SSブログ

我が家の経口免疫療法(準備編1) [食物アレルギー対策]

スポンサード リンク




すみません、下書き段階で、まちがって「公開」にしてしまったので、再度書き直しての公開です。公開直後に読まれた方はどうぞお読み直しください。

-======================================
たいへんお待たせしておりますっ! m(_ _;)m[あせあせ(飛び散る汗)]

最初にLuxel家の現食物アレルギー治療の指針を書いておきます。
これが現時点でのLuxelのベストな結論です。
医師の考えるベストではないと思います。(いちおう)生物系の研究者であるLuxelが、母親として考えた場合のベストです。

[1]離乳時期:普通(4ー6ヶ月頃)で良い。←以前記事に書いた見解と異なります。ありからず。m(_ _)m 根拠は後日、詳述します。

[2]乳児に慢性湿疹やアトピー性皮膚炎が出ているなら、離乳食の開始前に血液検査をする。(←RAST値、総IgE濃度、好酸球(%))
  ●検査で陽性が出ている食材も、離乳食としてごく微量から試して良い。
  ●ただし、アナフィラキシーショックのリスクがあるので、万全の体制をとった上
   で導入する。(=かかりつけ病院を決めておき、開院時間と通院時間・通院経路をあらかじめ
   決めておく)。
  ●もしアナフィラキシーが起きたら、そのアレルゲン食品に関してはしばらく除去。
   エピペンが処方された後に経口免疫療法に取り組む。
   (処方は体重15kg以上で可能=2、3才頃)

[3]ステロイドによる湿疹治療は(極力)行わない。←ここがアレルギー学会の方針とは大きく違います。

現時点で、私が経験と頭を総動員してまとめるとこうなります。
Luxel家に3番目が生まれてアトピーだったらこうする、という対処の内容として書いています。つまりは「Luxel家の覚書」です。(いやもう、3番目はありえない年齢になってしまいましたが。。。)
読んだみなさんがどうなさるかは、これをご参考にした上で、どうぞご自身の頭で考え、取り入れるかどうかをご判断ください。
というのは、Luxel自身は結果について何ら責任を持てないからです(→※)。「このLuxelっていう人はどういう人?」「信じていいの?知識は確かそう?」という視点で検討も行った上で、どうぞご判断ください。

なお、離乳時期については、以前に記事を書いた時点からたくさんの論文が出ており、ほぼ結論がでたので、私も見解が変わりました。(このブログは私的ブログなので、こういう可能性があることを踏まえつつお読みください。)

----------------------------------------------------------
さて、本論。

Qくんに施した経口免疫療法の説明をする前に
まずQくんのデータを。
(クリックすると別窓で開きます。)

綸のIgEデータ.jpg


調べたアレルゲンが多くて、見にくいと思いますが、どうぞご勘弁を。。。

このデータを見れば一目瞭然ですが、

非常〜に多くのアレルゲンに感作しています。

※感作=免疫系が抗原を認識して排除に働く、つまりこの場合は、抗原特異的なIgEが作られていることを指す。

こんな感じで、できるだけ多くのアレルゲンについて検査してきました。
毎回同じアレルゲンを検査している訳ではありません。

というのは、検査にひっかかってこないアレルゲンに感作している場合には、「誤食死」の危険があるからです。
でも、1度調べてそのアレルゲン食品に特異的なIgEがでていないことが確認できれば、もう2度と調べることはしません。
「あーよかった!これで安心して食べさせられる。次回の検査では[新月]?[新月]?(=別の食品)を検査しよう!」となります。

しかしアナフィラキシーショックを起こした食品については、残念ながら、当分除去します。(=体重15kgを超えてエピペンが処方されるまで。)
保育園で原因が不明なアナフィラキシーを起こしたことがあったのですが(←血圧性ショックまで起こしててヤバかった!エピペンをうつべき症状でしたが、保育園の先生たちにはその見分けがつかなかったのです。爪が白くなったら血流が落ちて血圧が下がった証拠です。エピペンを即座に打ってください!)
このときは、保育園で当日に出された食事(除去食)の食材について、しらみつぶしに検査しました。

セルの背景が赤くなっているのは、アナフィラキシーを起こした時点から直近の検査値です。
数値が低めでもアナフィラキシーを起こしていることがわかると思います。
Qくんは小麦と牛乳と卵とカシューナッツにアナフィラキシーを起こしたことがあります。
(幸いどれも呼吸困難になることはなく、主症状は腹痛(←かなり激しい。悶絶、という感じ。)でした。)

裏をかえせば、たくさんの種類のIgE抗体(抗原特異的IgE抗体)が検出されても、その多くはアナフィラキシーを起こすわけではない、と言えます。
近年、血中に特異的IgEが出ていても「即・除去を指示」とはならないのは、こういうケースがたくさんあるからです。

「じゃぁ、検査しても無駄なの?」「検査せずに食べさせても、結果的には同じじゃないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
血液検査をすれば、「アナフィラキシーを起こすかもしれないアレルゲン食品の候補」を見つけることができます。
血中に、どの食品にくっつくIgEが血中にあるかがわかるので、その食品をはじめて食べさせる時には万全の準備をしておくことが可能となります。
「もしも、の場合の準備」をしておき、しばらく赤ちゃんの様子を注意深く見守っておくのです。
このような準備とか心構えができる、というのは結構重要なメリットだと思います。

というのは、アナフィラキシーは重篤であればあるほど経過も早く、心停止に至るようなケースでは数分からわずか30分以内に心停止します。(もっと軽くてすむケースのほうが圧倒的に多いわけですが。。。。)
なので、「何かあったときに、ダッシュで対応できる!」ようにしておく心の準備は意外に大事だと思います。本当に急激なアナフィラキシーが起きた場合には気が動転してしまいますが、迷う時間的余裕は、「無い」ですから。

ちなみに、
日本では毎年50ー70人ほどがアナフィラキシーショックにより亡くなっています。
http://allergy72.jp/anaphylaxis/what.html
最も多い原因は蜂毒と薬物。食物アレルギーによる死亡は5人程度と少なくはありますが、食物でも死亡することがない訳ではない。食物アレルギーを舐めてはいけません。
最悪の結果である死亡例が5人、ということは死に至らなかったアナフィラキシー自体はもっとたくさん起こっているわけです。(残念ながら、このようなニアミスというか、ニアデス事例の統計は存在しません。)

アナフィラキシーショックによる直接の原因は、
①気道が腫れて閉塞することによる窒息死

②過度の血管拡張による血圧の低下→意識喪失&心停止(=ショック症状)
です。
2年ほど前に東京の多摩市で給食による小学生の死亡事故がありました。あれは誤食によるアナフィラキシーショックが原因です。アナフィラキシーショックは食物アレルギー反応の中でも最も恐るべき症状です。

ちなみに経口免疫療法(OIT)においても、アナフィラキシーショックは当然、ある確率で起こることが想定されます。特に数週間のうちに摂取量をMaxまであげる「急速法」の場合、アナフィラキシーは必発である、とさえいえます。だから「急速法」は必ず入院して実施します。

「急速法」に比べてゆっくりと摂取量を増量する「緩徐法」はアナフィラキシーを起こす確率は低いですが、ゼロではありません。
OITでは食べるアレルゲンの量が徐々に増えていきますから、どこかでアナフィラキシーが起こる量に達することは想定内なのです。(←必ず起こる、という意味ではありませんが、起きるのは全然不思議じゃ無いです。)
(追記)現に、Q君もエピペンのお世話になるか?迷うくらいの腹痛は2、3度起こしています。もちろん「緩徐法」に分類されるプロトコールに沿っていますが、それでも、です。

実際のところ、自宅で実施が可能のは「緩徐法」です。
「緩徐法の方が安全なので、低年齢から実施が可能です」と医師からも言われます。「急速法」は「緩徐法」ではどうしても治癒しなかった難しい子が対象になるそうで、実施可能な施設も限られます。
(関東だと「神奈川県立子ども病院」の栗原先生が「急速法」の先駆的な取り組みをなさっています。)

なので、私はQくんの体重が15kgを超えて(=3歳間近)エピペンが処方されるのを待ってから、経口免疫療法「緩徐法」を自宅で開始しました。
※エピペン注射はアナフィラキシーショックが起きた時にはほぼ唯一かつ最強の治療薬です。ステロイドの投与は効果が現れるのが遅く、全然間に合いません。それに、気道閉塞には効かないし。

ただし、「緩徐法」と一口に言っても、現在のところ「統一プロトコール」はありません。今、各施設でそれぞれ別個に「最適なプロトコール」を求めて、治験が行なわれている最中です。ですから、そういった治験(臨床試験)に入れてもらって、治療を実施するのも一つの手です。(ただし、治験に入れてもらうにも、近くに治験を実施している病院がないとできません。また、治験の対象となっているアレルゲン食品のアレルギーでないと、治験に参加できません。運良く治験を行っている病院が近くにあるようなら、是非、直接かお電話で参加可能か問い合わせてみてください。

治験に参加することのメリットは、医師に安全を担保してもらいつつ、経口免疫療法が実施できることです。一方、デメリットは、治験がランダムトライアル(RCT)の場合、非治療群(OITの場合は、除去継続群)に割り振られてしまう可能性がある、ということです。治験の場合、詳しい説明がなされますが、その時に遠慮せずに質問し、「やっぱり参加したくない」と思えば、きっぱり断っても全然構いません。患者の同意なしに治験を実施することは御法度なのです。説明不足でも医師は罰せられることがあります。

ただし、医師の指導のもと、経口免疫療法を行うには「入院しての負荷試験」が必要となります。これは、自宅でいきなり食べさせて、アナフィラキシーなどの不測の事態を防ぐためです。
ところが、「負荷試験」で食べさせる最低量をクリアできない(=アレルギーやアナフィラキシーを起こしてしまう)と、経口免疫療法やその治験に参加すらさせてもらえないのです。つまり「門前払い」されてしまうのです。
そしてのこの「最低量」は、施設ごとに異なります。

この最低量は「施設側で調節可能な量のなかの最低量」であることが多く、負荷試験の最初のハードルとなります。これがQ君にとっては超絶、高いハードルでした。Qくんのかかっている病院では卵の最低量は0.5g(←スクランブルエッグで)。

実はLuxelは負荷試験前に、自宅でこっそりQ君の限界量を計っていました。
結果、なんと、約3mg!!(←単位に注意。ミリグラムです。グラムではありません。)
こんな極極微量に反応してしまうなんて、重症もいいところです。
ほんのわずかの誤食でも死んでしまうやないけ!![むかっ(怒り)](←もちろん、このトライはエピペン片手に、ドキドキしながら実施しました。結果、かゆみと腹痛が。。。orz)

このままでは絶対に負荷試験のハードルをクリアできない。。。経口免疫療法をやれない。。。
経口免疫療法をやらなければ、Q君は一生、卵を除去する生活 & 誤食による命の危険にさらされる生活が続くかもしれない。
Luxelは、それは嫌でした。せっかく途中まで育てても、給食で死亡、、、とかいう悲しい結末には耐えられない。そこで「賭け」に出ることにしたのです。

これは、医師ではないけど、研究者としての「勘」による決断でした。(けっして褒められることではありませんが、一般に提供される医学の限界を超えていた場合、決断できるのは親だけだと思います。)

「我が子の成長に、医学の進歩が間に合わない」
そういうことはよくあります。
(ガンの患者さんでも似たようなことが起こっています。「海外では使用できる抗がん剤が、日本ではまだ認可されない」「証拠の乏しい新しい治療法を試したいが、主治医が標準治療以外はYESと言わない」などです。)

私はたまたま専門が「免疫学」でした(人間で実験したことはもちろんありませんが)し、動物でアナフィラキシーを起こす実験は常日頃からやっています。
だから、Q君がアナフィラキシーを起こしたとき、「見逃さない」という自信はありました。
エピペンも揃っています。

実際に、「生活の途上でたまたま「誤食」してしまった。でも、大丈夫だった。誤植した量は○○gくらい」と親が医師に伝えると、「では、○○gよりちょっと少ない量から経口負荷をしてみましょうか。」と勧められることがあります。
医師も、自分から「食べさせて、トライしてみましょう」というのはなかなか言いにくいのですが、誤食により「許容できる量」が分かれば、これを指標に、経口免疫療法を導入してみるのは妥当、という考え方があるようです。

でも「誤食」と「テスト」、どっちが安全か、といえば、同じ量を食べるのならば、用意周到に行う「テスト」の方が安全ではないでしょうか。
そう考えて、Luxelは「テスト」に踏み切りました。

詳細は次章に続きます。

(追記2)
Luxelパパより指摘。この記事だけ読むと「卵からトライしたみたいに見える」そうで。
実際には、
生活史上、アナフィラキシーを起こしたことのなかった牛乳からはじめ、
牛乳→小麦→卵、の順で解除していきました。


nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 3

ママ

記事のアップ、待ちに待ってました!
去年アップされた記事を読んで決心がつき、
我が家も1年前から小麦の摂取を開始しました。
(去年、ちがうHNでコメントしたかと思います)

1ミリからゆっくりはじめた揖保の糸、今では52本食べています。
赤ちゃんのころ、これぐらいの量で全身蕁麻疹出てました。
卵黄は、病院での負荷試験で解除。
来週、加熱牛乳の負荷試験予定です。

プロバイオテクスの乳酸菌、
どんなものを使われていたか教えていただけませんでしょうか?
ミヤリサンではだめでしょうか?
by ママ (2016-05-26 06:51) 

Luxel

>ママさま

お待たせして恐縮です!
本当に、遅くなってしまい、すみません!
今、体調は良いのですが、
ややこしい記事になると1ヶ月くらい書くのにかかってしまいます。
(調べるのにも時間がかかってしまい。。。)

我が家の「菌活」は
・LGG(米国発送の通販 iHerbで購入。カプセル入り。)
・BB536(森永のビフィズスヨーグルト、or カプセル入り)
です。

簡単にお伝えすると、
・軟便や下痢気味の体調ならば、LGGを使うと便は硬くなります。(普通の体調で使うと便秘になりますので、あくまで軟便&下痢の場合)
・上記以外、つまり、普通の便通 or 便秘気味ならば森永BB536を使います。牛乳アレルギーがある子の場合は、同じBB536商品でも、サプリで売ってるカプセル入りを(カプセルをはずして)飲ませます。

これが「アトピーアレルギー軽減法(負荷試験前まで)」の骨子です。


by Luxel (2016-07-04 12:22) 

ママ

菌の種類を教えてくださって、本当にありがとうございます!!

LGGは、Luxelさんが軽減法の記事で紹介された論文で探し当てて、同じ通販サイトで購入して一時使っていたことがあります!!
オリゴ糖を混ぜてミルクに入れて飲ませていました。
やや高価で途中でやめてしまってましたが(汗)。

BB536は初めて知りました。
森永ということで、購入しやすそうですね。
家族みんなで取り入れてみようかな。

準備変2の記事も、本当に勉強になります。ありがとうございます。
うちも、開始時期や進め方が暗中模索でしたが、3歳半からやっぱり決心して進めてみて良かったと思っています。
6歳までに、ある程度進めていくことが目標です。
今のところ、重篤な反応なく進められています。

いつもいつも、更新された記事を読むたびに頭が下がる思いです。
どうかお体お大事に、子育てとお仕事がんばってください。

by ママ (2016-07-05 00:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。