この瞬間、プチ断乳を決心しました。

・・・というのも、以前、「ミルクに変えたらほぼ完治しました!!」
という複数のお母さんからの情報があり、
今、絶好の検証の機会がやってきた!とばかりに、飛びつきました!

で、イザ、断乳!
・・・と言っても、結果が分からない時点では、母乳復帰も考えて
とりあえず、母乳分泌は搾乳で維持。
搾乳した母乳はもったいないので冷凍しといて、キュ〜君にはアレルギーミルクを。
(キュ〜君は大豆アレルギーがないので、ビーンスタークのペプディエットをチョイス。と言っても小児科の先生からもらっただけ・・・高 (T T)

抵抗するか、と思いきや、あっさりアレルギーミルクOK!な子でした☆
キミの母(乳)への愛はこんなもんかい[ダッシュ(走り出すさま)]

離乳食前なので、当然、キュ〜君の食べ物は「アレルギーミルク・オンリー」な状態です。

3日目くらいまではあまり変化がなかったのですが、
4日、5日、と徐々に湿疹が乾きはじめ・・・
なんと、7日目にはまだかなりガサガサながらも顔色がはっきり白い!
おお、これは!!
と驚き、もっと断乳を続けたかったのですが、
10日目ついにLuxelの方に限界が来ました。
もともと乳量はけっこう出るが、乳腺が細いタイプのLuxel、
乳詰まり感に、乳腺炎っぽい感触が加わり・・・
乳腺炎のトラウマに恐怖したLuxel、断乳はあえなく10日で挫折しました☆
キュ〜君に詰まりを吸い取ってもらって、ホッと一息。

という訳で、ジャ〜〜〜〜〜ン!!
断乳前、断乳後のキュ〜君、初公開です!!
(是非、クリックして拡大して細部をご確認ください。)

<断乳前>

1月1日
20100101_ring-1+.JPG

2月24日
20100224ring-1+.jpg

2月25日
20100225ring-1+.jpg

<断乳後>
3月5日
20100305ring-1+.jpg

20100305ring-2+.jpg


も〜〜〜ぉ、びーーーっくりです。

断乳前は頻繁に引っかいてはしょっちゅうジュクジュクして赤かったのが
断乳7日目には乾いてきているのがはっきりわかりました。
まだかさぶたこそあるものの、引っかきが明らかに減り、ジュクジュクすることもなくなりました。
全体的に乾いてきて、顔色も白くなっているのが写真でわかるでしょうか?

と、いうことは・・・

あっ、あたしの乳が悪いんですかい[exclamation&question] orz

(しーちゃん様、いい勘してますねー! 予想、ドンピシャリです!)

※この記事をここまで読んで、「よっしゃ! 私もプチ断乳しよー!!」と意気込んでるアナタ!
ちょっとお待ちください!
「プチ断乳のしかた」記事を別にご用意しますので。
いろいろ注意点や、準備の必要があります。
慌てて断乳に突入しないでくださいね〜!

さて、断乳&完全ミルク生活の結果が「真」であるかどうか、確認しなくてはなりません。
というのは、改善の原因が「気候や湿気の変動」などの微妙な環境要因のせいである可能性も否定できないからです。
研究でも論文にのせるデータには「リバース実験」が要求されます。
つまり、この場合、「完全母乳生活(抗原ぬき)」です。

今度は「母乳オンリー」にしてみました。
断乳中に貯めまくった冷凍母乳も総動員です。(断乳中から食物からできるだけ除去してた。)

その結果・・・

<母乳へリバース>

3月13日
20100313_ring-1+.JPG

3月20日
20100320_ring-1+.JPG

と、まぁ〜、見事に元どおり、か、それ以上に悪化!!!


口の横っちょのピンクは、ジュクジュクずる剥け湿疹です。[もうやだ~(悲しい顔)]
断乳前にもあったものですが、断乳してほぼ消失した後、
完全母乳リバースで断乳前よりいっそう悪化[exclamation×2][がく~(落胆した顔)]

ちなみに私は個人的にこういうジュクジュクした湿疹スポットのことを「田んぼ」と呼んでます。
「ぎゃ〜、田んぼがまた出現した〜 [がく~(落胆した顔)]
と言ってはタール剤を塗りたくり。
(そそけだったカサカサした皮膚スポットを「はたけ」って言いますよね。それの親戚の意味で「田んぼ」。まさに「出現する」という感じで、ある日ふと気がつくと「田んぼが出来上がってた!」という感じです。これができたら黄色信号。黄色ブドウ球菌の温床として最適なので、タールだけで3日以上治らなければ「消毒」をやってみることにしています。)

さて、
これ(=母乳をやめたら治る)は何を意味するのか?

母乳と除去食についての考察は次回記事「母乳 続ける?/続けない? 除去する?/しない?」に。
乞うご期待[exclamation×2]



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皆さんにしつもーん!! [アトピー余談]

すみません、自分のブログでこんな横着なことしていいのか!?って感じですが、

読んでくださっている方がいると信じて、

ずばり!! 聞きにくいこと聞いちゃいます。

赤ちゃんを育てている/(既に)育てたママさんへ質問です。


(1)お子さんの月齢

(2)完全母乳? ミルクと混合? 完全ミルク?

(3)今、一日何回授乳?(分かる人は量も書いてください、何cc/日)

(4)お子さんは今、何kg?

(5)離乳食開始はいつ? (何ヶ月ごろ? or まだ開始前)

(6)前歯は生えた? (例、下の歯、何ヶ月ごろ。上の歯、何ヶ月頃。)

(7)ご自身の生理再開は? ←コレ! これが聞きたいんです!! こんなブログ有りか!?  (子どもが何ヶ月頃、or まだ未再開)

(8)母乳はいつまで?(終わった方のみ)

(9)お子さんの気になる湿疹は  いつから?(季節は何月? 生後何ヶ月の頃から?)

(10)気になる症状がありましたら、その場所を簡単に書いてください。(書ける人だけで結構です。)

(11)ご家族に、アレルギー疾患の方がいますか?(ママも含めて)  アレルギー疾患とは、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症などアレルギー性鼻のことです。

<追加>
(12)もしお子さんが血液検査をうけてらっしゃったら、総IgE値、ならびにIgE陽性抗原ならびに抗体価のレベルをお知らせください。


横着してすみませんが、このブログ見てくださってる方がいらしたら

是非是非、教えてください!!

一部、お忘れになってても結構です。わかる分だけでもOK!

コメント欄に、とは言いません、もちろん。[わーい(嬉しい顔)]

メールでご回答お願いしまーす!

luxelblog@yahoo.co.jp


えっと、なんでこんなこと聞くかというと、

Luxelが佐藤先生の講演を聞いて、ふと思いついたある仮説が妥当かどうか、検証したいからなんです。

もちろん必ず皆さんのご回答を反映して記事にして公開いたしますので、

どうかどうか、教えてくださ〜い!!




誰もお返事くれなかったら どーしよ・・・・llli__orz__


(追記)
Luxelの予想に反して、とても嬉しいことに
たくさんのママからアンケートのご回答をいただきました。
みなさん、ほんとにほんとうに、ありがとうございます!!
この場を借りて、お礼申し上げます。m(_ _)m

メールでご回答くださった方、お礼のお返事が遅れております。
(3月は年度末なので、いろいろ仕事がたてこんでしまいました。)
これからおっかけてお礼のメールを出していこうと思いますので、
今まで送ってくださった方で、Luxelからの返信メールが無い方は、
お手数ですが、その旨お知らせください。再度確認させていただきます。

アンケートは、まことに勝手ながら、
4月10日締め切り、とさせていただきます。
(どこかで集計のため、区切らないといけないので。)
引き続き皆様、ご協力をお願いいたします。m(_ _)m

Luxel






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