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海外アトピー事情 その1 [アトピー余談]

本日、ギャオの保育園の個人面談が午後からのため、お仕事お休みで〜す[わーい(嬉しい顔)]

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

以前、パパの記事にあるとおり、去年の11月に母子3人ハワイに行ってきた時の体験です。

産後のハゲストレス(抜毛ってこんなに精神的にストレスフルだなんて! 男性の皆様スミマセン)が昂じたLuxel、
成田空港をギャオにキュ〜君のバギーを押させて(もちろん私は荷物運搬人)
日本脱出を試み、ハワイを満喫(?)してきました。
というのはウソで、私は単にハワイでおさんどんをしたに過ぎませんでしたが・・・
(パパの身を案じてくださった方がいましたら、ありがとうございます。笑
つかの間の独身暮らしを満喫したようで、帰ってみたら初音ミクの作品が増えていました。)

そのときの出来事でいつか書こう、と思っていたことが一つあります。
実は、キュ〜くんは旅行の最終日にERに駆け込んだのです。

折しも新型インフル急増のニュースが日本を席巻していた時期
キュ〜くんが38度の熱をだして、「すわ、新型インフルか!?」と慌ててしまいました。
しばらく考えて「多分ちがう」と思ったけど、明日は帰国のフライトだったので、大事をとって受診することに。
日曜だったし、「0才児は診れない」というドクターオンコールの紹介によって
ERにかけこんだのですが、
なんと偶然、担当が若い日本人ドクター(女性)でしたので、ついでにアトピーの治療について質問してみました。
(ええ、Luxelは英会話はからきしダメです。f(^ ^;) 相手がばりばりのネィティブだったら尋ねなかったことでしょう・・・)
ハワイの気候でけっこう改善したとはいえ、キュ〜君はほっぺに誰の目にも明らかな湿疹をこさえており・・・
ドクターには熱より湿疹の方が気になったようです。(苦笑)

その小児科のドクターは見るからにお若く(30代)、アメリカで医師免許を取得して
目下、指導医のもとで研修中、といった感じでした。(指導医はイタリア系米国人のおじさん。)
その彼女が湿疹に注意を向けたので、すかさず「アメリカでは、こういう湿疹の治療はどうなさるのですか?」と尋ねてみました。

すると
そのドクターが言うには「小児科ではステロイドは余程皮膚の炎症が酷くない限り、使わない」そうなのです。
目にあまるくらい酷いときに「火消し」としては使うけど、どうせまた炎症は出てくるから、と。
ステロイドを再々使わないといけないような事態になったら
皮膚科専門医に送ってしまうのだそうです。
(自分たちは皮膚科の専門教育は受けてない。皮膚科はステロイド塗布についてみっちりトレーニングを受けているから、とのこと。)

では、ステロイドを使わずにどうするか、というと
治療の基本は

(1)入浴指導。(入れるな! 回数を減らせ!)

(2)徹底的な保湿(一日10回でもローションを塗れ!

だそうです。

先生のご年齢からしても(30代)、まだ指導医について診療をしていたことからも、言っていることは彼女独自の治療法という訳ではなさそうです。教科書的なスタンダードな治療(指導)法といった風に淡々と話してくれました。

小児科が一般的にこういう対処法なら、日本のようにほぼ全ての乳児湿疹の子がステロイドに暴露されるような事態は避けられているのではないでしょうか。(青年期・成人期の重症患者の比率も少ないのでは、と思います。)

そういえば、アメリカの家庭医のアトピーの治療マニュアルはアメリカ皮膚科学会のそれとは違うのです。(欧米諸国はほとんど、「家庭医ー専門医制」を採用しています。家庭ごとに契約する家庭医の診察を受けて、紹介状を書いてもらわないと、各科専門医にかかることができないのです。

家庭医や小児科で手に負えなくなった、本態性のアトピーの(といっていいかどうか分かりませんが、遺伝上重度の素因があるような)子は皮膚科送りとなるでしょうが、その数はおそらく乳児湿疹のごく一部です。日本のように小児科でも皮膚科でもステロイドをホイホイ処方した結果生じるステロイドの薬害と思しき事態は、アメリカの家庭医ー専門医制度のもとでほぼ避けられているのではないでしょうか。少なくともアメリカの子どもはその幼少時からステロイドの洗礼を受けるような事態にはなっていない、と思われます。

さらに、成人についても、日本には非常に大勢いる、ステロイドのリバウンド皮膚炎(ステロイド依存性皮膚炎)に苦しめられる患者さんが、アメリカにはそもそも少ないのでは、とLuxelは推測しています。というのは、ステロイド依存性皮膚炎と思しき副作用の英文報告は非常に少なく(こういうのは余程大量にステロイドを塗らないと、ならない。)、しかも顔についての症状の記述だけなのです。これの意味するところは、アメリカでは日本ほど重症のステロイド外用剤の副作用例はそんなに出ていない、ということです。

一方、日本でステロイドの無効化により脱ステロイドを行い、リバウンド皮膚炎に苦しむ患者さんは少なくとも数千人単位で存在している、と考える根拠があります (文献1)。 もしアメリカも日本のような状況なら、あの訴訟大国のことです。お医者さんはあっという間に大勢の患者さんから訴えられてしまいます。というのは、アメリカのカルテ制度は日本のように病院ごとの管理ではなくて、患者本人に渡され、本人が管理します。(実際には、その病院保管用と患者用の2通りが作られ、後者が患者に渡される。)ということは、いつ、どの医師が、どんな治療を行ったか、が本人にも他の医師にも一目瞭然なのです。日本の医師は患者の言葉だけを頼りに治療歴を推定しなくてはなりませんし、患者さんの方も「処方された薬がステロイドとは知らなかった」というケースが多々あります。日本のカルテ制度は患者にとっても医師にとってもマイナスが大きいと思うのですが、、、、。

さらに(日本と韓国以外の)海外では酷い副作用が少ない証拠に、ステロイドの副作用についての論文を取り寄せると、その写真は日本の副作用がでている患者さんのそれよりはかなり軽症なのです。日本では全身にリバウンド皮膚炎が出て入院を余儀なくされる成人の患者さんがかなりいるのですが、論文の写真と文章によれば「リバウンド皮膚炎は顔に(だけ)でる」と記載されています。つまり、全身性の副作用を著者は見たことがないのです。それは、アメリカでの実際のステロイド使用量は日本のそれよりはかなり少ないからでは? と想像しています。

日本の皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」はアメリカのガイドラインを手本に作製されています。
片山先生は本文中に「tachyphylaxisについては、アメリカのガイドラインに言及があるが、証拠がない、とされている」と述べています。(そんなことはないのですが。tachyphylaxisについての最初の論文は古く、1975年の発表です(血管収縮作用でみている)。histamine release assay についても1986年に報告があります。(見落としているのでしょうか?)

(2009年度版の監修者は大阪大学の片山一郎先生。日本でおそらく最もステロイド治療に詳しいでしょう。なのに、ステロイド依存性皮膚炎について認識しているふうはありません。これまでのガイドラインよりはステロイド偏重は是正されているものの、これまでのステロイド路線はそのままです。
米国の皮膚科医の見解やガイドラインが日本とあまり違わないように見えても、彼等は皮膚科専門医を受診する前に必ず家庭医か小児科医を受診しているのですから、そもそも皮膚科送りになる子の数はかなり少ないと予想できます。
ということは、アメリカ皮膚科学会の治療指針は「家庭医や小児科で手に負えない、単なる保脂・保湿では解決しないアトピー患者をターゲットにして書かれたもの」と考えればステロイド中心主義であっても納得がいきます。これはあくまでLuxelの推測ですが。

日本の皮膚科学会が手本にしている米皮膚科学会の指針は、実は、「家庭医ー専門医制度」や「カルテの一本化」という日本とは異なった医療制度の国において使われる指針です。アメリアでは家庭医や小児科医が皮膚科学会の指針をもとに診療をすることは少ないでは、と思われます。

その証拠に、
米国家庭医学会の指針
http://www.aafp.org/afp/990915ap/1191.html

や、米国小児科学会の指針
http://aapgrandrounds.aappublications.org/cgi/content/extract/11/4/44

は、米国皮膚科学会のそれとはかなり趣を異にしています。

(参考)
アメリカの皮膚科学会のガイドライン(J Am Acad Dermatol, 2004)
http://www.aad.org/research/_doc/ClinicalResearch_Atopic%20Dermatitis%20Part%20I.pdf

米国皮膚科学会のガイドラインは、家庭医や小児科医による「入浴法や保湿の指導」でも改善したなかった患者」を対象に書かれているもの、と理解しなくてはならないと思います。日本皮膚科学会のガイドライン作成者は国ごとの医療制度の違いや、それに基づく患者背景を見落としているのではないでしょうか。




【お願い】お医者さんの情報大募集! [アトピー余談]

(他のアトピー関連記事の目次はコチラへどうぞ)

これを読んでくださっている皆さんに、お願いがあります。

私のブログにつなげてある「ステロイドを使わない医師のリスト」のリストのお医者さんはわずかに30名程度。
「通える範囲には、リストの医師がいません」という声が多く聞かれます。
それで、甚だ微力ではありますが、わたくしの方でリスト化してHPか何かに掲載しようと思います。

そこで皆さまにお願いです。
もしご自身で、ステロイドを使わない医師、「使いたくない」と言えば使わないで対応してくれる医師を見つけられたら
その先生のお名前と病院名をどうぞLuxelまでお知らせください。

 ◎お名前(名字だけでも可)
 ◎病院名
 ◎所在市

をコメントか、下記メールアドレスまでお知らせください。
luxelblog@yahoo.co.jp

上記のリストの先生は、「極力ステロイドを使わない」という治療方針を打ち出しておられる先生方ですが、
「使いたくない、と患者が言えば使わないで対処してくれる医師」の先生であっても、私たちには充分貴重です。
少なくとも通える範囲にお一人はいて欲しいですよね。

もしお時間がありましたら、上記の情報とともに、受診の経緯や診断の内容、処方内容などを一緒にお知らせいただけるとたいへん助かります。

皆様、どうかご協力をお願いいたします。

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佐藤健二先生 講演会レポート (3) [アトピー余談]

Q。既にステロイドを使っている人の場合、その中止法に方法はあるのか?(by Dr.水口)

 注)以下、成人の脱ステロイド治療についての質疑であるが、小児の脱ステロイドにも参考になると思われる。

 1)(Dr.水口)
  ステロイドを一気に中止。(徐々に量を減らすのはうまくいかなかった。)

 2)(Dr.佐藤)
  徐々に量を減らして中止する。(減量、減回数)
  
  ・脱保湿を先行させる。非露出部位から始める。
   まずは風呂上がりに、何も塗らずに1時間ほっとくことから。

 「脱ステロイド治療に必要なこと」(佐藤先生の病院での指導)
  ・ステロイドは外用・内服を問わず全て中止。(口内炎や痔の薬にもステロイドが含まれているので、注意。)
  ・保湿剤からも離脱
  ・水分の摂取量を制限(1.2L/dayまで)
  ・食事制限は無し。
  ・理学療法を勧める。(痛みがなくなったら、散歩から初めて、速歩へ。)
  ・規則正しい生活(起床、食事、学種、仕事、睡眠)
  ・周囲は「かくな」と言わないで。
  ・精神的ストレスを減らすこと

※これは成人型アトピーの脱ステロイド法だと思いますが、参考のために。


脱保湿についてのDr.佐藤の見解

保湿をやっても構わないが、良くならない場合は中止した方が良い。

ステロイド未使用者に「保湿」するのは正しい。
 ※「ステロイド使用者では治療法がガラっと違ってくる。」


Q。保湿依存症とは?
 A。「水分過剰状態に適応した皮膚の代謝バランスになっている、ということ。」
   「カサブタを剥いで、滲出液を出すのはNG」

Q。保湿剤に対して接触性皮膚炎を起こす割合は?
 A。アレルギー性の接触性皮膚炎…………10%
   ステロイドに対する接触性皮膚炎…… 5%

 (Dr.藤澤)ワセリンに対する接触性皮膚炎は10%(パッチテストによる)

Q。日焼け止めはOK? or NG?
 A。「強い日焼けはNG。」 なのは間違いない。

 (Dr.吉沢)「日焼け止め剤はNG」

L:Dr.によって見解が異なるようです。要はメリット/デメリットのバランス?

ステロイド外用剤の皮内濃度
  級  (0 day )  (4 day )
  II   100    3〜13
  IV   100   17〜30

4日後の皮内濃度をだいたい10%ととすると、これは血中濃度の10倍。
strongestだと正常血中濃度の10万倍

ステロイド外用中止時に起こる副作用
 ・成長抑制
 ・発汗異常(発汗は脳中枢がコントロールしている←外用ステロイドが脳にまで影響を及ぼしている証拠)
  (例)朝 左半身のみ
     昼 両側
     夕 右半身のみ、発汗する、など。
 ・乳汁分泌異常

Q。一度でもステロイドを使用したら、どうなるのでしょうか?
 A。「確率10分の一で、思春期・成人期にアトピー性皮膚炎が再発し、難治性。」
  (対策1)再発時にステロイド、プロトピックは絶対に使わない。
  (対策2)知らずに使わされた場合、突然やめない。ゆっくり減量。
  (対策3)どうしても使わざるを得ない時(結婚式とか。)には一番弱いステロイドを一時期だけ使う。

Q。プロトピック使用については?
 A。「NG。使用者は入院が5日ほど長引く。」
 (プロトピック)使用可能例はもともと軽症な場合が多いよう。
 
 (副作用)サンデシン(CysA)−−−発ガン例あり(virus発癌?)
      プロトピック−−−−−−皮膚ガン発生率上昇の報告あり(英国)


(付記)Dr.藤澤のデータ

  レトロスペクティブ、ケースコントロール有

  ステロイド使用  64%
  ステロイド不使用 36%

  年齢:0〜13才

  結果「(脱ステロイドの予後)
      不使用群の方が著明に改善。
      使用群は長引く(成人型まで行き着く例がある。)
  
  統計学的有為差:p<0.001(=99.9%の確率で有意差あり)
R^2=85.475(予後とステロイド使用歴は相当に相関する。)


L:予想どおりの結果です。ということは、ギャオはやはり将来的な再発を警戒しなくてはなりませんね・・・(ギャオのステロイド使用歴:1年と2ヶ月)



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佐藤健二先生 講演会レポート(2) [アトピー余談]

「佐藤健二先生 講演会レポート(1)」はコチラ

===============講 演 内 容(つづき)=================

Q。食物アレルギーの検査をする意味はあるか?
 A。「まずアレルギー検査ありき」ではない。
   その食物を食べたときに蕁麻疹、アナフィラキシーなどが起きたら検査をする。
  (食物の記録を常日頃からつけておく)
                                 ↓
                                 陽性
                                 ↓
                           しかし、すぐに除去はしない。
                           離乳食は普通に進める。

Q。アトピー=ダニアレルギーなのか?
 A。No.
  病院の布団も家庭の布団もダニの数は同じ。
  それなのに、入院すると治る。
  (=食事、生活習慣指導をし、湿疹をコントロールすると治る、ということ。)
  ということはダニ抗原に感作されていても、普通にすごせる、ということ。
  ダニがアトピーの原因ではない。
 
  ただし、
   喘息の悪化には関係があるので、要検査。
   花粉症は花粉への感作が成立してから発症するので、アトピーとは仕組みが違う。

 アトピーはダニが原因ではないが、増悪要因ではあるので、掃除の仕方に工夫を
 掃除機の排気の方向を吸引が終わった方向に向ける。
 (でないと、ダニやハウスダストを排気で舞い上げてしまう。)

Q。小児ADの治療は?
 A。ザラザラ、痒みで掻爬 but 傷なし--->治療はしない。
   乾燥で痒みがある場合は「保湿」
   乾燥のない痒みには「止痒剤」

 5mm未満の痂皮(=かさぶた)のある非疹-------->「保湿・止痒剤」
 5mm以上の痂皮やビランがある場合--------->
  「非ステロイド系外用剤(ワセリン、アズノール軟膏。)
  「止痒剤+ガーゼで保護」

 「乾燥傾向が出てきたら外用剤は中止する。」

 ※ステロイドの点鼻、点眼、吸入をしていないことが前提。
 ※脱ステ時に保湿は避ける。

   入浴は短時間、あるいは「なし」
   石けんを使うのは「お尻だけ」
   下着は「2日間着用」

   体温調節のため、服や布団に注意(薄めに。暑いと痒みがひどくなるから。)
   痒がるからといって、抱きぐせはつけないこと。
 
  吉沢先生「僕は反対。抱きぐせはついてもいい。でも別に掻いてもいい。」
  藤澤先生「僕は賛成」(会場、笑)

=============レポート(3)に続く==============

計3回にわたって掲載します。


 






佐藤健二先生 講演会レポート (1) [アトピー余談]

先日12日(日)横浜で行われた佐藤健二先生(阪南中央病院 皮膚科部長)の講演会に行ってきましたー!
佐藤先生の病院は重症アトピーの入院受け入れ実績では全国トップではないでしょうか。
※佐藤先生は重症アトピーの入院も引き受けてくださっています。 いざというときの駆け込み寺に、入院施設のある病院がある、という点でも、たいへん心強いです。
もちろん、佐藤先生のところではステロイドはいっさい使いません。(他の病院だと黙って塗られてしまうこともしばしば、なんだそうです。)

講演はAtopicという患者団体(NPO)の主催によるもので、私が講演会の日時を知ったのが2日前だったために、ブログにアップする暇がありませんでした。m(_ _)m

行ってみたら、ちょうどうまい具合に、テーマが「小児のアトピーについて」だったので、Luxelにとってもたいへん勉強になりました。
100人弱の定員のところ、立ち見まで出る盛況(?)ぶりで、この問題の根深さが伺われました。
アトピーの赤ちゃん連れのお母さんの姿も目立ちました。(講演会後半ともなると、子どもたちが運動会してました。笑 テーマがテーマだったので、それもOK、な雰囲気にはホッとしました。)

以下にご講演の内容を、要点のみですが、報告させていただきます。


===============( 講 演  内 容 )================

Q。乳児湿疹、小児乾燥性湿疹とアトピーの区別は?
 A。無い。長引けば「アトピー」としている。
   ただし、アトピーの子の特徴としては
  「肘の内側、膝の裏側全体が引っ掻き傷でジクジク or ゴワゴワ。」
   産まれてすぐの赤ちゃんについては、あてはまらないことも。

Q。怖い病気なの?
 A。多くは2才までに治る。成人になればほとんど治る。
  ただし、ステロイドを使わなければ。

Q。アトピー性皮膚炎(ADと略)は増えているか?
 A。思春期、成人期での発症が増えている。

 (1970年代ごろ)発症のピーク………0〜2才頃にピーク(一峰性)
 (1994〜1995)ピーク………0〜2才、15〜20才すぎにピーク(二峰性)

  Fitzpatrick's の皮膚科学という米国の教科書における記述
   「昔は84%が成人までに消失した。
    最近では成人までに20%が消失、65%が改善。」(=ということは消失はしていない、ということ)

(佐藤)ADは「自然治癒力でほとんど治せる病気」なのに今、医者がそのことを知らないし、言えないのが現状だ。

(ここで、脱ステロイドをして、アトピー性皮膚炎が劇的に改善した2例のスライド表示)

成人アトピーの場合
 「成人アトピー」=「ステロイド依存性皮膚炎」+「(本来の)アトピー性皮膚炎」
ということは、
 「成人アトピー」ー「ステロイド依存性皮膚炎」=「(本来の)アトピー性皮膚炎」

Q。ステロイドの影響はいつまで残るのか?
 A。外用ステロイド自体の皮膚での残留は1ヶ月で消失。
   ただし、皮膚のステロイド記憶はこれ以上。
   ステロイドの皮膚に対する影響はゆっくり回復する。

 通常の皮膚の対応力(免疫力、物理的な丈夫さ等)を総合して「10」とすると
(ステロイド使用時には)
  ステロイドの対応力「8」+皮膚自体の対応力「2」=「10」
                        ↓
           脱ステ直後の皮膚の対応力「2」=「2」しかない状態=弱い皮膚
                        ↓
          皮膚の対応力はゆっくり回復 ↓ 回復までの期間には
   (運動、脱保湿、リラックスなどにより促進)↓ 個人差がある。
                        ↓
                       「10」

Q。IgEが高いのは原因?結果?
 A。結果。
   湿疹が良くなった後で、IgEが下がる。→皮疹にIgEは関係ない。
  (Luxelが「IgEは、つられて増えているだけ、というのも同じ意味です。)

   食事をすると悪くなった」というお母さんがかなりいるが、
   そもそも食事をすると血流量↑、発熱量↑ --->皮疹が目立つ
                        かゆくなる

   運動しても、同じように血流量↑、発熱量↑。

   食事後、食物が頬っぺに付着して ---> 接触性蕁麻疹で皮疹がでる、かゆくなる。


 (吉沢先生)IgEが絶対関係ない、とは言えないのでは。
   自分の患者でアナフィラキシーを経験している。
   1万人中1人しか起こさなくても、怖い。
   だから僕は「全く関係ない」とは言えない。

(L: Luxel)・・・こういうふうに、他の先生から茶々、じゃなくて異論が言えるのも、良い講演会だった、とLuxelが思った理由です。いろんな考え方、治療方針があるんだなぁ、ということを知るのは患者や保護者にとっても大事です。治療する先生の意見や治療法を知って、自分でも納得して病院を選ぶことが大切だと思います。

==================(以上、講演 内容)===================

内容豊富な講演会でしたので、2回の記事に分けてUpしたいと思います。




 


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アトピーのサイトカイン?:IL-31 [アトピー余談]

最近、たくさんのお母さんがたからコメントやメールをいただくのですが、その中で多いご質問は「本当に除去食をしなくてはならないの?」というものです。というのは、アトピーの子の血液で抗体検査(RAST検査)を行うと、その7割に食物抗原に対するIgEが検出されます。(=レベル1以上)

以前の記事にも書きましたが、Luxelはこれを「アトピーによる皮膚での炎症によりIgE全体が高くなっているため、(個々の食物抗原に得意的なIgEも)つられて高くなっている。」と予想して書いていましたが、このことを支持する証拠がまた新たに一つ見つかりました。

「IL-31(インターロイキン31)」という サイトカイン※です(1)。

※サイトカイン=細胞間の情報伝達物質。タンパク質分子。

この物質が、悪名高いアレルギーマーチの原因かもしれないのです。
発見は2004年ですから、5年も前です。(というか、たったの、というべきか。)
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚でこの物質が発現しており、しかも痒みの強い部位に多く(2)、
血中でも増えているそうです。

マウスにこのIL-31を投与したり、あるいは、マウスに遺伝子操作をして
IL-31を過剰発現させたりすると強い痒みが出るらしく、掻爬による抜毛が生じます(2)。
引っ掻き傷のある炎症はあたかも重症のアトピー性皮膚炎そっくりです。
また、上記の過剰発現マウスでは、血中IgEの上昇が見られるそうです(2)。
(ただし、IL-31による痒みの誘発はマスト細胞によるものだけではない、とのこと。←in mice)

さらにこのIL-31はTh2(ヘルパーT細胞2型。アレルギー反応を引き起こす型のT細胞)によって生産され、この物質を受け取った細胞(※IL-31の受容体はマクロファージなどに発現している)はまた別のTh2タイプのサイトカインを出します。

もう一つ、重要なのは
このIL-31というサイトカインは黄色ブドウ球菌の出すスーパー抗原B(SEB)の刺激でどっと産生される、ということです。
ご存知のとおり、黄ブ菌はアトピー性皮膚炎の皮疹部から高率に検出される菌で、増悪因子と見られていましたが、その増悪の機序の一つはこのIL-31かもしれません。

また、このサイトカインが直接的あるいは間接的にIgE産生を促進する可能性が示唆されていますが、だとすれば、アレルギーマーチの機序の一つはこのサイトカインかもしれません。「アトピーのせいで食物特異的なIgEが上がる」可能性は充分にあります。

ただ、「つられて上がっているだけだから、気にしなくて良い」かというと、それは早計だと思います。IgEの上がりやすい情況で、何度もその食物を食べさせて刺激を重ねると、どんどんIgEは増強していき、本当の「食物アレルギー」になる可能性はあります。かといって、「完全除去」を行うのは並大抵の困難ではありません。(加工品も全て除かなければならないため。)英国などでは完全除去食療法はこの問題専門の栄養士のメニュー指導の元に行います。いっぽう、日本にはこういった専門栄養士がおらず、親が独力で完全除去を行うため、往々にして特定の栄養成分の不足を招き、栄養失調による重篤な発育不良に陥る患児が問題となりました。

日本では広島でそういう深刻な発育不良の事例がでて以来、小児科医による安易な「除去食指示」は減少傾向にはあるようですが、まだまだ小児科は皮膚科に比べて除去食を薦める傾向にあります。(反対に皮膚科医はほとんど除去食は薦めない。)確かに血中の得意的IgEレベルが5とか6の子や、その食物を摂ると明らかに皮疹が出る、というケースでは除去食は必要かもしれません。レベル4は要検討、くらいでしょうか。

でも大抵のケースが食物抗原はレベル1とか2だと思います。
このくらいでアナフィラキシーショックが起きる可能性はほとんどないでしょうから、この程度では通常、除去を指示しない、というが最近の小児科医の間でもコンセンサスになってきているそうです。(ただし、医師によってその程度は大きく異なりますので注意)

Luxel自身の見解は、乳児湿疹で食物アレルギーが見つかった場合、そのIgEレベルが1〜3の間で、摂取により特に皮疹の増悪がみられないならば、除去の必要はない、というものです。

それよりも黄ブ菌による炎症やIL-31の放出を早く止めるためにも、一刻も早く化膿菌の除去と皮膚の修復を急ぐことを最優先にするべきです。化膿した湿疹の炎症を長く放置しておくと、IL-31が出続け、IgEの値がどんどん高くなり、本当の食物アレルギーや花粉症に移行してしまう可能性が高まると推測されるのです。

つまり、まず、殺菌消毒とその後のスキンケア(入浴控えや保湿)を徹底してやって、皮膚バリアの綻びを塞いで炎症を抑えます。
それでもどうしても改善が見られない場合に湿疹の原因物質を探し、除去食を検討すべき、と考えています。

もしそのケースに該当する場合、特定の食物によるアレルギーであることの証明は、正式には入院して除去負荷試験が必要ですが、おおまかには自宅でも分かる場合があります。
まずは「観察ノート」を毎日つけることです。食事のメニューや食材、皮膚の様子など、細かに記入して、どの食物との因果関係があるかどうかを探るのです。あやしい食物があったら、1週間程度完全に除去してから、少量食べさせてみて、皮膚の様子が悪化するかどうかを見るのです。食べさせるときは、病院で、ドクターの管理の元に食べさせてください。どうしても協力してくれる医師が見つからないときは仕方ないですが、食べさせる時は十分注意していてください。食べさせてから1時間は絶対に目を離さないで、観察を続けてください。(他の家事をしたりしないでください。)
・唇が赤くなり腫れる
・目が充血して涙や鼻水が出て止まらない
・湿疹が出て痒みが強い
・呼吸が苦しくなる、ゼイゼイ言う
などの症状が見られたらアナフィラキシーが起きています。至急病院に行ってください。救急車の方が到着が早いようならためらわずに呼んでください。

レベル1〜3くらいのIgEで、これまで除去食をしておらず、湿疹がでている程度なら、このようなアナフィラキシーが起こることは極めて稀ですが、「全く無いから安心して」とは言えません。

一般的な食物抗原なら除去負荷試験よりもRAST検査(俗にいうアレルギー検査)を先に受けた方が早いので、アトピーやアレルギーの傾向があるお子さんの場合、まずは半年に一回程度この試験を受けて、それぞれの数値が悪化していないか、経時的にモニターすることをおすすめします。
RASTの数値も、実際の皮疹も悪化が見られないようなら除去はしないで良いと思います。
皮膚のケアをしてもどうしても改善しない場合に限り、除去負荷試験で本当に増悪抗原かどうか、を確認してください。


<注意>上記の方策はあくまでも乳幼児(0〜6才くらいまで)についてのもの、とお考えください。これ以上の年齢の小児や成人の方ですと、そのアトピー性皮膚炎は最早「ステロイドによりモディファイ(=改変)された人工的な皮膚炎」と考えた方が妥当なケースが多く、上記のような対処では対処しきれない可能性が高くなります。それに一口に6才くらいまで、と言ってもステロイド使用歴によって、こじれ具合というのは変わってきます。(ステロイドを抜くと皮膚炎が再発する、という状態ならすでにステロイド・モディファイド皮膚炎」である可能性があります。)

(注意:ステロイド・モディファイド皮膚炎、という正式な病名はありません。概念を伝えるためのLuxelの造語です。成人アトピーで使われる「ステロイド依存性皮膚炎」「ステロイド皮膚症」に相当するとお考えください。)


<参考文献>
(1)S. R Dillon, et.al.
 Interleukin 31, a cytokine produced by activated T cells, induces dermatitis in mice.
 Nat. Immunol. 5, 752-760 (2004).

(2)斎藤三郎、他「IL-31の多面的機能」臨床免疫、50(6), p640-643


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アトピー・湿疹……ネットの書き込みから。その3 [アトピー余談]

相変わらず、こういう引用がOKかどうか、迷うところではありますが・・・
うちの子のようなステロイド一辺倒な処方をされているお子さんが実際にどのくらいいるのだろうか、と思い、ある質問掲示板をときどき見るのですが、そこでこのような質問を見かけました。
よく見かける典型的なご質問だったので、掲載させていただきました。

※質問者さまご本人が掲載に気づかれましたら、お手数ですがどうかご連絡ください。
掲載にご同意されない場合は速やかに取り下げさせていただきます。

(意味がとおるように、多少、文章を変えています)

Q.「赤ちゃんへのリンデロンVGの使用について」
生後3ヶ月の娘が耳のあたりをよくひっかいているので、中耳炎など耳の疾患かもしれないと思い耳鼻科を受診しました。結果中耳炎などの疾患はなかったのですが、耳に少し湿疹があるということでリンデロンVGとピオクタシンを塗布されました。
ところが、帰宅後インターネットでリンデロンVGを検索してみると、とても強いステロイドの薬であるという記述が多数見つかりました。
赤ちゃんの軽い皮膚の湿疹に、今回の処方は適切だったのでしょうか。また副作用などのトラブルは、今後発症する可能性があるのでしょうか。」

このような質問は非常にたくさん見かけるので、 ・日本のステロイドの処方基準は甘く、現場の処方はさらにいいかげんなことが多いこと、 ・安易なステロイドの処方によりアトピーにまでなったうちの子の実例 ・ステロイドが乳児湿疹や小児アトピーに良くない理由 ・ステロイドをつかわないスキンケア、入浴法について 回答しましたところ、以下のようなお返事がありました。

質問者さまからのお返事
「丁寧なご回答ありがとうございました。
実はわたし自身アトピー、脱ステロイドの経験者なので
娘への薬の使用には慎重でありたいと考えていました。
ところが、何の説明もなくアトピーの症状もでていない赤ちゃんに あっという間にステロイドを塗布され、信じられないという想いでした。
(ご紹介の)○○皮膚科さんの治療方針にはわたしも賛成です。」

この部分、 「何の説明もなくアトピーの症状もでていない赤ちゃんに あっという間にステロイドを塗布され、信じられないという想い」 ・・・びっくりです。随分乱暴な医者もいたもんです。 でも、日本ではいかにもありそうな光景です。
「じゃあ、このお薬塗っとくからね。大丈夫、すぐよくなるよ〜。」(何の薬かの説明はなし。)
・・・・一見よさげな医者に見えるかもしれませんね。

治療法を選ぶ権利は患者にあります。(この場合は親権者である親。) 一応、日本の医療も「インフォームド・コンセント」(情報提供と同意)が建前になっていますが、なかなか現実の診療はそうはなっていません。 医師側から見れば「ステロイド恐怖症の親にいかにしてステロイドを使わせるか」に腐心している訳で、説得にかかる医師はまだマシな方です。中には薬の名前を明かさない、ステロイドだと言わない医師もいます。(こんなことして将来何か後遺症が生じた場合、欧米では「教えなかった」時点で訴訟沙汰になり負けてしまいますからあり得ないのですが……日本では相変わらず医師の「お上意識」は根深いと思います。)

そういう後進的な医療界の状況では患者も情報収集して自衛するしかありません。 ランキング本が花盛り、一部の優秀な医者に患者が集中します。 そして、処方や治療に納得いかなかった場合、日本人患者は医師にだまって病院を替えることが多いのです。

しかし、これも善し悪しで、医師は自分の治療の失敗に直面することがないことを意味します。 こうやって日本の医療全体の進歩は極めて遅く、患者に不利な状況は何も変わることがありません。 たまには徹底的に論戦バトルしてみるか?? と自問するLuxelです。

でも、医療訴訟で患者側の勝訴率が極端に低い日本では、患者が賢明になって 医師を選ばなければしかたないかもしれませんね・・・。 Luxelの詳細な回答は以下のとおりです。

A.「3ヶ月乳児への使用にリンデロンVGは、基準の甘い日本のガイドラインにおいてさえ最強です。(厚労省研究班作製のアトピーのガイドライン2005年版を参照のこと。)皮膚科医でさえ、日本の医師はステロイドの危険性を低く見積もってしまいがちですが、ましてや耳鼻科医です。ステロイドのリスクに疎くても不思議はありません。少なくとも外用ステロイドに関しては、医師や、ステロイドを処方されてもよくなった患者(患児)の「大丈夫だ」という言葉を安易に信じるのは危険です。その子は運が良かったにすぎません。(欧米では、2才以下の乳幼児に対して、余程の重症アトピーでないかぎり、ステロイドは処方しません。徹底した保湿やスキンケア、化膿防止で対処します。それほど乳幼児へのステロイド投与を危険視しています。何故なら乳幼児への安全性が確立されていないからです。)

実際、うちの子は医師に処方されるままにステロイドを使いつづけ、ただの乳児湿疹が1年後には見事な重症アトピーとの診断をもらうようになってしまいました。ようやくことの異常さに気付き、ステロイドについて海外の文献まで徹底的に調べ、日本における外用ステロイドの使用状況が異常であることが私にも分かりました。子どもはステロイドを使わない医師を選んで、越境してかかり、適切な治療を受けることにより、3ヶ月ほどでほぼ治りました。(重症のアトピーが治る、ということがどれほどのインパクトを持つか、ご想像ください。)

リスクについてご説明します。ステロイドはその場しのぎの薬で、一時的にかゆみや湿疹を抑えますが、効き目が消えたときには痒みや湿疹が再発します。何故痒みや湿疹を抑えるかというと、これらを引き起こす起こす免疫細胞を不活性化し、さらなる援軍の免疫細胞を呼ぼうとする働きを妨げるのです。だけど「何のために免疫細胞が集まっているのか」というその原因が取り除かれていないので、ステロイドの効果が切れたときに、再び免疫系の細胞は集まってきて痒みや湿疹が起きます。再発したところにステロイドを続けて使うと皮膚近くでの免疫を抑えてしまうので、化膿(=感染)しやくなり、しかもステロイドを使わない場合よりもひどくなりがちなのです。また、ステロイドは化膿性湿疹本来のすがたを見えなくしてしまいますので、正しい治療法が選択できなくなります。

リンデロンVGはストロング級のステロイドにゲンタシンという抗生物質が配合されており、化膿があっても安心とばかり、一時期ほとんどの医師がなんにでもこれ一本ですませていました。ところがそのせいで、現在検出される皮膚化膿菌の50〜70%がゲンタシン耐性で、すんなりゲンタシンが効くことは少ないのです。

耳の湿疹は耳たぶの外側でしょうか。でしたら、「耳切れ」という湿疹の一種です。冬にでる子が多いので、乾燥と皮脂不足が原因だろうと言われています。耳切れはなかなか治りにくいのですがジュクジュクしていないのならあまり心配することはありません。ただし、痒みがひどい場合は化膿していることがあります。原因が細菌ならイソジン消毒がよく効きます。(ただし、イソジンは刺激が強いので、つけたらすぐに洗い流す必要があります。入浴の前などに消毒して、すぐお湯で洗い流します。湿疹部に石鹸をつけないようにしてください。皮脂をはぎとってしまいます。)イソジンがあまり効かない場合は、真菌感染やウィルス感染の可能性があります。マラセチアという頭皮や耳内に普通でも常在している皮脂を好む真菌が乾燥性の湿疹を悪化させていることが多い、という論文があります。(うちの子はどうもこの菌だったようで、ニゾラールという抗真菌剤が劇的に効きました。)除菌の後は保湿してください。

乳幼児の湿疹やアトピーにステロイドは不要です。(というよりは禁忌です。) 吉沢皮膚科の治療方針に私は賛成です。
(リンクフリーではないので、HPを検索してみてください。簡潔で良いHPだと思います。)
乳児はもともとどうしても湿疹を起こしやすいです。生後直後から皮脂の分泌は急減し、3ヶ月あたりで最低になり、1〜3才くらいまで皮脂の少ない時期が続きます。(大人の10分の1程度の皮脂量)。すぐに治そうと、ステロイドに手をのばさず、スキンケアや保湿、入浴法の工夫で、この時期をなんとか乗り切ってください。幼少時にステロイドの使用歴がある場合、思春期以降の湿疹や皮膚炎にステロイドが効きにくく重症化しやすいことは、きちんと勉強している医師ならば知っています。
おちかくの、ステロイドを使わない病院にまずかかられることをおすすめします。」




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民間の「アトピービジネス」、医師の「ステロイド・ビジネス」 [アトピー余談]

本日はちょっと過激?にいきます。

「アトピービジネス」という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。そういうタイトルの本も出ていることですし、ここではもう詳しくご紹介しませんが、簡単に言うと。「こうすればアトピーは必ず治る!」と宣伝されている高価な水だったり、食品だったり、塗り薬だったり、浴槽だったりします。

もちろん、医師の処方しない(=保険適応のない)外用薬(保湿剤、洗浄剤)でも良い商品(洗浄剤、保湿剤)はたくさん存在します。安価(適価)でそれなりの効果がある良心的な商品も多いです。
一方で、安易に「完治」を約束し、何万、何十万もの費用を請求する製品や業者、業界のことを、近年は「アトピービジネス」と称し、これらは社会的な批判の対象となっています。現在の皮膚科学会の要職を占める一部の有力教授人や一部の臨床医はこの患者を喰いものにする「アトピービジネス」たたきに躍起になっていて、そのために「ステロイド治療の正当性や安全性」をアピールしています。

そのアピールの最たるものが「皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2004年版」です。このガイドラインは現在3つあるガイドライン(皮膚科学会、日本アレルギー学会、厚生労働省研究班編集)の中で最も積極的に「外用ステロイド療法」を薬物治療の中心として打ち出しており、反面それ以外の治療(保湿、悪化原因の除去)の強調が弱く、全体としてバランスが悪いので、実際にステロイドで酷い目にあったアトピー患者やその治療にあたる皮膚科医からは評判が悪いのです。

Luxelは、医師がアトピービジネスを批判的に見るのは当然だと思いますが、医師が批判を率先して行うのは本来おかしなこと、と思います。

だって、ほとんどの患者が医師にステロイドを処方をされても、副作用に遭遇することもなくアトピーの症状を良い状態に保つことができているのなら、「アトピービジネス」が参入する余地はないはずです。保険の効く一般的な医療から高額なアトピービジネスに足を踏み出すはずはないのです。それがアトピー性皮膚炎に限っては、高額民間療法が社会問題になるほど隆盛を誇っている。このことは何を意味しているのでしょうか。

なぜそんな事態になっているか、というと、アトピーを医者が治せないから。これに尽きます。

実際、ステロイドを使って、不都合なく、なんとか症状をコントロールできているうちは患者はアトピービジネスに走りません。ステロイドが無効化し、アトピーのコントロールができなくなってきたときに医師が有効な治療法を提示できないために、患者は医師に見切りをつけてアトピービジネスに走っていきます。大抵のアトピービジネスがステロイドを中止することを薦めますから、当然患者はひどいステロイド依存性皮膚炎(リバウンド)を経験しながらも、それを業者から好転反応として説明され、納得しながら乗り切ります。そうするといずれはステロイド皮膚炎が治まり、緩解状態(というよりは、本来のアトピー性皮膚炎だけの状態)に行き着きます。ですから、随分良くなった、と感じるのです。そして「○○○(アトピービジネス)のお陰で良くなった」と患者自らが証言・宣伝してまわる・・・この循環がアトピービジネスの繁栄を生んでいるのです。(そして、一部の患者は医師のコントロールを離れているためにアトピーがより酷くなり、再び医師の元に駆け込み、医師はアトピービジネスに怒りを募らせる・・・。永遠の敵対関係です。)

しかし、そこから見えてくるのは、総じて医師の「治療力の不足」です。
この「治療力の不足」とは何でしょうか。

まず、「事実を事実として捉えられない。
これは多くの医師が口にする「ステロイドが効かなくなるなんて、ありえない」発言に象徴されます。少なくとも英語圏ではこの現象はよく知られていて、論文も英語で複数出ているし、ガイドラインに記述もあります。日本の医師は何故知らないのでしょうか。不可解です。(少なくとも医学博士を持っていれば、英語論文は読めて当たり前で、50才以上の医学博士ならば独語でもあるていど読みこなせるはずです。)目の前の医師に「そんなはずはない」と言われれば、患者は「ああ、この先生は自分の言うこと信じてくれない」と思い、現状認識すらできない医師に有効な治療ができるとは思えなくなります。そうしてその医師の前から去り、転院するか、アトピービジネスに走るか、です。当の医師は「知らぬが仏」の「つんぼ桟敷」のままですが・・・。

「そんなこと言ったって、ステロイドの耐性化、無効化なんて学校で習ってねーよ!」と医師側からも文句言われそうですが、教科書にない事態にも対処できるように「科学的な分析の目を養う」目的で、あなた方は大学院に行って研究のトレーニングを受け、論文を書き、「医学博士」を授けられたのではないですか? よく病院の待ち合い室に額に入れて飾られていますよね?・・・・博士号の学位記が。あれは飾りでしょうか。大学院の維持にも高い税金が使われているのですよ・・・・(実は、「医学博士」もブラックビジネスの温床なのですが、、、、Luxelもその片鱗を肌に感じたことがありますが、ここでは触れません。)

そして「知識の不足
Luxelがこのブログで再々書いてきたように、ステロイドはけして「(歴史が)古くて安全な、消炎剤」などでは有りません。レッキとした「免疫抑制剤」「強化合成ホルモン剤」なのです。切れ味が他の薬よりも格段に鋭い「諸刃の剣」で、当然、使い方によっては毒にも薬にもなります。素人には非常に使い方の難しい薬です。ステロイドの機序についてよく勉強している医師ほどこのことをよく理解しているので、その処方にはいきおい慎重になる訳です。ましてや、その酷い副作用(ステロイド依存性皮膚炎)を一度でも目にしたことがあれば「もうステロイドは封印し、使わない」と標榜する医師が出てくるのも自然だと思います。ただ、そういう医師のもとに、上記のような一般医に見切りをつけた患者は集中しますので(当然ですよね。「やっと分かってくれる先生を見つけた!」と思いますもん。)、非ステロイド医は毎日その副作用を目にし、一般医は一度も見た事がない、というように医師の情報格差、というか経験格差が一方的に開いていき、ステロイドに関する両者の治療スタンスは自然、正反対になります。
「自分は一度もステロイド皮膚症など見た事がない!(ゆえにステロイドは安全だ)」と豪語する医師は、患者との信頼関係を作れない医師、不勉強な医師であることを計らずも喧伝してしまっているとも言えます。

さらに「説明力の不足
そういう諸刃の薬を処方して親に塗布を任せるからには、医師だけがステロイドの危険性を理解していてもダメで、親にその使い方と副作用をきちんと説明し、さらに「ステロイドに依存性がでて、耐性ついて効かなくなる可能性もある」ことまで説明し、そうなったらすぐに「自分のところに来るように」口を酸っぱく言わねばなりません。そうして初めて医師は「ステロイド耐性」について実感する機会を得るのです。さらに、医師は「ステロイド耐性」がついた患者(患児)に適切な処置をほどこさなくてはなりません。それはステロイドをランクアップすることではなく、休薬期間を設けることです。つまり結局ステロイド以外の薬で皮膚炎の治療をしなくてはならない訳です。「ステロイドを使わずに皮膚炎をコントロールできる事態に持ち込む」治療技術があるかどうか。そこが問われます。結局はステロイドを使わない治療の技量が必要になるのです。

・・・・なら、最初からステロイドを使わないで、湿疹や皮膚炎を治療すればいいのでは?

ステロイドを使わないで治療する方法を全ての医者が知っていれば済む訳で、ステロイドを使えば使うだけ、それは周り道をすることを意味します。では,現在の「ステロイドを乱発する処方状況」って一体何なのでしょう・・・??

・・・Luxelはこれを「医師の、ステロイド・ビジネス」と呼んでいます。
(無知からとはいえ)ステロイドを使わなくてもよい患者にまでステロイドを処方し、病を作り、後は面倒を見きれない・・・。

よく「こんなに湿疹が酷くちゃ、ステロイドを使わないと治らないよ」という台詞を言う医師が多いのですが、実際にはその湿疹をステロイドを使わずに治せる医師が少なくとも日本に数十人は存在しているのですから、上記の台詞は「自分にはステロイドを使わずには治せない」という白旗宣言です。当の医師の治療技術の低さを露呈する言葉なのです。
それに追い打ちをかけるように、「ステロイドを使ってあげないと、赤ちゃんが可哀想だ」と、ステロイドを使いたくない、と言う母親に使用を迫る医師もいますが、そんな医師はもっての他です。私は「ステロイドを使って、のちのち副作用が出たら、子どもの長い人生、誰が責任を取ってくれるのですか!?」と言いたい。自分の不勉強、治療技術の低さの責任を逃れ、短絡的、感情的な「かわいそう」などという言葉で使用を迫るのはとんでもないことです。

現在の診療報酬体系では、ステロイドを処方しないと、皮膚科は生計がたたない、と非ステロイド治療の医師の何人かは述べています。
ステロイドを使わない場合に、化膿性の湿疹の治療に最も高い効果を持っていて、しかも安価だったタール剤は
2年前の薬事法改定の費用負担に製造会社が耐えきれず製造中止となり、姿を消しました。(患者負担は50gで100円くらいだったと思います。これでは医師や薬剤師の診療報酬も微々たるものでしょう。)
※この薬は木タールを原料とし、欧米でも今も使われる石油原料のコールタール剤"Clinitar"などより遥かに安全性が高いと目されていた薬でした。日本は世界に誇れる良薬を失ったのかもしれません。

そうして今や国内で保険が適応されるタール剤は一剤しか残っていません。
医師たちが早くステロイドの危険性に気付き、これらタール剤を再評価し、大学でその薬効の仕組みをきちんと研究していれば、こんなことにはならなかったかもしれません。製造中止により患者が被った潜在的なデメリットは相当大きいと思います。
(実際、うちの子もその製造中止になったタール剤のお陰で、ほぼ完治状態にまで持ち込むことができたのです。何しろ保湿も皮脂温存も、化膿した湿疹による皮膚の破れを塞いでからの話ですから、イソジンさえ効かなかったうちの子にこの薬の果たした役割は非常に大きなものでした。)

多くの皮膚科の大御所が「いったんステロイドを使って皮膚炎を抑え、その間に別の方法で皮膚炎の原因を取り除くのだ。そうすれば、ステロイドの過剰使用にはならない。」と主張しますが、その治療方法は確立されていません。もちろん、ステロイドだけ使っていては、皮疹の原因除去なんて永久ににできません。(だから、皮膚科学会のガイドラインは「片手落ち」なのです。)もし原因除去の方法が確立されていて、うまく治療できていれば、これほど多くの「ステロイド治療の脱落者」が生まれ、アトピービジネスに走っている訳がないのです。
Luxelが考える「理想的なステロイド外用剤の使い方」があるとすれば、それは湿疹がどうしても酷いときに1クールだけステロイドを使う、というものです。充分な強さのステロイドによって、炎症を抑え、皮膚の穴を塞ぎます。その間に湿疹の本当の原因である乾燥や悪化原因の除去を最大限行い、2度と湿疹や皮膚炎が起きないように、つまり生涯2度とステロイドを使わなくて済むような状態に持ち込むのです。そうすれば、ステロイドの使用量を必要最小限にとどめることができ、デメリットよりメリットの方が大きくなる可能性があります。1クール(=1、2週間)だけなら、耐性化する危険性はかなり低いでしょう。(一度でも使ったら終わり、かどうかは不明です。利益の天秤は生涯が無事終わるまでは結論できないので。)ステロイドは漫然と、「アトピーの皮膚炎をコントロールする」目的で使うような薬ではないと思います。「緊急避難、一時しのぎ」の薬です。そういう意味では、アトピー性皮膚炎のような慢性の体質病に使うべきではありません。(天疱瘡や乾癬のような明かな自己免疫疾患は別です。)

でも、現実にはステロイドを使っていったんは湿疹を抑えても、何度も何度も、湿疹や皮疹が再発する患者がほとんどなのです。原因の除去がうまくいっていないのか、実は何をどうやっても除去できない原因があるのか(=遺伝など)、それは現在は不明です。

アトピービジネスの繁栄の栄養源は、実は医師のステロイド乱発が生みだしたステロイド副作用患者の量産にある、とLuxelは見ています。医師はアトピービジネスの撲滅をただ叫ぶのではなく、自らの足下を見直し、自らが行っている「ステロイド・ビジネス」を見直さなくてはなりません。一体何人の医師が「自分はステロイドの副作用を出したことがない」と言い切れるでしょうか。米国のような「患者一人に一カルテ」ではない、病院ごとにカルテが分散している現在の日本の医療制度では、医師が自分の治療した患者の予後を知るのは容易ではありません。「良くなったから来ないのだろう」と思っていた患者が、実は副作用から医師の自分に不信感を持ち、離れていった事実を当の医師自身が知る機会は日本では非常に少ないのです。(当の患者から喧嘩を吹っかけられない限り。)患者はどうしても立場が弱いので、実際には病院を掛け持ちしていたり、アトピービジネスに走ったりしていても、目の前の医師には言わないでいるのが日本では普通です。(下手に喧嘩すると、今後別の病気で困った時に、その病院にはかかれなくなってしまいますから。)そういった患者の心理に思いが及ばないようでは、いつまでたっても正しい治療には到底たどりつきません。そうして、アトピービジネスも永久になくならないでしょう。

医師はアトピービジネスたたきをやる暇があったら、「極力ステロイドを使わずにアトピー性皮膚炎の炎症を抑える治療法」を確立する研究をしてくれ、と言いたいです。さらに、患者が訴えるステロイドの耐性化や無効化を真剣に受け止めて、その実態や分子機序を研究し、さらに、これまでのステロイド濫用によって現在生じているステロイド誘発性皮膚炎の有効で安全な治療法を確立することです。また、全ての医師にステロイドを正しく処方してもらうために、すでに開業している医師に新しい知識を修得させるシステムも作らなくてはなりません。それに、ステロイドを乱発する医師がでないよう医師側のステロイドの処方基準をきちんと設けるべきです。

日本の医師は他人を批判する前に、自分たちがやるべきことをきちんとやって欲しい、と願わずにはいられない、アトピッ子の親であるLuxelです。


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お医者さんと育児の深いミゾ(乳児湿疹) [アトピー余談]

乳児湿疹ほど病院によって対応がちがう症状はないのではないでしょうか。
たくさんの本やネットサイトで、「乳児湿疹=脂漏性湿疹」という扱い方をされて、湿疹の原因の誤解の元になっていますが、いまだに医学の教科書にさえ「乳児湿疹は脂漏性湿疹である」という記述があるような状況では、仕方のない現状かもしれません。しかし、そのせいで私たち母親が独力では容易には解決できない問題に直面し、振り回されている現状を放置しているのは良くないと思うのです。

(注)乳児湿疹とは、文字通り「乳児=0歳児」に生じる湿疹のことで、その原因はいくつもある。詳細はこの記事の最後に。

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赤ちゃんを産む前/産んだ後に、私たちは母親学級(両親学級)で、または産院で「赤ちゃんの世話のしかた」How to を教えてもらいます。
そして、産んでびっくり! 
育児書を開くヒマもないような、赤ちゃんのドレイ状態(笑)な生活が待っています。
特に初産だと右も左も分かりませんから、とりあえず習ったとおりにします。

たいていの母親学級や産院で指導に当たるのは「助産士」の人たちです。
彼(女)等もまた日本の医師と同様に、資格の更新制度はありません。
ですから下手をすると助産士の学校で習ったことをそのまま教えてしまいます。

ちなみにLuxelが習った内容はこうでした。
「赤ちゃんは産まれた直後から毎日沐浴させてください。石鹸は使わないで、市販の沐浴剤を使ってもOKです。」
「生後一ヶ月たったら、一緒にお風呂に入っていいですよ。
 石鹸をよく泡立てて、手で優しく、全身満遍なくきれいにしてあげてください。耳の後ろもね。」
 普通の石鹸で大丈夫です。」
2つの母親学級と産院で指導の合計3回、すべてこうです。

でも、後から考えたらこれはとんでもないことでした。
私は、ただでさえ少なくなって来たギャオの皮脂をせっせとはぎ取ってしまっていた訳です。
湿疹ができるのも当然です。
そこにまんまと処方されたステロイドを刷り込んで、アトピーへの道へと駆り立ててしまった・・・
我が子の細胞にステロイドの記憶を刻んでしまったかもしれない。
皮膚が弱いのも、アレルギー体質が強いのも、ステロイドをあんなに使ったせいかもしれない。

このことに後から気付いたとき、本当に腹が立ちました。
私の2年にも及ぶ悩みと苦労は何だったのか、と思うと目眩がしました。
ステロイドを、使いたくて使った訳じゃない。だまし打ちにあったように感じました。

でも、誰も悪意があって指導や処方をした訳じゃありません。
善意の指導であり、善意の処方です。
罪があるとすれば、それは「無知」という名の罪です。
少なくとも彼等はプロフェッショナルとして収入を得ているのですから、いつまでも不勉強な今の状態でいることはたいへん困るのです。

でも、彼等が勉強する必要に気づくのは私たちが声をあげて抗議したときだけです。
このブログは私なりの「抗議の声のあげ方」です。

話を戻しますね。

意外に感じるかもしれませんが、産婦人科の医師は赤ちゃんの生態学には詳しくないのです。
皮脂のこともよく知りません。
彼等の仕事は、母親に無事に赤ん坊を産ませること。そして、母親と赤ちゃんに異常がないか、医療ケアが必要かどうかを退院までに見極め、必要があれば然るべき小児科に搬送すること。
そこまでが産婦人科の仕事です。
ですから、産後7日目以降に赤ちゃんの体に起こることを実際に目にすることは非常に少ないのです。
外用ステロイドを使う機会のほとんどない科ですから、外用ステロイドの知識は皮膚科/小児科以下であることが多いのです。
下手をすると、出産入院から退院する時に、お守りがわりにステロイドのチューブをご丁寧にもくれるところまである、という話ですから驚きです。「これは赤ちゃんの湿疹によく効く薬だから」と。(これはとんでもない事なんですが・・・)

そうして、助産士の指導のとおり、毎日お風呂に入れ続けていると・・・・
生後数週間から3、4ヶ月目、赤ちゃんに湿疹ができ始めて私たち母親は仰天します。
それまでスベスベでしたから、ひどくうろたえてしまいます。
「あかちゃんはみ〜んなそうだべ」と言ってくれる曾祖母の世代はもういません。
私たち母親の母親(赤ちゃんにとっては祖母)も、もう既に病院出産組、ステロイド世代で、その知識は私たちと同じ(か、それ以下)です。

私たちはまず病院に赤ちゃんを連れて行きますよね。
「小児科? それとも皮膚科?」って迷ってしまいます。
でも大抵の場合、乳児湿疹についてはどちらも大差ありません。
そのどちらも乳児湿疹を軽く考えていて、大半がステロイド(と、よくて保湿剤)をポンと渡して終わりです。
乳児湿疹をステロイドでこじらせるとアトピーになるかも、なんて考えもしません。
そもそも赤ちゃんの湿疹の原因が「脂漏性」なのか「皮脂欠乏性・乾燥性」なのか、医者自身が分かってないような処方をよく見かけます。「ステロイドをポン」というのはその最たるものです。どちらのタイプの湿疹であっても、ステロイドだけ塗ってごまかして、湿疹の原因をとりのぞかなければまた再発する可能性・なのに・・・。


どちらの科の医師も、その大半が外用ステロイドを「ホルモン剤」「免疫抑制剤」とは捉えていないのです。
「原因がなんであっても、よく効く抗炎症剤(消炎剤)」としか考えておらず、「保湿剤がわり」にポンと処方します。
でも、実は、これはとんでもないことなのは記事「どうして、ステロイドが良くないのか」に書いたとおりです。
日本は世界でも突出した外用ステロイドの消費量を誇る、"Steroid Abuse" "Corticosteroid Abuse"、すなわち「外用ステロイド乱用」状態の国なのです。その原因は、医師の安易なステロイド観と、科学的検討の場の欠如が原因である、とLuxelは考えています。

日本の医師はたいてい男性です。
医師は多忙ゆえに、そして日本の極端な男女分業習慣ゆえに、往々にして自分の子の育児に参加していないのです。この乳児湿疹の問題は、例え医師であっても、自分で世話をしている子がアトピーになってしまい、ステロイドでもなかなか治らない、という経験をもつ人でないと気付かないでしょう。そして、日本の医師の大半が1960年代の「外用ステロイドは内服と違って安全」という古い説を信じてしまっていて、そこで知識が止まっているのです。(※外用ステロイドであっても意外に短期間に副腎抑制を生じることを、米国FDAが2005年に報告しています。)

A病院に行ったらポンと強いステロイドを出され、びびってB病院に行くと、「そのステロイドは強すぎる」と言われて出されたのがこれまた(多少は弱い)ステロイド、なんて話も珍しくありません。
ステロイドを使わない、という評判を頼りにはるばる遠方から来てみれば、「これはステロイドを使わないと治らない」と言われて、またステロイドを出される・・・・
これ,では、ステロイド漬けになってしまっても当たり前です。

※うちのギャオを治してくれたT先生は、著作に書いています。「ほとんどの皮膚病は、ステロイドを使わずとも治せる」と。

そうしてステロイドを使っていても、おそらく8、9割の子は、お母さんがそうこう悩んでいるうちに、気候が良くなったり、年齢があがったりして皮脂の分泌が増え、湿疹から治っていきます。それで大半の母親は忘れてしまうか、「やっぱり、ステロイドのお陰で治ったんだわ」と思ってしまうのです。本当は皮脂や分厚くなった角質のお陰なんですが、皮脂も角質の厚さも目に見えませんからね。

ところが、生まれつき皮脂の分泌の少ない乾燥肌タイプの子(おそらく1〜2割)はなかなか湿疹がなおりません。ステロイドの使用も長くなります。そうすると「どうしてステロイドは良くないのか」に書いたとおりの理由で、湿疹が何度も何度も再発し、親は狂ったようにステロイドを塗り続け、処方されるがままに強さを上げ続けざるを得なくなります。ステロイド以外の対処法を教えてもらっていないのですから、仕方がありません。「湿疹→ステロイド→アトピー→ステロイド→アトピー」の魔のループです。

世の中の「アトピー性皮膚炎」と診断されている人たちの何割が、ステロイドを使ったためにアトピーになってしまったのか想像もつきません。でも「使わなければならずに済んだ」人たちは多いはずです。なぜなら、脱ステロイドした後にステロイドが要らなくなった人たちがかなりいるからです。
もともとのアトピー性皮膚炎というべきものは、その大半が(ステロイドの使用歴がなければ)使わなくても、その他の工夫でなんとかやり過ごせるくらいの症状で済んでいるのがその証拠です。
それに加えて、たいていの発展途上国にアトピー性皮膚炎というものは存在しません(!)。痒くて仕方ないなら、どの国の人も医者のところに行って言うはずです。「何とかしてくれ!」と。だから現地の医師が知らないはずはないのです。(彼等の医学教育の教科書は西欧世界のものですから、アトピー性皮膚炎が載っていない、ということはありません。)でも、お風呂に入る習慣のない国ではアトピーの人がいない。アトピー性皮膚炎が「文明病」「生活習慣病」である証拠です。ということは、たとえ乾燥肌、アトピー肌であっても生活習慣を工夫すれば、アトピーになるのを避けられる、ということです。

ただし。
幼少期に少しでもステロイドを使ったうちのギャオのような子たちは、発展途上国にはない心配がつきまといます。
私たちは子どもの思春期以降のアトピー性皮膚炎の再発を警戒しなくてはなりません。何故なら、一度でもステロイドを使っていると、再発時の皮膚炎にステロイドの効き目が弱く、ひどくなりがちだ、と脱ステロイドのサポートを長年やっているお医者様はおっしゃいます。
ステロイド標準治療を行う九州大学の皮膚科のサイト
http://www.kyudai-derm.org/atopy/body/03_2.html
でも「一般に再発例は治りにくいといわれています。 」とあります。(一番下の記述)
今の日本で幼少時のアトピーでステロイドを使っていない人はほとんどいないと考えられるので、それは「ステロイド使用歴がある人の再発は、治りにくい」である可能性があります。(そうでない可能性も、つまりもともとの体質として治りにくいタイプなのかもしれませんが、それはステロイド完全不使用の人の統計をたくさん取ってみないと分からないことです。)

だれだってステロイドは使いたくない、という人が多いと思います。でも、痒みに耐えられない・・・そこでステロイドを使ってしまうと、いずれステロイドが無効化し、脱ステロイドに追いこまれるリスクを抱え込むことになります。正に「前門の虎(痒み)、後門の狼(ステロイドのリバウンド)」です。そうなってしまった場合、どうしたらよいのかは、Luxelにも分かりません。(またT先生のところに駆け込むでしょうね。)


残念ながら、日本は「外用ステロイド中毒」の国です。
医師も含めて、大半の人が、その効き目に酔いしれています。
そんな状況が一朝一夕に変わるとは思えません。
ですから、私たち母親が勉強して、「医師を選ばねばならない」のが現状です。
(これは本来おかしなことなのですが・・・現状では仕方のないことです。)

みなさん、どうぞLuxelと一緒に勉強していって、お子さんをアトピーから守ってあげてください。
子どもの成長を、生活を守っているのは他ならぬ私たち母親です。
私たちがやらねらば、誰が子どもを守ってやれるでしょうか?

もし皆さんのお子さんの湿疹がこのブログの入浴法やアドバイスで治ったなら、
ステロイドを使わされそうな状況に追い込まれているお母さんを見た時、どうぞ声をかけてあげてください。どうぞこのブログに案内してさしあげてください。
ステロイド以外の選択肢があること、どうして湿疹ができるのかを知ることが、お子さんの身を、肌を守ることにつながります。「アトピーを苦に親子心中」なんて、もう、この国で一件たりとも起こって欲しくはありません。

そして、もし、「ここに書いてあるとおりにして悪化した」という方が居たら、どうぞ詳しくお聞かせください。Luxelもまた皆様のコメントから勉強中です。

皆さん、どうぞよろしくお願いします。

タイプ別 乳児湿疹のケア
脂漏性湿疹  生後3ヶ月くらいまで、頭皮やおでこ、Tゾーン、まれに背中などに生じる湿疹。 胎児期に移行した母親由来のホルモンが残存しているせいで起こる。 ケアは過剰な皮脂を入浴で落とすこと。悪化しなければ石鹸の使用も可。化膿していれば消毒が必要

皮脂欠乏・乾燥性湿疹  頭皮、おでこ以外の部位の皮脂分泌は生後急速に減少するため、乾燥がひどくなり、乾燥性湿疹が生じる。 冬に多い。 痒みがでたところを掻き壊す。あるいは、皮膚のバリアーが薄くなるため湿疹が化膿しやすくなる。 ケアは当ブログの「皮脂温存」入浴法+保湿剤で保湿。皮脂を温存+補ってやる。

汗疹(あせも)による湿疹  夏に多い。毛穴に皮脂が詰まって炎症を起こす。ブツブツ赤い。化膿した場合は浸出液、かさぶた化。



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アトピー‥‥‥ネットの書き込みから。その2 [アトピー余談]

こういう引用がOKなのか、ダメなのか、相変わらず分からないままですが・・・
ネットによくある質問を拾ってみました。

「突然、ステロイドが効かなくなりました」

Q.「子供は4歳です。
生後半年から顔のみに湿疹が出始め、アルメタ(IV類=中程度のステロイド)+ワセリンを
徐々に減らして行き、2歳で飲み薬なし、保湿のみになりました。

ところが4歳になった途端、関節に強くカユミが出るようになり
またアルメタ+ワセリンを使って、3日でキレイになっては止めまた赤くなったら塗り・・・
を3ヵ月ほど繰り返していました。

ところが、アルメタ+ワセリンが、突然まったく効かなくなり
ついには、黄色い浸出液や少量の血まで出るようになったので
アレルギー専門医の指示の元、アルメタよりも1ランク強い
リンデロンV(III類、強)を塗るようになって、現在4日目です。

アルメタ+ワセリンをその前にも塗っているので
計7日、ステロイドを続けて塗っていることになりますが
まったく改善の傾向が見られません。

医師からは、まだリンデロンVを塗り続けるようにとの
指示があり、絶対に良くなると言われましたが
正直、そうは思えず不安です。

医師は、アルメタが効かなくなった事を信じていないような感じでした。
そういった例を見たことがないと言われました。
とても経験豊富で、医師間でのアレルギーの勉強会を
主催する立場の医師です。

ステロイドが効かないなんてことは、有り得ないことなのでしょうか?

もし効かない場合は、ステロイド以外の対処法はありませんか?

先のことが、不安で不安で仕方がありません・・・。」

こういった不安を持つお母さんの書き込みは、よくあります。うちも3年前は同じでした。同じようなことが日本各地で起きているのですね。

そして、勉強会を主催するほどの医師であってもステロイドの「tachyphylaxis」について全く知らない証拠証言です。 日本以外の医師なら「ずっと塗り続けろ」などとは言わないでしょう。 ステロイドの効果減弱(or 急性耐性)は早ければ4日目には現れます。 減弱した効果を元の効き方に戻したい場合、休薬期間が必要です。(当然、この間湿疹は再発します。)

そして、そういった間歇的な使い方であっても、3年という長期間使用後にステロイド依存になる、という実例です。(ステロイドのランクが上がっていくことが、依存を起きている証拠、と考えて良いと思います。) tachyphylaxisだけなら、使用→休薬→使用→休薬・・・・・を繰り返せば永遠に同じランクのステロイドが使えることになりますが、もし効果の減弱が回復しないままにステロイドのランクを上げて使い続けた場合・・・皮膚のステロイド依存性が強まるのがその仕組みだ、とluxelはステロイドの分子機序から予想しています。

それと、このお子さんは3年半の間歇的な使用の末に、ステロイドのランクが上がりました。 うちのギャオも同様に間歇的な使用でしたが、次第に湿疹が治癒しなくなり連用せざるを得なくなり、たったの1年以内に2ランクアップ、ですから、同じランクのステロイドが効いている期間は人それぞれ、ということが分かります。


ステロイドをやめる or ランクを落とすのは難しい。

Q.「すごく不安です・・・酷いよだれかぶれのケアについて
6ヵ月の子なのですが、よだれかぶれが酷いです。
3ヵ月のころからかぶれがあるのですが、
今までは良くなったり悪くなったりしながらもなんとかワセリンで保護するだけでよかったのですが、
最近ジュクジュクした汁が出るようになってきました。

本人も痒がって、ますます悪化するので
小児科に行って相談したところ
ステロイド(アルメタ)を処方され、
「ジュクジュクしてくると痒くなってきて掻いてますます酷くなるから、
しばらくステロイドを使って、薄皮がはってきたらワセリンに切り替えて」
といわれました。
その通りにケアしたところいったんは良くなったのですが、
3・4日するとまたジュクジュクしてきて
ステロイド(2・3回塗る)→ワセリン→2・3日するとジュクジュク
の繰り返しになりつつあります。

本当にこういう使い方でよいのでしょうか?
そのうち落ち着くときがくるのでしょうか?
物凄く不安です。

ちなみに毎授乳後に絞ったガーゼでポンポンと顔を拭いてワセリンで保護、
よだれかけをまめに代える、部屋の湿度等の基本的なケアはしています。
他にも何かケアしたほうがいいですか?」

ステロイドをいったん使うと、このように離脱が難しくなる例が多くなります。 弱いステロイドや、保湿剤のみの状態に戻すのが非常に難しいのです。 これを治すには、ステロイドの使用を中止し、本来の湿疹の姿にもどしてから 順番に原因を消していかなくてはなりません。 この場合は、ワセリンでの保湿が効かないわけですから、 すでに化膿をおこしているか、 弱いステロイド(IV類)であってもステロイド依存を起こしているかのどちらかでしょう。

ステロイド依存は早い子では1、2ヶ月でおこします。 上記のように、3年以上たって起こす子もいますし、 15年以上たって、大人になってから依存が破綻して(=より強いステロイドが存在しなくなって)ステロイド離脱に追いやられる人もいます。

一方で、ステロイドを使っていても、季節が変わって湿度があがり、湿疹の原因だった皮脂不足が解消されて自然に治る子も大勢います。この場合、親は「ステロイドのお陰で治った」と勘違いして、他人に薦めたりするので注意が必要です

一般的に、化膿のない(or 少ない)軽い湿疹だと、ステロイドをつけていても治りやすいように感じます。


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