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アトピーとアレルギーの関係(その1) [アトピー余談]

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このブログに来る皆さんは、ほとんど、お子さんの皮膚について悩まれている方だと思います。
私自身も最初、そうでした。
親はまず目に見える症状のことで頭の中がいっぱいいっぱいになっちゃいますよね。
私も上の子のことで、アトピー性皮膚炎や皮膚科学、ステロイドの薬理についてはかなり調べたのですが、アレルギーの可能性については見落としていて、対処のスタートが出遅れてしまいました。

という痛い経験から、こう言わせてもらいます。

子ども、特に0〜6才の場合ですが、
「湿疹を見たら、アレルギー体質を疑え!!」

そこのお母さん!
乳児湿疹やアトピーだとばかり思っていて、アレルギー検査を何もしていないというのなら、とりあえず検査を受けましょう(笑)。
検査は血液で簡単に検査でもできますし、保険もききます。皮膚試験(今はプリックテストが多い)を実施する先生もいます。何はともあれ、一度は検査を受けてみましょう。子どもの体質を把握しておくことには意義がある、とLuxelは思います。

(「検査で陽性=即、食物除去」を勧めている訳ではありません。念のため。私自身は今のところは一応、主治医の支持どおりに1才半までの除去を予定してはいますが、予定変更もあり得ます。その後は耐性獲得を目指す予定でいます。また、1才半までの除去が適切かどうか、という点でもまだまだ議論の余地があります。詳しくは「除去の是非」と「耐性獲得法(別名:経口免疫療法)」の記事に書く予定ですが、まだまだ調査することが多く、時間がかかるので、調べがつくまで「とりあえず除去」で対応しているだけです。1才半まで、というのは、そのころには皮膚がだいぶ落ち着くのではないか?という予想と、1才前の検査でIgE陽性の項目が増えてしまい、それが離乳食に使った食材だったため、「一歳ではまだダメなのか・・・じゃあ、一歳半まで」と単純に考えただけで、それ以外に1才半の根拠がある訳ではありません。)

なぜ「アレルギー検査なのか?」
というと・・・・

小児、特に乳幼児(〜6才くらいまで)のアトピー性皮膚炎には2つ(以上)のグループがある、と考えるのがどうやら妥当のようなのです。
一つは「アトピー性皮膚炎(or 乳児湿疹)」と「(食物 or 吸入抗原)アレルギー」を併発しているグループ《併発群》、
もう一つは「アトピー性皮膚炎(or 乳児湿疹)」単独で発症しており、アレルギーの徴候の無いグループ《アトピー単独群》です。

※アトピーっぽい子でも「0才台ではアトピー性皮膚炎という診断はしない!」というポリシーのお医者さんもいるので、「アトピー性皮膚炎 or 乳児湿疹」としました。英語なら"infant eczema"の一言で済むのですが。

なぜかというと・・・
「食物アレルギー」と診断された3才以下の子の「アトピー性皮膚炎 あるいは 湿疹の併発率」はなんと8割以上です。(0才では9割以上。0〜6才でトータルすると6割)
反対に「アトピー性皮膚炎」と診断された乳幼児の食物アレルギーの併発率は、論文によりますが、33〜63%。乳児だけに絞ると、なんと74%!という数字です。

スライド1.jpg
 ※上図の円の大きさはいい加減です。

いずれにせよ、皮膚に湿疹がある子の半数程度は食物アレルギーを有し、何らかのアレルギー性疾患(喘息、花粉症のような鼻アレルギー)のどれかを併発する確率はこれ以上、となります。

アトピー性皮膚炎ははっきりした抗原(=免疫の攻撃の対象となる物質)がある訳ではないので、正確に言うと「アレルギー」という名の病気ではないのですが、「アレルギーを発症する子」が発症しやすい疾患である、ということは確かです。

分かりにくいでしょうか?

「アレルギー体質の子」は「食物アレルギー」や「花粉症などの鼻アレルギー」になりやすいのはもちろんですが、こういう体質だと「アトピー性皮膚炎」や「喘息」にもなりやすいのです。しかし、「アトピー性皮膚炎=アレルギー病」という説は誤りです。アレルギー反応というのは、抗原(=免疫が反応する単一の原因物質)がはっきりしており、抗原ー抗体反応や抗原−T細胞刺激など、経路もはっきりしている反応です。花粉症などはアレルギーです。原因物質(抗原)がスギなどの花粉であることに疑いはないでしょう。

「アトピー性皮膚炎≠アレルギー」なのです。
でもアトピーは「アレルギーの人がなりやすい病気」であると言えます。
この違いが理解できますでしょうか。これより良い説明ができないので、申し訳ないですが・・・

皮膚科の先生とアレルギー科医の論争の溝はこの部分にあります。
皮膚科の先生からすれば、「だって、IgEが低いアトピーの子だって相当数いるじゃないか!だからアレルギーなんかじゃないし、IgEが原因なんかじゃ絶対にない!」となり、アレルギー科の先生からすれば、「そうはいっても、合併率は高いのだから、何らかの関係はある、と考えるのが妥当でしょう!」という主張となります。どちらも間違いではないのです。
ちなみに後者が主張するのはIgEが高く、何らかのアレルゲンに対するIgEが検出される子ども、つまり「併発群」を指しています。皮膚科医の先生は「アトピー単独群」を指して言っている訳です。
アトピー性皮膚炎を一つのグループと考えるから説明に無理が生じるのであって、「出ている症状は同じだけど、病気の成因(原因)が異なる2つのグループから成っている」と考えると明快に説明でき、治療法も分けて考えることができます。両者の主張は、一部はどちらも正しいのです。(というのがLuxel の解釈です。)

それが何故このように喧嘩になってしまうのかというと、アトピー性皮膚炎としては「併発群」の子も、「単独群」の子も「皮脂を始めとする皮膚バリアの機能低下」によって湿疹が起きているので、視診では区別がつかないためです。この2グループの見分け方の目安となるのが「IgE値」です。(完璧な指標ではないです。大まかに分けることはできますが。)

我が子がどちらのグループか、区別をつけるには最低でも血液検査でIgEの総量と抗原の種類を調べる必要があります。(実際にはわずかに『IgEは正常値だが、アレルゲン特異的IgGは立派に出ている」という「隠れアレルギー」もあるのですが、ここでは話を簡単にするために端折ります。)

《併発群》の子は血中のIgEの濃度が高いことが目安です。これが高い、ということは、そのIgEは何らかの抗原に特異的に結合するIgEであることが多く、RAST検査をすれば、たいていの子で結合する相手=アレルゲンの種類が分かります。
この群の子は「アレルギー体質」の子、と称してだいたい当たっているでしょう。
「アレルギー体質」というのは、Th2型免疫が優勢、というか過剰に活性化しやすい体質のことです。しかし、ここで間違ってはいけないのは、「IgEがアトピーの皮疹を起こしているわけではない」ということです。

IgEが起こすのは抗原との接触直後から2時間くらいの間に反応が始まる、とても早い反応「即時型反応」です。これが皮膚におきると湿疹がひどく悪化し、そして数時間後には消えてしまいます。これはアトピー性皮膚炎の皮疹とははっきり異なりますので、まず見間違うことはありませんし、原因抗原を探し出すのも容易です。(ただ、アトピー性皮膚炎の子がアナフィラキシー反応を起こすこともあります。)

じゃあ、IgEがアトピーの原因でないのなら、わざわざ血液検査をして調べる意義は何なの?と思うでしょう?
抗体には大きく分けて、IgD、IgM、IgG、IgA、IgE、という5種類のisotypeがあります。血中へはIgDを除く4種の抗体が出てきます。また、IgG分子を細かく分けるとIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の4つのサブクラスに分かれます。問題のIgEというタイプの抗体は、免疫が大きくTh2側へ傾いた時にしか出てこないのです。免疫のバランスがTh2側へ傾いた時に出てくる抗体は、IgG1、IgG4、IgA、IgEです。

つまり
IgE高値は免疫がTh2へ傾いていることを示す指標

となるのです。

その子の体質がTh2の方へどのくらい傾いているか、を大雑把に知るマーカーとなります。
とはいえ、B細胞がIgEを作る能力(というか産生量を規定する因子)には個人差が大きく、IgEの高さ=Th2の活動性の高さ=Th1の活動性の弱さ、という風に、直接的には結びつきません。
IgEが高い子は、大雑把に「(Th1/Th2の)どちらかといえばTh2の活動性が高い、アレルギー体質っぽい子なのね」くらいの把握になります。
Th2活動性の高さを絶対値で表すような指標ではありません。

説明が後回しになりましたが、Th1とTh2について簡単に説明しますと、
これらはどちも"ヘルパーT細胞(Th)"のタイプです。Thには2つの種類があります。
T細胞は最初Th0といって、Th1でもTh2でもない状態にあります。
それが最初の抗原感作を受けた時の刺激の種類によってTh1かTh2のどちらかに分化(変化)を始めるのです。Th1に分化するか、Th2に分化するかで、そのヘルプする免疫の性質が大きく異なります。

はなはだ簡単な説明ですが、
Th1型の免疫応答、というのはウィルスや結核などの細胞内侵入病原体を殺すようなタイプの免疫で、「細胞性免疫」を誘導します。リンパ球が直接、感染細胞ごと殺すことのできる強い免疫です。
Th2型は「体液性免疫」つまり抗体産生がメインとなるような免疫応答です。多くの細菌や異種タンパク質、寄生虫などが体内に侵入してきた時に誘導される免疫応答です。Th2細胞はB細胞が抗体を作るのをヘルプする訳です。

T細胞の多くはこのTh1とTh2のどちらかに分化して成熟するのですが、病原体の種類によってTh1が多く分化するか、Th2が分化するかは決まっています。
そして一個のT細胞はTh1かTh2のどちらかへといったん分化すると、その分化は不可逆的で、死ぬまでの間にもう一方のタイプに変化する、ということはありません。(分化の途中まではTh2がTh1へ分化する能力はありますが、一定以上に分化が進むと他のタイプへは変化しません。)
そして、お互いがお互いへの分化を抑えるサイトカインという分化因子(蛋白分子)を分泌しているので、Th1が優勢なヒトとTh2が優勢はヒトとがいる訳です。アレルギー体質とはTh2優勢体質のなかでも特に強いTh2優勢、と考えられています。(Th1ーTh2という軸の他に、免疫全体の力の強い人ー弱い人、という軸(個体差)もありますので、単純な把握は難しいです。)

このTh1もTh2も、ヒトが産まれた後、数多くの病原体に免疫が遭遇することで刺激を受け、数を増やしていくのです。赤ちゃんは生後10ヶ月ごろからちょくちょく熱を出すので、働くママ泣かせなのですが、これは免疫を鍛えるのには必要な過程で、生物として必修科目のようなものなのです。逆にいうと、子宮内は基本的に無菌なので、赤ちゃんの免疫は戦う必要がありませんから、出生直後には「免疫記憶=ゼロ」で、Th1もTh2もほとんどいません。こういう段階はTh0というnaiveなT細胞ばかりです。それが、出生直後から菌があっという間に腸内や皮膚に住み着き、常在細菌となるのです。本当に、産道でお母さんから菌をもらうやいなや、その菌が爆発的にふえ、生後1日も立てば、立派に腸内細菌が住み着いています。こういった細菌は「何もしない」のではなく、ちゃんと免疫系細胞に適度な刺激を与え、育ててくれます。もちろん、「適度な刺激をくれる良い細菌」ばかりなわけはなく、赤ちゃんは子宮から出たとたん、病原菌やウィルス病原体の侵略をも受けるのですが、なぜ平気かというと、胎内でお母さんの血液から胎盤を通してこういった怖い病原体に対抗する抗体をもらい、生後はさらに母乳中のIgA抗体や様々な防御因子によって病原菌や病原ウィルスから守られているからなのです。こういう、赤ちゃん本人の自前の免疫ではない防御機構を「受動免疫」といいます。しかし受動免疫はだいたい生後10ヶ月ごろには切れてしまいます。この頃からいよいよ赤ちゃん自身の免疫は自力で戦い始める訳です。

ちなみに、Th1を刺激するような強力な病原体というのはかなり種類が限られていますし、基本的にそういう病原体に対する免疫をお母さんは持っているので、そのお母さんからの受けついだ抗体が守ってくれますから、10ヶ月までは赤ちゃん自身の免疫が戦う場面は実際には非常に限られています。(しかもワクチンを打っているのでTh1応答が必要になる事態が非常に少ない、と想像されます。)Th1が必要となるようなウィルスや細菌は細胞侵入性や細胞破壊性が強いので、ひどい熱が出たりします。この熱がTh1型免疫を起動するスィッチの役目をします。(だから熱はなるべく下げてはいけないのです。もちろん40℃を超えようか、というような異常な高熱は別ですよ!)こういったTh1を誘導する性質が強い病原体に出会うことがなければ(出会っても侵入されなければ)、少々の病原刺激では、免疫はTh2型応答、つまり抗体で済ませてしまいます。そんな訳で、赤ちゃんは全員、生まれつき(どちらかといえば)Th2優勢に傾くのが自然なのです。それが大きくなるにつれ、手強い病原体と何度も戦いを重ねるうちにTh1の勢力が強くなり、Th1―Th2のシーソーの、Th2への強い傾きが(反対側へと)戻していくのです。これがアレルギー性のアトピーーや湿疹が2才頃にはほぼ治る、という現象の仕組みです。(と、Luxelは考えています。)今、「えっ?」って思ったヒトはなかなか冴えてるヒトですよ〜♪ この「アレルギー体質」と「皮膚」の関係は次回記事(その2)で説明します。この関係は「何故、(アレルゲン食物を)除去した方が良いか?」にもつながる問題なので、お楽しみに!

(追記)
同じ一人のヒトの中でも人生のなかでTh1―Th2体質はシーソーのようにお変化することがあります。
例えばTh1型のヒトでもガンになるとTh1の活性が抑えられることにより、Th2の方に傾きます。
腸内細菌の種類によってもアレルギーの症状が軽くでたり、重く出たりします。この現象は腸内細菌の種類によってTh1を誘導or活性化するものと、Th2を誘導 or 活性化するものとがある、という論拠になっています。
うちのキュ〜君みたいにTh2への傾きがもともと強い子でも、リンゴ病ウィルス(Parvovirus B19)のようなTh1誘導能の強い病原体に感染すると、Th2への傾きがTh1に引き戻され、あっという間にアトピーが引っ込むこともあります。(その後の水痘感染とウィルス性の風邪のお陰で、Th2への傾きが戻ってしまい、湿疹も戻ってしまいましたが・・・しくしく (T T)
中でも最も劇的なのは、Th2優勢の赤ちゃんも、成長するにつれ、だんだんとTh1が強くなり、Th2はそれほど強くなくなることです。

その証拠が、"TARC"という血中に存在する蛋白質です。TARC(Thymus- and activation-regurated chemokine)は細胞の移動を司るケモカインという蛋白質の一種で、Th2を動員する作用があります。TARCが高い時はTh2細胞がたくさん動員されていて活動性が高い状態、つまり「TARC=
Th2活性のマーカー」と(大雑把には)考えてOKです。TARCは血液検査で測定でき、保険も適応されるのですが、このTARCの値はアレルギー体質の人ほど、そして、赤ちゃんほど高いのが特徴です。年齢ごとに「正常値」、つまり「健康な人の値」が異なり、下のようになります。

成人:450未満(pg/mL)
小児(2歳以上):743未満
小児(1〜2歳):998未満
小児(6〜12ヶ月):1367未満!
(この値は検査会社によって多少異なる。上記はSRL社の値)

ね? なんと、赤ちゃんは大人の3倍以上あっても正常なのです。
それに、2才頃までの下がり具合が急なのが分かりますよね?
これが意味するところは、「2才までに急速にTh2が抑制される」です。

ただし、アレルギー体質のお子さんはやはり何らかの異常により「Th2の活性が高い」体質なので、TARCのもともとの値も高くて、TARCの下がり具合も遅れる可能性が高く、下がっても高止まりする可能性はあります。でも、あまりこの数値に振り回される必要はありません。目安にはなりますが。何のことはない、皮膚の炎症の程度ときれいに相関するので、「見ても分かる」のです。他の子の値と比較することにあまり意味はありません。(TARCはステロイドを処方する医師たちの、「ステロイドの強さを決めるために客観的な指標が欲しい」というニーズに答えるものとして検査に使われています。)

産まれた時にはTh2が優勢な赤ん坊も、感染症に再々かかることによって、だんだんとTh1の方が活性化してきて、そのぶんTh2色が薄れていくのです。だいたいの子が3才を過ぎるころにはもうあまり熱を出さなくなることを、ほとんどのお母さんが経験しているでしょう。

その他にも
Treg、Th17、という新しく見つかったT細胞の種類もあるのですが、これについては今後の別記事にてご紹介します。

という風に、免疫がTh1かTh2か、という問題はアレルギー体質に深く関わっています。


さて、次回いよいよ「アトピーと(食物などの)アレルギーの関係」です。
なぜ、アレルギー体質だと湿疹が出やすいのか?

最新のデータを元に、luxelの大胆な(!?)推測とともに、お話したいと思います。
乞うご期待!(気長に待っててくださいね〜!)[わーい(嬉しい顔)]
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ぬーの

記事、興味深く読ませていただきました!

なぜ、アトピー性皮膚炎になってしまったのかどうするのが治療にいいのか、理にかなう説明を日々探している私には、このブログが頼りになる情報源となっています。

軽減法を試して約1ヶ月になろうとしていますが、先日祖父母の実家に帰省した折、ハプニングが・・・・
なんと遊びに行った先で、息子がまさかのアナフィラキシーショックを起こして、咳と軽い湿疹から始まり、嘔吐、全身に消えたり現れたりするひどい湿疹とむくみ、呼吸異常、一時意識をなくして病院に駆け込みました。

ステロイドは使いたくないという旨を医者に相談し、幸い本人の回復力もあって、抗ヒスタミン剤を使って大事にはいたりませんでしたが、以来皮疹は悪化しています・・・

曾おばあちゃんがあげたソフトクリームが原因ではないかと思います。
牛乳は生後4か月の血液検査でRAST 1(総IgE値 22)、現在生後11カ月ですが、この結果を軽視してはいけないということがよく分かりました。

今後の離乳食、母乳も引き続き気をつけていかなくてはと気を引き締めているところです。
by ぬーの (2010-09-30 17:27) 

Luxel

>ぬーの様

びっくりしました!!
たいへんだったのですね・・・
本当に、貴重な体験談をお知らせくださって
ありがとうございます!
(このブログは、皆様のご報告によって成り立っているようなものです。)

そうだったのですか・・・典型的なアナフィラキシーショックですね・・・・やっぱりアナフィラキシーは怖いですね。

ちなみに、ステロイドを断ったのは正解です。アナフィラキシーのような秒単位・分単位の症状は、ステロイドには抑えられないのです。(ステロイドは効果発現まで数時間を要する。その頃にはアナフィラキシーなら他の処置によって治まっている。)

じつは、ぼんやりと予想しているのですが、うちみたいにIgEは桁外れに高くても(生後6ヶ月で4桁!)、反応するアレルゲンがたくさんある子(うちはすでに10以上の食品に陽性・・・(T T)は実はあまりアナフィラキシーをおこしにくいのでは、という予想をしているのです。あくまで、「予想」ですが、、、、(それで予定をちょっと早めて、1才3ヶ月になる来月、一品目だけ(たぶん大豆)負荷試験をしてみようか、と考えています。皆さんにお勧めする段階では到底ありませんが...)

逆に、総IgE値が低くても、1種類か2種類のアレルゲンしか陽性でない子の方がアナフィラキシーを起こす可能性が大きいのではないか?と予想していました。実は、この可能性は、アレルゲン→IgE→アナフィラキシーの分子機序を考えると、そう変でもないのです。じつはぬーの様のご経験を聞くより前に、キュ〜君のデータをながめて「うちの子はかえって、あまりアナフィラキシーの心配はないのでは?」と想像していたのですが、まだ記事として書くには研究者としての想像の域を出ない仮説だったので、ブログには書いていなかったのです。このへんの臨床データを探しているのですが、いまだに見つけられていません。

ですが、ぬーの様のコメントを読んで、想像でもやっぱり書いておけばよかった、と後悔しました。他のお母様方にも注意していただきたいので、できるだけ早く本記事の方にしようと思いますが、その際、ぬーの様のご経験を是非引用させてください。m(_ _)m
どうぞよろしくお願いいたします。

アナフィラキシーが起こった、ということは、牛乳抗原が体内にはいって、牛乳蛋白を認識する記憶Th2細胞(memory Th2 cell)や記憶B細胞(memory B cell)を刺激してしまったでしょうから、おそらくTh2の活動性が上がってしまい、Th2サイトカインの産生量が上がって皮膚細胞の皮脂分泌をよりいっそう下げて湿疹が悪化してしまったのではないか、と予想します。このTh2反応がもとのレベルに戻るには少なくとも1、2ヶ月はかかります。でも、抗原刺激を追加しなければ、必ず静止期に戻ります。という訳で、当分は牛乳成分の徹底除去を続けてみてください。

お子さんのようにアナフィラキシーを起こした子でも、将来、耐性を獲得できる可能性は十分あります。そういう治療法が現在、研究され、一部で試行されています。(学童期の子に対して、ですが。)そういった治療法については、情報を集めて徐々に記事にしていく予定ですので、「一生飲ませられない」とがっかりせずに、希望をもって除去を続けてくださいね。記事もどうぞ楽しみにしててください。

食物アレルギーは長期戦ですので、どうぞゆっくり、このブログともおつきあいくだされば幸いです。

「軽減法」も本来は(体質にあっているようなら)6ヶ月とはいわず、年単位で続けるものなので(さすがにアナフィラキシーを抑えるようなパワーのある方法ではないのですが、新しい抗原に感作するのを防ぐ効果は期待できます)、副作用がないようなら漢方薬のように長期に続けて体質改善(=腸の改善・アレルギ−体質の改善)を目指していただければ、と思います。


by Luxel (2010-09-30 19:54) 

ぬーの

Luxel様、コメントありがとうございます。

総IgE の値が低いことがアナフィラキシー・ショックと関係があるとは思いもよりませんでした・・・(ショック)!

むしろ、値が低い、RAST の結果が1程度であることから、こんな大変なことになるとは思いもよらずちょっとくらいは大丈夫なものと甘く見ていました。
この考えは逆の可能性があるのですね・・・・
本当に反省です。
2度と繰り返さないよう、徹底除去を行わなくては・・・。

私の経験がもし他のお母さんの方にも役に立つなら、と思います。
アナフィラキシーショックを起こすまでの経過は、
ソフトクリームをたべる(一口めはたべて二口目からはべーっと出したようです)
→たべてから10~15分くらいで軽めの湿疹が出てせき込むようになる
→15分~25分くらいで嘔吐、全身に湿疹とむくみ、紅潮などの症状がでる
→25分~35分意識がなくなってぐったりする、唇の色がわるくなる
→以後、15分程度で目覚めるも全身のひどい湿疹とむくみは処置後の翌日まで続く
でした。呼吸困難が軽く済んで良かったと思います。あわてているうちにどんどん症状が進んでいったので、もしもっと重い症状がでていたらと考えるとこわいです。。
記事で引用されることがあれば、また情報提供させていただきます。

今回のことを踏まえて、ダメな食材をいつ解除するのかというのも難しいものだと思いますが、あせらないことが一番と心掛けて離乳はゆっくりめで、淡々とケアや「軽減法」を続けて行きたいと思います。

それにしても、一度 Th2 の活動性が上がった状態は1・2ヶ月は継続するのですね。これも知りたかった情報のひとつでした、ありがとうございます。

現在、再度血液検査をリクエストして結果待ちです。
もうすぐ1歳ともなると、下手に力が強くなってあばれて採血が大変でした(2か所やられてしかもあざになってます・・・・汗)。
アナフィラキシーを経験した我が子がどんな値を示すか、楽しみ?です。

また報告させていただきたいと思います。
by ぬーの (2010-10-01 00:15) 

tomo

Luxelさん、お久しぶりです。以前、脱ステ医の谷○医院さんのことでコメントやメールをさせていただいたtomoです。
今回の記事、大変興味深く拝読させていただきました。
Th1とかTh2がアレルギー、アトピーに関わっているということは知っていたのですが、理解が難しく、放置していたのですがLuxelさんの記事を読んで理解することができました。ありがとうございます。
私の息子も、8ヶ月になり、そろそろ離乳食でたんぱく質もチャレンジしたいな。だけど牛乳がレベル1だから、他のものも既にアレルゲンになってるかな。と思って躊躇していました。
そこで上記の谷○先生から、大豆由来のプロテイン(ペプチドまで分解されている)を試しに飲ませてみれば?と提案され、息子に与えたところ顔に湿疹が…(プロテインが触れた顎や、湿疹が収まっていた眉間などにできました。元々あったこめかみや頬の湿疹もひどくなりました。)
ペプチドにまで分解されているのに、湿疹がひどくなったので落ち込みました…(その後4日ほどかけて、皮膚は元の状態に近づきつつあります。)

あと、私も軽減法を試してみようと思っています。
これから、Luxelさんのメールアドレスにエントリーの旨、送ってみようかと思います。
よろしくお願いいたします。
by tomo (2010-10-01 10:55) 

あっとちゃんママ

初めまして、あっとちゃんママと申します。
8か月の息子がおり、乳児湿疹が少々ひどくて、ブログを拝見させていただき色々勉強させてもらってます。ありがとうございます!!
育児に仕事にブログに、大変なことだと思います。
ご無理なさらず、体を大切にしてくださいね。

実は相談させていただきたい事があり、メールをさせてもらいました。
ところが、メールがエラーで返ってきてしまします。
lxuelblog@yahoo.co.jpへ送っても届かないのですが、どちらへ送らせていただいたらよいでしょうか。

お忙しいところ我儘言って申し訳ありません(><)
どうぞ宜しくお願いします。


by あっとちゃんママ (2010-10-02 17:10) 

Luxel

>あっとちゃんママさま

lxuelblog@yahoo.co.jpではなく

xxxluxelblog@yahoo.co.jp
(迷惑メール防止のための先頭のxxxは取り除いてください。)
に送っていただいてもだめでしょうか?
お試しください。
by Luxel (2010-10-03 22:24) 

あっとちゃんママ

Luxelさま、お返事ありがとうございます。

メール送らせていただきました。
よろしくお願いします。

by あっとちゃんママ (2010-10-04 00:13) 

Luxel

>あっとちゃんママさま

メールアドレスの誤記載、ご指摘ありがとうございました!
全然気づきませんでした(汗)
大事な記事だというのに・・・
早速訂正させていただきました。

m(_ _)m

by Luxel (2010-10-06 12:48) 

ぬーの

こんにちは。
息子の血液検査の結果を見て、麻しん風疹混合(MR)ワクチンの接種をどうするか悩んでいます。

1歳での血液検査の結果は、

種類 RAST値

卵白   4
牛乳   4
小麦   3
大豆   2
卵黄   2
鮭    1
鶏肉   0
マグロ  0
エビ   0

でした。非特異IgEの値は、手違いで調べてもらえてませんでした(しかも豚肉じゃなくて、ぶたくさが調べられていました・・・・)。

牛乳でアナフィラキシーを起こしたばかりなので、心配で。
鶏肉が0なのでいいのかなぁと思ったり。主治医に相談したのですが、大丈夫とは言い切れない、と切れが悪い言い方をされて予防接種を受けていいものかと判断しかねています。

Luxcell 様や他のお母様方はどうされているでしょうか・・・
勝手なお願いですが、教えて頂ければありがたく思います。


あと話がそれますが、血液検査の結果を見て感じたことは、これまで離乳食で試したことのあるものはすべからく RAST が高い値を示していることです。
今回は RAST でアレルギーを示す値がでなかったものも、うちの息子の場合与えたらきっと陽性になるのではないかと・・・予想ですが・・・。

離乳食でいろいろ与えるのはもうちょっと後にしようと考えています。

by ぬーの (2010-10-07 22:17) 

ぬーの

続けてのコメントで申し訳ありません!
Luxel 様、上のコメントでつづりを間違えてしまいました。申し訳ありません!
お許しください。
by ぬーの (2010-10-07 22:20) 

S.O

こんにちは、昨日メールを送らせて頂きました。
ヤフーの不具合があるとのことで、こちらでもご連絡します。
お手数ですが、メールのご確認よろしくお願いします♪
by S.O (2010-10-08 08:44) 

まぐのりあ

乳児湿疹がひどく(現在1歳になり、かなりきれいになりましたが)
「軽減法」を実践させていただいています。

「湿疹をみたらアレルギー体質を疑え」
というのは、本当にその通りだと実感しています。
何ヶ月もひどい湿疹に悩まされ、ステロイドも使ったのによくならず
Luxel様のブログを拝見して、もしや、と思いアレルギーの疑いのある牛乳、卵、小麦をやめたところ(母乳だったので除去食)、湿疹は軽減しました。
調子が良かったので断乳し、アレルギー用ミルクにかえたら、さらにきれいになりました。(軽減法のおかげもあるのでしょうか。下痢気味だったのが、便通がよくなってきました)

そして最近、離乳食でもやめていた、牛乳が入ったカボチャスープを、入っていないものとうっかり間違え与えてしまい、アナフィラキシーを起こしてしまいました。
症状は、食べてすぐ蕁麻疹が目の周りからおでこ→頬→あご→首とみるみる広がり、激しく咳き込んでしまいました。

牛乳を与えてしまったとすぐに気がついたため、総合病院にかけこみ、アドレナリン注射と吸入で咳を抑え、抗アレルギー剤とステロイドの点滴(ステロイドの必要はあったのでしょうか)で蕁麻疹を抑え、点滴をしたまま一日様子見の入院をして帰ってきました。

血液検査の結果は、半年前にミルク=クラス3、が今回ミルク=クラス2です。
(*卵白=クラス3、小麦、卵黄=1、大豆、米=0)
まさか、こんなひどいアナフィラキシーを起こすとは本当にびっくりです。

少し前に突発性発疹にかかったので、体力が落ちていたこともあるかもしれませんが。

今回のことで、これだけ症状のひどいアレルギーなのに、牛乳をしっかりのんで母乳を与え、湿疹を悪化させていたんだと分かり、改めてショックでした。小児科でも皮膚科でも、アレルギーではないので、むしろタンパク質はしっかりとってくださいと言われたのですが。

アナフィラキシーを起こしてしまったので、1年間は絶対に乳成分を与えないようにと言われました。

アレルギーを克服するためにできることはしなくては、と思っています。
これからも勉強させていただきたいので、よろしくお願いいたします。





by まぐのりあ (2010-10-08 19:10) 

Luxel

>ぬーの様
お返事遅くてすみません。m(_ _)m
今のMRワクチンは卵の含有量がかなり低いので、それほど心配はいらないと思いますが、いちおうアレルギー科での接種をお勧めします。万一アナフィラキシーが起きても処置してもらえることと、おそらくですが、皮内テストをしてもらえるだろう、というのが理由です。事前に電話をかけてアナフィラキシーの既往があることとテストのことなど確認してから行くと安心でしょう。

>あと話がそれますが、血液検査の結果を見て感じたことは、これまで離乳食で試したことのあるものはすべからく RAST が高い値を示していることです。

あ、そーなんですよ! うちもです。
私も食物アレルギーのことをよく調べていたら
離乳食開始前から「軽減法」を導入したのに,,,と後悔しました。
やはり、アレルギーのある子のうち何割かは腸がスカスカ・・・食物抗原が体内に入りやすいのでは、と思うのです。(論文のデータでは、軽減法をやってもIgEの数値は変わらず,,,しかし、感作抗原数は少なくてすむことから、軽減法の菌は腸管の成熟を促進し、腸の物質透過性を下げているのでは?と推測されるのです。)

実は世界的にも、「IgEが高くても、早くから食べさせた方が良い」という説と、「やはり遅めにするべきだ」という説の両方があって、研究者がケンケンガクガクと議論しています。が、離乳食開始時期に関する最初の介入試験のデータが明らかにされるのは2013年。これではうちの子には間に合いませんので、基礎研究などの論文を手がかりに手探りで治療法を探すしかなさそうです。

うちの子たちアトピーっ子はワクチンに関していえば、ある意味「かかりやすいタイプ」ともいえるでしょう。何しろ、抗体産生しやすいですからね(苦笑)。麻疹はかかると結構しんどいのですが、皮疹の後が残りやすいことからも、ワクチンは(医者がOKと言うなら)打っておいた方が良いと思います。
by Luxel (2010-10-12 10:47) 

ぬーの

Luxel 様

返信ありがとうございます。
MRを受けさせようと思っています。

>実は世界的にも、「IgEが高くても、早くから食べさせた方が良い」という説と、「やはり遅めにするべきだ」という説の両方があって、研究者がケンケンガクガクと議論しています。が、離乳食開始時期に関する最初の介入試験のデータが明らかにされるのは2013年。これではうちの子には間に合いませんので、基礎研究などの論文を手がかりに手探りで治療法を探すしかなさそうです。

そうなんですね・・・

血液検査の結果があまりにもショックで、いろいろ調べているうちに Luxel さんのブログの中にもでてくる佐藤健二先生の今年の9月に出された本「赤ちゃん・子供のアトピー療法 ステロイドにNO!を」に出会いました。

小麦はときどき、大豆などは毎日離乳食でたべさせていたのに、もうあげられないのかと心配していたのですが、上記の本を読んで私は与えることを決めました。
決めたのには、除去はつらい!というのが一番の理由ですが・・・

あれから何回か試してみましたが、今のところ、うどんも豆腐も大丈夫です。

たんぱく質豊富な離乳食をあげていたら、皮疹も良くなるように感じています。

除去はできていませんが、「軽減法」のプロバイオティクスは引き続きつづけて参りたいと思います。

またよろしくお願いいたします!
by ぬーの (2010-10-12 14:38) 

さくら

こんばんは。ご無沙汰しております。以前、娘の首のステロイドの副作用による炎症で、何度もお世話になった、さくらです。遅くなりましたが、9月前から、約五ヶ月にわたるステロイドの副作用に終止符を打つことができました。本当に辛く悩んだ五ヶ月間でした。7月末までは、一向に快方に向かっている様子はなかったのですが、幼稚園の水遊びのせいかその炎症部位がとびひのようになってしまい、皮膚科に行き抗真菌薬を3日間塗ってから、状態が好転していきました。ビックリしました。でも、またぶり返すのではと不安でしたが、今のところきれいな状態を保っています!両腕の発疹も水いぼが治ると同時にいつのまにかなくなりました。もう、二度とステロイドは塗らないです。そのつど、私を励ましてくださったこととても感謝しております。ありがとうございました。
 ところで、アトピーとアレルギーの関係を読ませていただきました。そこで、質問があります。12月末で二歳になる子供のことについてですが、一歳半の血液検査で、()内はちょうど一歳の時にした血液検査の数値です。
IgE;84(65)
卵白;6.16(2.29)
卵黄;2.01(0.59)
ミルク;2.33(1.07)
小麦;7.00(2.84)
米;0.35(0.63)
バナナ;0.69
で、米以外数値が上がっています。ただ、うちの子供は肌はとてもきれいで、発疹は全くなく、肌の乾燥もないので、入浴後も保湿は塗りません。いわゆる、20%の中に入っています。現在、卵は完全除去、乳製品も乳糖や乳たんぱくのような物は摂取していますが、基本的にほぼ除去、小麦は調味料はokですが、他は除去しています。カレールーに入っている小麦粉を食べても特に大丈夫です。ですが、アトピー症状はないのですが、じんましんは今までに3回(いずれも軽いです)と、何を食べたんだか・・・という感じなのですが、口の周りや顔に1㎝以内くらいの赤い発疹が出たことが、五回ほどあります。こちらも1時間ほどたてばなくなります。直接、食品が皮膚について赤くなってしまったりとかもありますが、ほとんど、友人の家(友人の子供が卵料理を食べてたり・・)や外食先や、風邪気味の時や昼寝がうまくできまかった時などです。アレルギー物質を食べた様子はない場合もあります。たまに、私の不注意で上の子のハイチュウ(濃縮ヨーグルトがはいっています)やキャラメルやクッキーを一個食べてしまったりしたことがあるのですが、そのときは特に肌に変化が表れたことはありません。私は、突然アトピーの症状が出だしたらどうしようという不安が心のすみにあるのですが、Luxelさん、どのように思われますか?なんか、分かりにくい質問ですみません。私なりに、ネットで調べたりはしたのですが、なかなか、息子の症状にあてはまることが載っておらず、今後どうしようか迷っています。息子のパターンは今後どうなっていくのかなと。。。二歳になる頃にまた血液検査をするのですが、もし数値が上がっていたらショックで、、、。







by さくら (2010-10-29 23:17) 

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