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「赤ちゃんの肌トラブルを防ぐ本」☆☆☆★★ [アトピーBOOK れびゅ〜]

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「赤ちゃんの肌トラブルを防ぐ本」(2008年12月 初版)
著:すこやか肌を育てる会
監修:山本一哉(医学博士、愛育病院皮膚科部長、専門:小児皮膚科)

ギャオがほとんど治ってしまったので最近の本はチェックしていなかったところ、このブログを読んでくださった方からご紹介いただきました。(H様ありがとうございます!)

いろいろ指摘したい点もあるのですが、それでもけっこう良書だと思いました。

「新生児期、しかも生後0日からスキンケアをしよう!」というのは、これまでなかった提案です。
皮膚の皮脂量や水分量のデータや、ケアをした場合としなかった場合のデータならびに皮膚の写真での比較など数々のデータが載っており、それを眺めるだけでも価値があると思います。

山本先生(は監修者ですけど、著者は「会」の人?)は「これまで考えられていた以上に、赤ちゃんにスキンケアや保湿は必要だ!」ということを、それなりのデータを元に主張されており、その点はLuxelも同意見です。

ただ、具体的な提案になると差があります。
山本先生は「毎日、石鹸類で洗って清潔にした後、保湿を!」で、Luxelは(というか、たらお先生の考えは)「風呂に入れずに、皮脂を温存(+保湿)」です。

この先生、東京の有名な「愛育病院」の小児皮膚科の先生ではありますが、赤ちゃんのお世話を毎日したことは、おそらく、無い。小さな赤ちゃんであっても、全身まんべんなく保湿剤を塗るのがどれだけたいへんか、という苦労は知らないのだと思います。折角の皮脂を一旦落として保湿剤を塗るよりも、自前の皮脂を利用した方がLuxelは合理的だと思うのです‥‥‥。

もっとも、世の中には「体臭のきつい」赤ちゃんもいるそうなので、そういうお子さんの親御さんは「毎日(石けん+)風呂+保湿」の方が選択しやすいかもしれまませんね[わーい(嬉しい顔)]。ちなみにうちのギャオも1才頃までは頭のてっぺんから「カラメルの臭い」を発していましたが、今ではちがうなんとも言えない(悪い臭いではないと思うんだけど、個人臭というか・・・)を発しています。(それでも3日に一度しか風呂に入れてないです。)臭いはパパとそっくりです(笑)。

最近の保湿剤にはオイル分も入っているのである程度は皮脂がわりになるのだろうと思いますが、Luxelはギャオでの経験からも、成分と性能の面からも、自前の皮脂の方が市販の保湿剤よりは優秀だと考えています。というのは、ギャオの場合、毎日お風呂にいれて保湿剤(※)を塗るよりも、お風呂に入れない方が皮膚の状態が良かったからです。ここらへん、それぞれのお子さんで違うかもしれませんので、「毎日風呂+保湿」「風呂入れず」どちらが良いか、試してみてください。

※ちなみにギャオの保湿剤は病院で処方してもらったもののみです。  ・ヒルドイドローション(夏場。冬は下地)  ・ヒルドイドソフト(クリームタイプ。冬の上塗り用。同ローションの上に塗る。)  ・亜鉛華軟膏(痒みがあるとき)  の3つだけを、症状に応じて使ってます。でも、お風呂に入れないのが一番効きました。  あ、もちろん入れた直後にはこれらで保湿します。

あ、夏はお風呂 or シャワーには毎日入れた方がいいかもしれません。
汗は洗い流した方がよいと思います。
汗疹ができるような、過剰な皮脂はガーゼで少しこすり気味に。
石けんの必要性は子どもの皮脂分泌量によりますので、使ってみて湿疹が出ないようなら使って構いません。(くれぐれも、夏/冬で入浴法は変えてください。)
ちなみにギャオは夏でも石鹸は要りません。髪だけアトピー用シャンプーで洗ってます。

※※ほかの記事にも書いていますが、おさらい。
人間の皮脂や皮膚の分泌物は感染防止に重要です。皮脂は乾燥を防ぐだけでなく、皮脂を栄養源とする皮膚常在細菌の維持にも必要です。さらにその皮膚の常在細菌は皮脂を分解して、オレイン酸や酢酸などの遊離脂肪酸を作りだし、皮膚の表面をpH5〜5.5に保ち、有害な黄色ブドウ球菌の増殖を防ぎます。(黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎を増悪させるスーパー抗原 super antigen を作ります。)皮膚に広い傷をつけると滲出液(pH6.8)がにじみでてきて、この黄色ブドウ球菌が繁殖しやすい環境となります。


まぁ要は、皮膚のバリアーが有効に働き、乾燥や感染による湿疹が起こらなければどんなケアでも良いと思います。

この本の残念なところは、アトピーや湿疹になってしまった後の対処法は旧来どおりであること。
ステロイドの副作用に対する認識は旧来どおりで、なおかつ、記述が少ないこと。
まぁ、この本の指導のとおりにして湿疹などの皮膚トラブルを予防できてしまえば、必要のない情報だからかもしれませんが、既にトラブルを起こした子のお母さんも手にとる本だと思いますので・・・。

あ、読む上で、一つ注意を。
p.48の文中に出てくる「肌の記憶」なる言葉は、米の皮膚科医の大教授、A.M.Kligman博士が40年程前に別の病気(接触性皮膚炎)の論文で、「仮説、概念」として述べた言葉で、科学的な裏付けがあるわけではありません。(原文の表現も「皮膚は記憶するのかもしれない。」と'may'という言葉を使って述べています。)乳児湿疹やアトピーについて、そのような長期のデータは今のところ何もありません。ステロイドの作用機序も免疫学も分かっていなかったので、この「皮膚の記憶」という言葉は赤ちゃんの湿疹やアトピーについて言及したものではありえません。「3才までに治さなければ〜」の科学的根拠は無いので、気にすることはありません。(山本先生も筆が滑ったのでは‥‥‥?)無用の炎症はアトピー・アレルギー体質を強める可能性があるので、治した方がいいのは本当ですけど、治すのにステロイドを使ってしまっては本末転倒です。

ちなみに本文中にある「肌の記憶(skin memory)」という言葉を初めて提唱した Dr.A.M.Kligman(ペンシルバニア大学皮膚科j教授。何と御年92才!)は「Steroid Addiction(ステロイド依存)」という言葉を広めた人でもあり、次の論文中で、ステロイド外用薬の危険性を述べています。「ステロイドは医者にとっても患者にとっても、誘惑的だ。」と。(Dr. Kligmanのこちらの業績はなぜか本書中では言及されていません。)
http://www.osk.3web.ne.jp/~medinet/essay2.html

<上記の論文の訳から一部抜粋。>
「外用ステロイドへの依存は、場合により悲劇的な容姿となる深刻な医療問題である。外用ステロイド依存は、実感されているよりは頻回に生じており、ずるがしこく、誘惑的であるので、これを回避するのは、開業医が、”ステロイドが治癒をもたらしはしないが、如何なる炎症性疾患をも抑制しうる驚嘆すべき力を有するということに驚嘆するのと同程度に、ステロイドの能力が害をももたらすという事実に驚嘆するようになる”時だけである。」


事実、「ステロイドを使った患者の皮膚はステロイドに依存しやすい性質に変わっている」という指摘を多くの脱ステロイド医がしています。Kligman博士も気づいていたんですね。

<追記> 「肌の記憶」について。
 luxelは「肌の記憶」ってあると思いました。「肌は、ステロイドを使ったことを何年も何年も記憶する。」luxel版「肌の記憶」です。(Kligman先生が意図した「肌の記憶」とは意味が違いますが。)根拠はKligman先生と同じくらいには、あります。  幼少時にステロイド使用歴のある人の思春期・成人期再発型のアトピーはステロイドに反応しにくく、難治性であると言います。皮膚科学会の中心に近い教授のいる某大学皮膚科のHPにも「一般に再発例は治りにくい」とあります。つまり、「治療に反応しにくい=ステロイドが効きにくい、増悪しやすい」ということです。Luxelはこの理由を、「肌はステロイドの使用を記憶するのではないか?」と考えました。「肌の、ホルモンの記憶」です。何か証拠が無いか、と捜していたら、なんと、どんぴしゃりの証言がありました。 以前ご紹介させていただいたアトピー患者兼研究者のHP「アトピーの小径」の中のこのページです。 http://homepage2.nifty.com/yamanekoworld/text/steroid/steroid_balance%20memory.html 計らずも、この方の言いたい事はluxelと同じ、「肌は、(ステロイドを)記憶する」のではないか、ということでした。(前から知ってたHPでしたけど、再発見です!)


ちなみにluxelは、乳幼児の湿疹やアトピーには極っっ力(というより一切の外用ステロイドは使うべきではない、と考えています。(できたら「小児期・思春期や成人のアトピーにも安易に使うべきではない」と考えています。)肌のステロイド記憶は確認されたものではありませんが、上記のような経験者の証言からもその存在が示唆されており、みすみす子どもたちの皮膚にステロイドののスティグマ(刻印)を押すことはない、と思います。それに加えて、ただでさえ未熟な乳幼児の免疫力を落とし、感染の機会を増やすべきではありません。「ステロイドを使ってでも治してやるべき」ではなく「ステロイドを使わずに治してやらなくてはならない」です。その点が、いちおう免疫学者の端っくれであるluxelと山本先生の意見の違いです。

「赤ちゃんの肌トラブルを防ぐ本」を読む上での留意点は、
・書かれているステロイド観は旧来のもの。
・アトピーについての考察は日本の皮膚科学会のガイドラインを踏襲しただけ。
・「肌の記憶」という言葉に振り回されることはない。
という3点にで、これらに留意して読むならそれなり得るものはある本だと思います。

「毎日石けん入浴+毎日保湿」vs「風呂入れず、石けん使わず+入浴後保湿」
どちらが効くかは、各自で是非お試しください! (^ ^)p
(結果を教えていただけると嬉しいです〜!)

 


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コメント 4

とむくんママ

こんにちは。
いや〜生後0日からスキンケアしましょう!には驚きです。私は、赤ちゃんだからこそ余計なものをつけてはいけないと思ってたんですね。保湿に関しても赤ちゃんのお肌に負担をかけてはいけない。もし、トラブルが起こってしまったら...と不安だったし、どういう保湿剤が良いのかもわからなかったこともありますが。

乳児湿疹になった時、お医者様には「毎日、石鹸類で洗って清潔にした後、保湿を!」と必ずいわれました。必要以上に皮脂を奪っていたんですね。その上、自己判断の保湿剤の量では治るものもなおりませんよね〜。ごめんね...
(体重6Kg身長70cmに対して12g必要)

Luxelの「風呂に入れずに、皮脂を温存(+保湿)」これをアドバイス頂いたとき「そ〜か〜!!!」驚きとともに納得しました。
とむくん4日お風呂いれずで昨日ようやくプカプカ湯船につかりました。ぬるめのお湯で!(私は寒かった〜)

*サトウザルベやはり田舎のドラッグストアにはおいてないようです。16日がちょうど4ヶ月検診なので思い切って亜鉛華軟膏くださいと言ってみます。

Luxelさんが今までお読みになった本を噛み砕いて説明してもらえたり、ギャオちゃんの経験を踏まえた考えを書いていただけて本当に助かっております。ありがとうございます。



by とむくんママ (2009-02-14 16:53) 

Luxel

>とむくんママさま、

メールの方うまく届きましたでしょうか。入浴法を変えられて、息子さんの肌が快方に向かうことを私も願っています。でも、お母さんが風邪をひいては元も子もないので・・・f(^ ^;)、冬のお風呂は40度くらいでいいと思います。42度になるとちょっと熱すぎで、大人にとってもよくないので、寒い場合はあがる間際の5分間だけ、湯温を42度近くまで上げてから、あがると湯冷めしないそうです。(NHKためしてがってん、より。f(^ ^)p )
後は湿疹が化膿していないか、だけが気がかりです。皮脂を温存してみて湿疹が改善しない場合は、やはり菌か何かがついて化膿している可能性が大きいので、早いうちに「基本的にステロイドを使わない医師」におかかりになってくださいね (^ ^)/


by Luxel (2009-02-16 00:24) 

とむくんママ

こんにちは。
昨日、たらお皮膚科さんの本が届きました☆早速読みました!

どの薬が子供に合うのか自分なりに試行錯誤中なのですが、肌の状態によって使い分けってやはり難しいです。気長にですよね〜。
先生のご意見を早く伺いたいですし、泥パックも気になります!!

現在、右ほほ2カ所化膿しておりジュクジュク→黄色かさぶたの繰り返しです。細菌がついてる可能性大ですよね...ここ2日ほどほガーゼでふたをしてるんですが何もせず放っておいたほうがいいのでしょうか??本でもギャオちゃんもそのような措置されてないのでダメですよね??すぐ触るし、右を下に寝るので、気になって貼ってます。

すみません。メールの件ですが、Luxelさんからは届いておりません。(私の方の自己紹介メール届いたという解釈でOKですか?)


by とむくんママ (2009-02-18 17:42) 

Luxel

>とむくんママさま、

すみません、そうです、そうです(汗)、3日程前一度送ったんですが、もう一度、yahooメールで昨夜送りましたので、どうぞご確認ください。それにしても、メールって必ず届くものじゃないんですね。知りませんでした。

そうですねー、湿疹は細菌か何かついてそうですよねー。ガーゼは外された方が良いかと思います。というのは、ガーゼを張り替えるときに、まだ水分の多い治りかけの皮膚も一緒にはがれてしまうことが多いんですよ・・・剥がす時はシャワーをかけたりして濡らして、ガーゼが無理無くぽろっと取れるまで濡らしてください。ガーゼをしなくても、ほおに当たるシーツが清潔ならいいじゃんじゃないかと思います。触ったり掻いたりするのはもう仕方ありません。先生にタール剤を処方していただけるといいのですけどね。タール剤は痒みが割ととれるらしく、あっという間に掻かなくなります。掻くのにも理由がある訳で、これはもう仕方ないですヨ。正常な反応です。大丈夫、今の月齢でしたら、どんなに掻いても跡形もなくきれいになります。(昔のお母さんはずーっとおんぶしてたから、掻くのが見えなくて、あんまり気にならなかったのかもしれませんね☆)
by Luxel (2009-02-19 07:15) 

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