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我が家の経口免疫療法(実践編 その2)〜 卵 編 〜 [アトピー・アレルギー軽減法]

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「わが家の経口免疫療法」(準備編1)(準備編2)(準備編3)ときて
いよいよ卵編です。
「食物アレルギーの免疫療法」シリーズの中核となる記事です。
「アナフィラキシーをすでに起こした子の治療は、絶望的なのか?」が焦点です。

[↑]あくまで「わが家の」やり方です。標準治療とかとはかけ離れていますので、そのつもりでお読みください。現代の医療からすると「フライング」に等しいことを、うちはやってしまいました。危険も承知で。「医学の進歩」を待っていられなかったのです。(「医学の遅れ」で命を落とした子がこれまで何人もいた訳ですから。)

 私の個人的な推測ですが「幼い頃から除去一辺倒」の予防法はやめた方が良いだろうと考えています。←証明されるのは、きっとずっと先の未来でしょうが。でも、同じように感じている臨床医はいます。この、「なんとなく、、、〜じゃないか?」から研究は始まるのです。それに、"memory B cellの寿命"についての基礎研究からも、上記の推測を示唆する研究結果が上がってきますので、私が上記の仮説を支持する根拠はあるにはあるのです。それゆえ私は自分の子に経口免疫療法を採用しました。もちろん、アナフィラキシーショックを起こす危険は承知の上で。他人がわが家のやり方を真似する場合は各家庭責任となりますので、よくよく考えてください。
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Qくんの卵アレルギーに対する経口免疫療法は2年以上前に取り組み始めて、一昨年4月にようやく結論がでました。
この「卵のトライアル」の結論が出ないことには、このブログ記事にはできない、と考えていました。

先に書いておきますと、
我が家の卵(加熱卵)の経口免疫療法(緩徐法)は現在のところ成功した、と思っています。というのは、最初の反応量(アナフィラキシーを起こす量)わずか 3 mg(ミリグラム。←グラムじゃないことに注目!)だったのが、現在、加熱卵であれば何個でも(といっても全卵2個までしか試したことはないですが。)食べられるようになったからです。

以下、具体的に。
アナフィラキシーを起こした量:約 3 mg(森永ムーンライト約30mg相当)←mg = ミリグラム。1グラムの千分の1。

スタート量:卵換算で約1 mg(ムーンライト約10mg)

終了時:約40 g(全卵1個を目玉焼きにした量)

かかった期間:2年4ヶ月弱(119週)

これほど微量から始めた経口免疫療法の報告(論文)は世界的に見ても例がない、つまり
臨床試験報告はもちろんのこと、ケースリポート(症例報告)としてもまだないと思います。
(と、私がお話しした某国立大学の小児科の教授はおっしゃってました。)

Luxelは医師ではないので、ケースリポートは書けないのですが、医師だったら書いてますね。間違いなく。
ええ。医師でなくて残念です。まったく[ダッシュ(走り出すさま)]
誰か医師の方がこのブログをヒントに、ご自身で臨床研究を実施して、論文にしてくれたらいいな、と思います。(この教授が正式に臨床試験としてやってくれないかなー、と期待してお話ししたわけですが。。。。)

一昨年の4月初めにゴールの量(40g=全卵1個)に達した後は、「慣らし期間」というような意味で、
2日に一度は加熱全卵(オムレツとか目玉焼き、卵焼き。よく火を通すのがミソ)を食べさせています。
生卵には反応して、かゆくなったりお腹が痛くなったりするので、原則して除去ですが。生卵が入っているマヨネーズなどを試して(慣らして)いる最中です。(←初めはちょこっとから。今、ポテトサラダ1人前くらいは大丈夫なことを確認しています。)

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私は次のような仮設
超微量からの経口免疫療法は、かなり重症の食物アレルギーでも治癒しうる
をたて、自分の子でトライ(というか、実験です。苦笑)したわけで、この実験は n=1(nは試験数。Qくんのこと)です。でも、誰かがやってみて、結果を書くことには意味がある、と思っています。
臨床研究は、どんな研究も最初の観察、つまり「n=1」の結果に医師が「おやっ?」と思うことから始まるもので、この我が家の結果も、医師の目に止まることを期待して書いています。

 逆に言うと、一般の方に「真似しろ」と言っているわけではないことをわかっていただきたいです。
何度でも書きますが、リスクのあることだし、私に責任はとれません。ただ、現代医学が追いついていないせいで、みすみす治せる機会を逃してしまうのが私には耐えられませんでした。だから自分の子でトライしたのです。自分の子だからできる実験です。

さて、その経口免疫療法の医療における位置付けと現状について。

<おさらい>アレルギー学会は、「経口免疫療法はまだ研究途中の治療法」として位置付けています。経口免疫療法には、2ー4週間入院して実施する「急速法」と、在宅で医師の指導のもとに実施する「緩徐法」があり、現在、臨床試験が進行中です。しかし残念ながら、「急速法」については去年11月に退院後3ヶ月目に牛乳を摂取して(おそらくアナフィラキシーショックを起こして)心配停止になり、低酸素脳症に陥った結果、脳に障害が残ってしまった事例がありました。(元記事:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017111502000125.html)、そのため現在、「急速法」の臨床試験の新規受け入れは中止されています。


わが家が「緩徐法(超緩徐法と言うべき)」の方を採用した理由は、「急速に導入した免疫寛容は短期間でとけるのではないか?維持が難しいのではないか?」という疑いを以前から持っていたためです。(わが家の「卵の経口投与」の開始は4年ほど前です。)研究の面では、基礎研究(=動物実験の系)において「免疫寛容の維持期間」についての論文が、1960年ー1980年代に散髪的に出ていたと記憶しています。多くはありません。)ちなみにヒトの経口免疫療法の作用機序(仕組み)については、ほとんど不明です。

なぜ、私がそんな「論文も出ていない、超微量からの経口免疫療法」を実施したのか? 
まずは、Q君の卵アレルギーの経緯をご説明します。

Q君の卵アレルギーがかなり酷い(=微量で反応してしまう)ということは、
偶然にも牛乳を解禁して1年ほどたった4才3ヶ月のとき(9月頃)、ある市販品のチーズを食べさせたときにわかりました。
まさかの誤食!! (> <)
チーズで卵にあたるとは!!

こちらの商品
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2012/detail/20120822_01.html
(現在は既に販売終了)

同じメーカーの同じブランド品で、超有名キャラクターのついた商品には入っていない卵白が、
この商品には入っていたのです。
たぶん、つなぎ成分として卵白が使われていたのでしょう。

「同じブランド品だから~」と、成分表をよく見ないで買って与えたLuxelがもちろん悪いのですが、
(当時の)主治医のS先生によれば、同じ製品であたってしまった(アナフィラキシーショックを起こした)子がすでにいたそうで、
「これ、要注意の製品なんですよ」とのことでした。
(この製品が早々に販売終了になったは、同様のクレームがあったのかもしれません。)

とにかくこのチーズボールを1個食べて猛烈な腹痛を催したQ君、「当分の間、卵は除去」ということになりました。
それから3ヶ月くらい経った頃、小麦が解禁になった4歳半の冬、とうとう卵にトライする日が来ました。

S先生は「卵は微量でも反応してしまうくらい酷いようですから、経口免疫療法が可能かどうかをみるために入院負荷試験をする必要があります。でも、この病院ではできないので、負荷試験ができる病院を紹介します」と、少し遠方の大きな病院を紹介してくれました。

ところが、その病院にお電話で確認すると、「卵の経口負荷試験の最低量は0.5グラムです。これを食べれないと経口免疫療法に入ることができません。」とのこと。

卵0.5グラム(=500 ミリグラム)なんて
超・大・量
やないけ!!

と愕然としたLuxel。
たった1個(数グラム)のチーズボールのつなぎに使われてる(たぶん微量の)卵白に反応してしまうQ君には
絶対にクリアできないよ、こんな量。。。。
そしてたぶん、Qくんの卵アレルギーは、「年齢が上がれば0.5gを食べれるようになる」というようなレベルではない。。。。

うーーーーーん。。。。

と悩んで、とりあえず、
まずは実際の反応量をきちんと割り出すことにしました。
(病院ではできなくても、家ではできるので。笑)
医師ではないので、完璧なリスク管理、とはいきませんが、
最悪、重度のアナフィラキシーショックが起きても、エピペンがあるのでなんとかなる!と
腹を決めました。(注射なら動物にしなれてるし。)

ちなみにアレルゲン食品(森永ムーンライトの粉)を計量した電子秤はこういうの。Amazonで購入。
同じ品は今はないので、後継機と思われるこちらをご紹介。

https://www.amazon.co.jp/Simerst-%E6%90%BA%E5%B8%AF%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97-%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB-0-01g-500g%E7%B2%BE%E5%AF%86-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E5%8F%96%E6%89%B1%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8%E4%BB%98%E3%81%8D/dp/B0734THR14/ref=sr_1_2_sspa?ie=UTF8&qid=1516666369&sr=8-2-spons&keywords=%E9%9B%BB%E5%AD%90+%E3%81%AF%E3%81%8B%E3%82%8A&psc=1

精度確認については1円玉を4、5枚測ってみましょう。1円玉=ほぼ1gです。
(機械によっては「0.7g」とか、大きくはずれた値が出る場合があります。運悪く調整不良品にあたった、ということだと思いますので、買ったところに送り返します。重さの表記がいろいろ選べますが、もちろん「g」を選択します。

食べさせる材料は
森永製菓から出ている「ムーンライト」ビスケット。
HPの記載から卵の含有量は11%であることがわかっています。(ただし、卵白と卵黄の比率は不明。)
ちなみにこのビスケット、卵アレルギーっ子の親にとっては有名な存在のようです。
(除去しなくてはならない対象であり、負荷摂取に使える商品でもあり。)

このビスケットをジップロックの袋に入れて、麺棒で粉々に。
エピペンと抗ヒスタミン剤(アレロック)、水の入ったコップをすぐに手の届くところに用意し、
まずは、マイクロスパーテル(小型薬さじ。耳かき大)1杯分(測ると10mg相当=卵として1.1mg!)を
何気なく食べさせてみる。(ビクビクもの)で、1日目終了。何事もおこらず。

翌日、2杯分。無事終了。

翌々日、3杯分。ーーーーーーでました、アナフィラキシー! 

食べて数分後に「喉がかゆい〜」と言い始め、抗ヒスタミン剤(アレロック)を服用させるも、10分後くらいにお腹痛い〜と始まり、
じっとしていられないくらい痛い、でもウンチはでない、という状態。
エピペンを打つかどうか迷いましたが(今の基準だったら打たねばなりませんが)、エピペン片手に待っていると、20分くらいでなんとか治まったのでホッ。

しかし。

判明した最小反応量は
卵に換算して(約)3mg !!
(超・ 重症やんけ。。。冷汗)

どうすべぇ。。。

正直、悩みました。
「こんな微量にも反応するなんて、、、負荷試験(=500mg摂取)どころか経口免疫療法も無理なのでは?」
「毎日の経口摂取に持ち込めるのか?」
と迷いましたが、それだと一生、卵は食べられない公算が「大」。。。
さいわい、電子秤で測れない量ではなかったので心を鬼して「LET'S TRY!」

とりあえずミクロスパーテル1杯(約10mg)に戻して1週間この量を維持することができたら先に進もうと決めました。
(さすがに)鎮静期間1週間を置いて、再度挑戦。
マイクロスパーテル1杯分を与え、
摂取直後すぐに牛乳100mLくらいを飲ませます。(←おまじない、じゃなくて、"bystander suppression"を期待してのことです。)
いやードキドキしましたが、
幸い、痒さは出ませんでした。

なので、粉状のムーンライト、マイクロスパーテル1杯分(約10mg)を1週間、毎日与えました。
結果、何も起きませんでした。

ほっと胸を撫で下ろし、
次の週はミクロスパーテル2杯(約20mg)
これも無事、クリア。

いよいよ3週目。
ミクロスパーテル3杯(アナフィラキシーを起こした量です)。
毎日、あげる度にドキドキです。

ついに1週間、何事もなくクリアできた!!

もしかしたらダメかも、と思っていたので、何事も起こらず、嬉しかったです。
その前の2週間、微量から慣らすうちに、「慣れ」が生じたのでしょうか。(機序はわからないのですが)
牛乳と一緒に摂取したのがよかったのかわかりませんが、
かつての反応量をクリア。

以後、7日ごとに4杯分、5杯分、、、と増やしていき、10杯分=100mgに達するまで3ヶ月弱はかかりました。
100mg(=0.1g)に達したところで普通の小さじを電子秤に置いて測るようにし、
110mg、120mg、130mg、、、、
と、200mg(=0.2g)までは10mgずつの増加率で毎週増やしていき、
200mgの次は220mg、240mg、260mg、280mg、300mg、
330mg、360mg、390mg、420mg、
460mg、500mg

500mgを超えたら

550mg、600mg、、
と、およそ1割増で増やしていく計画でしたが、
実際にはこの通りにはいきかず、1、2度、前の量にもどしたり、増量幅を狭くしたり、でした。
(痒みの出現したら、量は臨機黄変に。)
それで10mg→1000mg=1gに到達するまで約1年かかりました。


さて、入院しての負荷試験ですが、
ちょうどQくんが5才のとき(経口摂取を始めて6ヶ月目)のときに実施しました。
この時、Qくんのムーンライトの摂取量は300mg程度(=卵換算で33mg)。
当然、クリアできるはずもなく、
病院でだされた最低量の炒り卵0.5gであえなく撃沈。
摂取の数分後に口の痒みを訴え、30分後くらいに腹痛が始まり、のたうちまわり、、、
ドクターを呼んだら、ボスミン注射(エピペンと同じ薬剤アドレナリン。病院専用)になりました。
いやー、アドレナリンの効きの早いこと早いこと!
うって数十秒後にはケロリ。
(注射するまでは嫌がって大騒動で、看護師さんに取り押さえられて注射[わーい(嬉しい顔)]

結局「来年の負荷試験を待ちましょう」となりましたが、
1年待ったからと言って、0.5gが食べてれるようになる、と考える根拠は何もありません。
なので、引き続き医師には内緒でコッソリ経口摂取を進めていき、
タイミングを見計らって(負荷の3ヶ月後くらいに)、ドクターに「誤食」をきっかけに少し食べさせてみた、と申告しました。(←嘘です。本当は計画的誤食=意図的な経口摂取です。爆)

まぁ、医師としてはアナフィラキシー反応の既往のあるアレルゲンを「少し食べさせてみましょう」と言う訳にはいかないんですよね。。。(←大人の事情、というか、医師の立場として)
実際、誤食を機に医師が経口免疫療法を提案する、ということはよくあるのです。

私が紹介先の新しい主治医のM先生に申告したのは摂取量が1gに近づいていた頃でした。(ちょうど誤食しそうな量、という意味でもいいタイミングでした。)
というのも、Qくんの経口摂取は口腔内や咽頭の痒みとの戦いでして、痒みがでることはけっこうあったのです。
(腹痛は出ませんでした。)なので、以前、牛乳や小麦の経口摂取のときや、誤食時のために処方してあった抗ヒスタミン剤を痒みが出るたびに使って、とうとう使い切ってしまい、あらためて処方していただく必要があったのです。そういう理由で、卵の経口摂取はどうしてもドクターの公認の下にやっていく必要があったのです。

で、「実は床に落ちてた炒り卵1欠片を誤食しまして、、、」と言ったらそうしたら、「では、誤食量より少ないところから経口摂取を試してみましょう。」となり、まもなく0.5gの負荷試験も受けました。(もちろんクリア!)
以後はドクターの監督の下に経口摂取が行えるようになり、
新しい主治医のM先生のガイドの下で卵を計画的に増量しながら摂取継続することができ、安心でした。

ただし、「医師の指導のもとならアナフィラキシーが起こらない、という訳ではありません。
M先生の増量幅の指示は最初、「毎週2割ずつ増やしていく」だったのです。
でも、Qくんには、2割増というペースは無理でした。量を増やすたびに痒みが出てしまうのです。
なのでそのことをM先生に話すと、あっさり「では1割増でいきましょう」となりました。
(このあたりの増量幅は、個人の症状にあわせて柔軟に変えてよさそうでした。)

1.0g、1.1g、1.2g、1.3g、、、2.0g、
と1割に満たない増加率で増やしていきました。
2g以上になる頃になると、増量幅を同じ1割ずつ、とする訳にもいかなくなりました。
増量幅1割でも、結構な頻度で、口腔/喉の痒みが出てしまうのです。
なので、増量幅を削って、例えば「2.0g→.2g」とするところを「2.0g→2.1g→2.2g」というように
小刻みに増やしていきました。(量を変えたら1週間その量で維持。)

(M先生には事後報告でしたが、「いいよいいよ、無理は禁物だ。しんどい思いを何度もさせて、本人が『卵(クッキー)食べるの嫌っ!』ってなっちゃうと元も子もないからね」と言って、量の変更には鷹揚に対処してくれました。)

ちなみに、口腔内や咽喉のかゆみが出る量は腹痛よりも少量のようでした(当然といえば当然ですが)
ので、痒みを目安に増量幅を調節していけば、腹痛が出ることはありませんでした。
それに、同じ量でも日によって口腔/喉の痒みが出たり出なかったしました。
なので、2日続けて同じ量を与えて、2回とも痒みが出るようなら量を1〜2割減らし(つまり1〜2週戻って)後戻りすると、その後はうまく痒みも出ずに、その量を超えていけました。

[ダッシュ(走り出すさま)][たらーっ(汗)]

そうやって増量幅はだいたい5ー10%くらいで量を増やしていきました。
(3g台あたりは 3.0→3.2→3.4→3.6→3.8→4.0g という感じでクッキー粉を増やしていきました。)
ムーンライトクッキーは1枚が約7g(卵換算で約7.7g)あり、
この頃になると粉じゃなくて、割った大きな欠片を組み合わせて重量調整していたのですが、
Q君も1枚近くを毎日食べているからか、なんとなく「食べ飽きた感」が出てきていました。
そのことを先生に話すと、「じゃぁ、炒り卵に変えましょう!」と。
今度は炒り卵を作り、最初0.5毎週末、2週間分くらいを量って、ラップに包んで冷凍するのが私たち夫婦の習慣になりました。
それを毎晩、レンジでチン!としてQ君に食べさせます。

炒り卵は
 10g台では約1〜1.5gずつ、
 20g台で2〜3gずつ
というように、痒みの反応を見ながら増量していきました。
増量幅が1割を超えるときもありましたが、
最後の方、30g台あたりからはまた1割以下の増量に戻しました(痒みが出ることが多くなったので)

そしてとうとう一昨年の4月、ついに炒り卵を40gまで食べることができたので、思い切ってかた茹でゆで卵1個にトライしました。
醤油をつけて、なんとペロリ! パチパチパチ〜!!

以降は維持期間、ということで
「毎週3回、卵まるまる1個を、どんな(加熱)調理法でもいいので食べさせてね」
となりました。
(1年以上経ったいまは、週に2回くらいになっています)
今では「目玉焼き」が大好き!です。

おやーーー正直、感無量でした。
3mg(粉というかホコリくらいの量)でアウト!だった子が卵まるまる1個。。。
人間の体の可塑性というか順応力ってすごいもんです。

ここまでけっして「順風満帆、何も症状が出ない」というような経過ではなかったけど、
エピペン使うほどひどい症状もでず無事にこれたのは、運がよかったのかもしれません。
以上は、あくまで「我が家の経過報告」です。
でも、「ミリグラム単位の微量アレルゲンに反応する子でも、治せる可能性はあるんだ!」ということは、情報として価値があると思いましたので、ここに記します。

ちなみに今でも、「生の卵」はダメです。反応してしまいます。
マヨネーズならけっこうな量、OKになりました(マヨネーズは酸性なので、卵のアレルゲンたんぱく質も変性して無害になっているのかもしれません。)
ポテトサラダなら一人前くら食べられます。

でも、いろんな加工品に入っている卵にあたって痒くなったり、お腹が痛くなったりすることは、正直あります。
意外な物に生の状態の卵は使われているのです。(市販のケーキの生クリームの安定剤として、とか)
あと、要注意なのは「茶碗蒸し」とか「プリン」です。
どちらも「す」がたつほど長時間加熱すると大丈夫なのですが、
いわゆる「きれいな」ちょうど良い蒸し具合のものを食べると、痒みや腹痛が出てしまいます。
(都度、アレロックを飲ませれば治まりましたが。。。)
あと「とろとろオムレツ」は無理。。。
だし巻き卵も焼いた後にレンジで加熱を加えれば、中まで火が通るので、食べれます。(Q君の分だけ、レンジで追加加熱してます。)

というふうに、実際には「卵 全解除!」では全然ないのですが、
加熱卵OK!
になっただけでも、食べられる食品の幅はずいぶん広がり、本人も私も、がんばった甲斐はあった、と感じてます。

これはあくまで我が家の、Q君のケースので、
同じようにやって、同じ結果にならない子もいるかもしれません。
その点は理解した上で、どうするかはお母さんやお父さんの判断だと思います。

それから最近は「IgE陽性でも、離乳早期にアレルゲンを食べさせるのが良い」と主張する医師もいます。
でも、私は、それは「そのアレルゲンに対し、アナフィラキシーを起こしていない子」であることが前提条件だと考えています。
アナフィラキシーをすでに起こしたことのある「ハイリスク」な子は、やはり用心してかかるに越したことはない、と思っています。
だから我が家も、経口免疫療法にとりかかるのは、体重15kgを超えて、エピペンが処方されるのを待ってからにしたわけです。エピペンが手元になかったら、この記事に書いたような冒険は、とてもできませんでした。

そうすると、経口免疫療法を自宅で実施するのは、やはり体重15kgを超えてから、つまり「3歳前後から」ということになります。
経口免疫療法の最適時期は、ほんとうは3歳よりもっと早いのかもしれません。
その可能性は、あります。
でも、やっぱり母親としての私は「安全第一」という判断でした。
アナフィラキシーショックは命にかかわる症状です。これまでに何人かの子供が命を落としています。
それを絶対に「回避できる装備=エピペン」なしには、このような冒険的取り組みはしなかったと思います。

おそらく、ですが、経口免疫療法は腸管の「免疫抑制細胞(制御性T細胞?)」の誘導能に依存した治療法です。
アレルギー児の腸管はどういう理由でかわかりませんが、その免疫抑制細胞の誘導能が低いのだと思います。
でも、成長に従って腸管も成熟し、免疫抑制細胞の誘導能も上がれば、経口免疫療法が可能になる、と考え
3歳頃には経口治療が可能になるのでは?と、予想して、経口免疫療法をスタートさせました。
でも、いちばん微量に反応する卵は、後回しにしたわけです。

それなりに、リスクを考慮した上での冒険は、とりあえず成功だったと思います。

でも、まだIgE陽性の「そば」「ピーナッツ」「アーモンド」「カシューナッツ」等々、まだまだトライアルは続きます。。。。この後の経過も、順番にアップしていくつもりです。

どうぞお楽しみ(?)に!!
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ぽん父

久しぶりにブログを拝見させていただきました。米国在住の同業の者です。
すごく貴重なClinical studyですね!なんとか論文に出来ないものですかねえ。タイトルは、"Ultra-low dose immune tolerance induction for egg allergy in children"とかなんとか。論文でなくとも学会発表とか。免疫モニタリングとかこっそりやらなかったんですかw?

最近はDupilumabとか、アレルギーに関しては免疫・分子標的の良い薬も出てきてますけど、子供を対象に臨床試験を組むのは難しいみたいですので、こういうアプローチが早期に有効ならすごく重要だと思います。
by ぽん父 (2018-05-03 05:11) 

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