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帝王切開からの脱出!(2) [妊娠・出産]

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前回から続く経過報告です。
「東京圏内だから産科医の不足に悩まされることはないだろう」と日本の「産科崩壊」を他人事のように考えていたLuxel、実はバッチリその余波を喰らうことになってしまったのでした。

どういうことかというと・・・

人様と比べて、少々血栓傾向(=血液凝固傾向)が高いらしいLuxelの今回の妊娠は「内子宮口付近の血管の発達が著しく、自然分娩時の大量出血が懸念される」という少々複雑な理由で、予定帝王切開へ、とのルートが敷かれてしまいました。

さすがに手術が本決まり、入院日も指定されてしまったLuxel、この晴天の霹靂に大慌て[がく~(落胆した顔)]
それまでは他人事のように「まぁまさか本当に帝王切開にはならないよね〜」なんてナゼか思ってしまってました。(毎度のことながら、危険がすぐそこまで迫らないと察知できない、頭が巡らない、のは性格か・・・・)
「足のうっ血が、静脈炎が、再発するかも!?[がく~(落胆した顔)]」なんて「もし本当に帝切になったら」と考えたらすぐに分かりそうなものなのに・・・もうアホか!って感じ。

「エエ〜、帝王切開って、そんなに慌ただしいの!? もっと考える余地ってないの!?」
と、セカンドオピニオンをやってる病院をさがすものの、何故か産科、特に妊娠・分娩に関してはどこもやってない。(←やっぱり他の病気に比べたら妊婦の数が多いからだろうか・・・疑問を持ち出したらキリがない、ってこと??)

セカンドオピニオンをやってないなら、直接押し掛けて診察してもらって判断、という手もあるけど、そこでまた「やっぱり帝王切開でしょう」という判断なら意味がない。
しかも件の大学病院の医師の言葉から「帝切か下から分娩か、のライン上にいるらしいLuxelの場合、帝切でない判断が出る可能性は五分・・・・35週の今、悠長に何軒もまわっている暇はない・・・とすると、「安易な帝切には反対」とのスタンスを打ち出している医師を探すしかない!と、本を書いている医師を探しました。

そしたらこの本の著者の先生しかありえませんでした。
「お産の時間です。」(新風舎)

これはたいへん良書でした。
帝王切開術の進歩のおかげで、母子の周産期死亡率が世界トップ10に入るくらいには下がってきていること、それでも死亡率「0(ゼロ)」というのは(どの国でも)ありえないこと、一方の帝王切開にもそれなりの後遺症やリスクがあること、をフェアに説明されていました。

ちなみに死亡率だけをとれば帝王切開は経膣分娩の4倍程度です。(後遺症が残る割合はさらに高い。)
もちろん、もともと経膣分娩困難な、なんらかの産科トラブルをかかえた妊婦さんが帝王切開になるのでしょうから、「手術をしたから死亡した」とは言えないでしょう。でも、赤ちゃんの死亡率も(逆子以外は)帝王切開は高いのです。

幸いビョルン君の体位は逆子だったのが、今は治ってる。
残る問題は「子宮口付近の血管の状態」。こればっかりは専門家でないと分かりません。
果たして前置血管の疑いはどれほどあるのか・・・。
もしこの本の著書の先生が診察して「帝王切開は必要」と言えば、もう誰が診察しても結論は同じでしょう。

そう覚悟して、この本の著者の行方を探したら、なんとLuxelパパの実家のあるS県の隣、G県の産院に最近ご勤務先が変わられた事がわかったのです。しかも開業1年くらいで、HPには「10ヶ月の分娩でも受け付けます」の文字が・・・(里帰り出産受け付けの最終締め切りは通常32週とか34週くらい。それも予約でいっぱいで、もっと前に締め切り、という産院は多いはず。)
「エエエ〜〜、10ヶ月でも!? き、奇跡や・・・」

どうやらI市の市民病院が産婦人科を閉鎖したため、そこの医師がまとまって病院を開業したらしく、その分院であるG県の産院にご勤務されていたのでした。いわばI市民病院の産婦人科そのもの、というマンパワー的にもレベル的にも心強い産院。

S県からG県の産院までの搬送時間は、机上で1時間半。まぁ、ギリギリか・・・東京だってちょっと渋滞の時間の引っかかったら、30分がすぐ1時間や1時間半にはなる世界。
「これはもう、行くしかない!」「神様が、いえ、このお腹の子が『行け!』と言ってるんや〜!」
よし、行くぞ!と、首都圏からG県への日帰り受診を試みたのでした。
(よゐこの妊婦さんはマネしないでくださいね〜! Luxelは体調が比較的安定していたことと、前回の妊婦検診で「子宮口の開大はまだ無い」状態だったので決行しましたけど、こんな無茶はとても他の方にはお勧めできません。)

朝、7時に首都圏を出発(もちろん座って始発に乗るためです。35週の腹で満員通勤電車に立つのは無謀ですもん。)、新幹線を乗り継いでG県へ。最寄り駅に着いても駅周辺をつくづく観察するような心の余裕は無いまま、お目あての産院へ。

そのピカピカな建物や待ち合い室の贅沢なソファを堪能する余裕もなく、予約時間枠の最後まで待たされ(そりゃそうか・・・紹介状も持たない不審な妊婦ですから。受付で「I先生の著作を読んで、ここに来ました」と告げて、ようやく納得を得る。)、ようやく診察室へ。

早速、内診台へ。まず経膣エコー。次に内診。
I先生「別に、どうということのない普通の妊娠ですよ? 胎盤の位置も低くないし・・・100人の妊婦さんがいたら数人は心配な妊婦さんっているもんだけど、こういっちゃ悪いけどあなたは僕の記憶にも残らないフツーの妊婦さんです。帝王切開でなきゃいけない理由は、一つもない。」

・・・あっけにとられるLuxel。

もちろん、その後、あわてて血液検査の結果や足のトラブルについて、「何故、帝王切開がいやでここに来たか」もお話しましたが、I先生のご意見は変わらず。
血液検査結果についても「プロテインS? なんだそりゃ。初めて聞きましたよ。僕はこれまでその成分が問題になったのを聞いたことがない。」

「次週来れますか? そんとき院長もいるから、一緒に診察してどうするか決めますけど、ほとんど通常分娩で問題ないと思いますよ。」

・・・思いっきり脱力してしまったLuxelでした。
10時ごろ自宅に帰り着きましたが、駅まで迎えにきてくれたluxelパパに、拍子抜けのような診断結果を伝え、パパの実家にご厄介になりたい旨を告げました。(パパは既に実家に連絡してくれていたのですが、その言い方がとんでもなく「なんか、そっちで産む事にしたらしいよ〜」って電話で言ったらしい。チョット[ちっ(怒った顔)][exclamation×2] そんな言い方したら、わたしがスッゴイ、エラそうじゃないの〜[どんっ(衝撃)] こっちが頭下げてお願いしなきゃなんないのよ!! でもパパのご両親は数時間のショックの後、快く受け入れてくださいました。さすが、筋金入りの規格外夫婦(←いい意味で、です。)、並の柔軟性ではありません。)

というわけで、Luxelの「逆」里帰り出産は決まったのでした。


(追記)
東京の病院では、しつこく受けたカラードップラーによる血管位置の探索が、I先生は全くせず、「意味がないから」とおっしゃる。次の週の、I先生よりかなり若い院長先生も、ちらっと参考程度に見た程度で「別に、変な所見はないですよ。これくらい普通です。」
 要は、大学の流儀、先生毎の流儀や重み付けの違い、といったもので、経験や出身大学の教えによっても差がある微妙な部分なのかもしれません。ちなみに名古屋大学の産科の流儀は周産期医療技術については、安易な帝王切開を戒め、分娩技術を磨くことを昔から推奨していた、とI先生は著作の中で述べています。
 でも、Luxelが帝王切開を予定されていた東京の某大学が安易に帝王切開をしている、という訳ではないと思います。大学病院の手術室は産婦人科以外の他科の手術予定もビッシリで、救急搬送もいつ来るか分からず、緊急帝王切開を入れられるとは限らないのです。勢い、予定帝王切開、という安全策を取ることになります。妊婦の我がままを聞き入れて「自然分娩にトライ、何か起こったら緊急帝切に切り替え」という戦略は非常にとりにくいのだと思います。ついでに大学はどこも産科のマンパワー不足に悩まされています。予定帝切は2人の執刀医、1人の麻酔科医、2人の看護婦で、30〜40分で行える手術なので、マンパワー不足なこの時代に好まれるのは致しかたないかもしれません。
 ましてや、福島の産科医逮捕事件や墨東病院の搬送たらい回し事件の直後で、「万が一が起こってはいけない」という気運が高まっている時期です。今、落ち着いて考えると、大学病院の医師の置かれた立場や判断の根拠はよく分かる気がします。大学のS先生、S院長、我がまま言って、逃げ出してしまってゴメンナサイm(_ _)m

でも、自分としては納得の行く選択ができたと思います。このまま、万が一のことがあっても悔いは残りません。「産む」と決めたその時から、命の危険があることは(低い危険性ですけど)覚悟の上なのです。「妊娠して産む」ことは幸せを掴むための「賭け」のようなものです。ただし、医療のお陰で、昔(50年前は妊婦600人に一人が死亡していた。)に比べたら遥かに分の良い賭けにはなりました(今は1万5000人に一人死亡)が、それでも「賭け」には違いありません。その事を知らない妊婦は(少なくとも経産婦は)いないのではないでしょうか。

(P.S.)産科医療保障制度がやっと発足したお陰で、出生時に判明した脳性マヒの子の経済的保証がえられるようになりましたが、これまでは何の罪もなかった産科医が裁判に負けて、その賠償金が脳性麻痺の子の生活保障金として支払われてきた、という(またしても)「制度の穴」があった訳です。「今では出生時脳性マヒは産科技術の未熟によるものは全体の1割程度で、残りは先天的、つまり胎児の頃から問題があった子であることが科学的に分かってきています。人間は生物であり、生物はすべからく、必然的に遺伝子にエラーを含んでいる存在です。
 「人間は生物である」その認識が、この社会に欠けているように思えてなりません。そして、その認識を最も体で感じることができるのは出産を体験する私たち母親であり、私たちがもっとそのことを社会制度に反映させていく努力をしなくてはいけないように思います。産科崩壊についても、私たち妊婦や母親がもっと「こうしたら良い」という声を発するべきだ、という気がします。


【11月1日 AFP】帝王切開による分娩は通常の分娩に比べ、妊婦が死亡したり健康障害を起こすリスクは2倍以上になるが、逆子の場合、赤ちゃんが助かる確率ははるかに高いという研究結果が31日、英医学誌「British Medical Journal」のインターネット版に発表された。  オックスフォード大学(Oxford University)で産婦人科学を研究するJose Villar氏のチームは、2005年の世界保健機関(World Health Organisation、WHO)の統計で、アルゼンチン、ブラジル、キューバ、エクアドル、メキシコ、ニカラグア、パラグアイ、ペルーの各国で行われた帝王切開3万1821件と通常分娩6万2486件について調べた。  その結果、母親が出産で死亡する確率は、通常分娩で1.8%、予定された帝王切開で5.5%、緊急の帝王切開では4.0%となり、帝王切開で妊婦が死亡する確率は、通常分娩に比べて3-5倍に上った。健康障害を起こす確率はさらに高く、子宮摘出のリスクは4倍、集中治療室に入る確率は2倍だった。  しかし、帝王切開で赤ちゃんの命が助かることもある。胎児が逆子だった場合、通常分娩だと9.69%が死亡したが、予定された帝王切開では0.96%、緊急の帝王切開では0.69%の死亡率にとどまった。  一方、頭が先に出てくる正常な向きの胎児の場合、死亡する確率は通常分娩で0.38%だったのに対し、予定された帝王切開では0.77%、緊急の帝王切開では0.65%となり、帝王切開の方が通常分娩に比べて死亡する確率が高かった。  研究チームは報告の中で、世界各地で帝王切開が激増しているため、この手術の必要性や効果について調べることが急務になっていると解説。逆子の場合は帝王切開手術を勧めてもいいが、頭を下にした正常の向きの胎児では死亡や健康障害につながることもあると警鐘を鳴らしている。  途上国で帝王切開が行われる割合は、1970年代は約5%だったが、現在は国によっては50%を超す。これは通常分娩で問題が起きた場合の訴訟不安も一因となっている。(c)AFP



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